大阪市における「カラ残業」問題について(談話)
大阪市における「カラ残業」問題について(談話)

2004年11月26日
大阪市役所労働組合
書記長  藤原一郎


1.11月23日、毎日放送テレビの報道番組「VOICE」は、「闇の正体 張り込み取材で暴くカラ残業の闇」を放映し、大阪市の「カラ残業」問題をテーマに報じました。25日には、各紙いっせいに「カラ残業手当を支給」をとりあげ、「残業をしていない日に残業したように超過勤務命令書を偽造」、「市は公文書偽造にあたるとして全庁を対象に調査を開始。関与した職員を処分するとともに、支給分を返還させる方針」(毎日)、「市長は 24日の記者会見で、市内の全区役所で同様の調査を行うよう指示したことを明らかにしたほか、全庁的な調査も実施する考えをしめした」(産経)などの報道を行いました。
 同時に「公文書公開請求者である記者宅を訪問」についても掲載し、「(毎日放送報道局ニュースセンター長は)個人情報の目的外使用にあたる行為で、訪問目的などを追求したうえで市に抗議したい」(読売)、「『情報公開を後退させる行為ではないか』と訪問が取材への圧力である」(毎日・朝日)など大阪市を批判しました。

2.市労組は、今回起こった問題についての事実を確認するとともに、併せて、1998年10月28日の「超過勤務手当返還訴訟」の和解に際して誓約した「市長は、市民の市政に対する信頼を損なった事実を厳粛に受け止め、今後は不適切、不透明な給与や手当が支給されないよう、地方自治法、地方公務員法を遵守する」という和解条項を履行しなかった市当局責任を厳しく追及するものです。 
 同時に、市労組は自治体労働組合として住民奉仕の立場から、市当局に対して和解条項の遵守と再発防止のためのイニシャチブを取れなかったことを、市民の皆さんに対して心から深く反省いたします。
 私たちの賃金支払いにあてられている「財源の性質」、すなわちその賃金が市民の納税で賄われていることを徹底して自覚し、民主的常識に反したこうした汚点や失態を引き起こすシステム、あるいは運用について問題の内容とその背景を明らかにし、市当局に対して早急に再発防止を求めていきます。また、「超過勤務手当」のあり方、手続きについても市民の皆さんの理解と支持を得られる適正なものとすることが必要であり、市労組は、そのためにも全力をあげてとりくみ、その結果について市民の皆さんに広くお伝えする決意です。
 
3.なぜこのようなことが起こったのか。「超勤手当」の予算とその執行にかかわるシステムの問題や運用問題についてメスを入れる必要があります。
 区役所においては、いわゆる縦割り行政と言われるように行政上の権限が十分に与えられていないこととあいまって、予算上の権限も無いに等しいものとなっています。超勤手当予算が必要なときに措置されないという硬直したシステムになっているため、予算があるうちに執行しなければならないという現場の気分、風潮が根強くあるということも否めない事実です。
 しかし、如何なる理由があるにせよ、賃金をはじめとした労働条件について市民の納得と支持がなければならないのは当然のことです。
 また、他方、地域健康福祉や生活保護を担当している保健福祉センターでは、少なからぬ職員が「未払い残業」をしている業務の実態があり、実際に時間外に労働しているにもかかわらず超勤手当が措置されていない状況も指摘せざるを得ません。
 そもそも職員の給与、労働時間その他の労働条件は、その生活と労働者としての基本的権利を守り、住民への奉仕のため、積極的に働きうる条件を保障するものでなければなりません。しかし、区役所の保健福祉センターだけでなく、保育所などでも業務の準備や保護者との時間外対応など超勤手当が措置されていない現実があり、公務労働の性質と乖離した労働実態が生まれています。早急に改善することを求めます。

4.問題を改善させるための最も大切な課題は、労働時間を適正に把握する管理者責任がきわめてあいまいだということです。
 職場では予算がないと言われ続け、職員の自己規制のもと「時間外に仕事をしても超過勤務命令簿に記載されていない」現状があります。そういう点では、時間外労働を規制していくことと同時に「サービス残業」を職場から根絶していくことが重要で、多くの職場で、人員削減などによって業務過重になる一方で、人件費抑制の一環として超過勤務手当予算の縮減などがおこなわれ「サービス残業」が蔓延しているのが実態です。そして、この対極に「カラ超勤」が存在しているのです。
 所属長(超過勤務命令者)は、厚生労働省の指導にもあるように、業務の進捗状況を的確に把握し、職員の健康管理にも十分配慮したうえで、必要最小限かつ配分を受けた時間外勤務時間数の範囲内で時間外勤務命令を行うこと。また、超過勤務命令を行わない場合、速やかに職員を退庁させることなどができていたのかどうかが問われています。

5.くりかえしになりますが、自治体労働者の賃金、労働時間その他の労働条件は、その生活と労働者としての基本的権利を守り、住民への奉仕のため、積極的に働きうる条件を保障するものでなければなりません。同時に自治体労働組合は、賃金・労働条件の成果をさらに発展させつつ、その弱点や欠陥に対しても、目をふさがず、すすんできびしい自己点検をくわえ、大胆に克服することが必要です。いま、小泉「構造改革」による雇用悪化、低賃金、過密労働の深刻化などとあいまって、年金、医療、福祉に及ぶ社会保障の後退など自治体リストラ、住民リストラが横行しています。
 これら国の悪政から住民の生活を守る防波堤としての自治体のあり方、役割がますます求められています。それだけに市民は、これらの期待と信頼に応える自治体=大阪市と住民奉仕のため懸命に働く職員の存在を強く願っていると考えます。
 市労組は、市当局の職員に対する時間管理・健康管理の責任を追及し、超過勤務命令簿の運用改善、人事委員会など労働基準監督機関による職場巡視や産業医による管理職研修の充実・強化、長時間労働に対する産業医の指導や検診などを含む具体的方策の策定を求め、実効あるものにするため運動をいっそうすすめるものです。


【参考】
基発第339号
平成13年4月6日
都道府県労働局長殿
厚生労働省労働基準局長(公印省略)
「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」について

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