2004年夏季闘争における市側回答に対する市労組連の態度
2004年夏季闘争における市側回答に対する市労組連の態度

2004年6月21日・大阪市労働組合総連合


1.2004年夏季闘争は、小泉自公政権による国民生活破壊と経済破綻政策のいっそうの強まりの中でたたかわれました。とりわけ、7月11日投票予定の参議院選挙を直前にした第159国会では6月16日の会期末を前に、ウソとごまかしで固めた年金改悪法が多くの反対世論を無視して強行成立させられました。さらに、民主党も加わってアメリカの戦争に国民を強制的に協力させる有事立法が成立させるという極めて緊迫した情勢の中で闘われました。
 財界・大企業は、空前のリストラ強行でV字型回復を謳歌し、本年3月期の経常利益を18.0%も増やし過去最高益を更新しているにもかかわらず、「ベア・ゼロ」に固執するとともに、大企業労組の多くもベア要求を見送る中で、定昇廃止・成果主義拡大が持ち込まれる企業が出るなど「大企業の社会的責任」が問われる結果となっています。この動向を前提に、人事院総裁は、今夏の人事院勧告について「かなり厳しい結果となる。楽観はできない」と発言しており「3年連続の基本給切り下げ、6年連続の一時金マイナス勧告」を阻止するたたかいの強化がますます重要となっています。
 大阪市では、史上初の給料表マイナス改定とともに、賃金カットの継続、さらには5年連続して一時金が0.3月、0.2月、0.05月、0.05月、0.25月と削減され、10年前と比べ1.05月も落ち込むなど、年収の大幅な減額が続いています。さらに、社会保険料の総報酬制の導入や医療費の本人3割負担への引き上げによる負担増など、きびしさを増す生活状況のもとで、市労組連は一時金闘争の正当性を明らかにしつつ、2004年夏期一時金闘争・夏季闘争に全力をあげてとりくむとともに、引き続く人事院勧告期・自治体確定期へとたたかいの継続と発展をめざしてとりくみを強めてきました。

2.市労組連は、5月12日に開催した第15回定期大会において、本年の夏季闘争についての方針を決定するとともに、加盟各単組は、夏季手当要求について「支給額2.7ケ月+50,000円」「支給日6月30日」とし、6月2日までに各任命権者に対して要求申し入れを行ってきました。その後、6月9日に第1回対市団交を行ない、その中で当局姿勢の追及とあわせて「夏季休暇の問題も含めて誠意ある回答」を求めてきました。
 また、こうした対市交渉の強化とあわせて、6月9日には「2004年夏季闘争勝利・市労組連総決起集会」と6月18日には「市労組連単組役員決起集会」をそれぞれ開催してきました。

3.今季、夏季闘争の山場である6月21日には、市労組連として市側に対して交渉・折衝を重ねてきましたが、その結果、21日午後6時からの第2回対市団体交渉で市側から「期末手当1.4月分、勤勉手当0.7月分、合計2.1月分」、支給日については「6月30日支給」との回答が示されました。
 この市側回答に対して、市労組連からは「申し入れた要求内容や組合員の生活実態からも、大きく隔たったものであり、不満であること」と表明するとともに、「青年層や技能労務職給料表適用者からの強い要求であり、撤回し一律に支給すべきであると申し入れてきた『職務段階別加算制度』については、市側からなんら表明がないことから、引き続き残されることになると思われるが、市労組連としては合意出来ない」ことを明らかにしました。
 また、夏季休暇については、昨年どおり「5日付与する」との市側回答が示されました。
 再任用職員については、一時金で「期末手当0.75月分、勤勉手当0.35月分、合計1.1月分」を6月30日に支給、夏季休暇については、フルタイム勤務職員が「5日の特別休暇」、短時間勤務職員は「週あたりの所定の勤務日数に応じて付与する」との回答が示されました。
 さらに、この間職場では財政難を理由にして、多様な非正規職員が増えつつあり、その勤務実態において正規職員とほぼ同様なものが多く存在するとともに、一時金の有無をはじめ勤務条件には大きな較差が存在していることから、「均等待遇」の実現を強く求めました。この点では、大阪市会において、本年3月に「パートタイム労働者等の待遇改善に関する意見書」が採択され、パート労働者とフルタイム労働者との均等待遇の必要性を述べ国に対して条件整備をはかるよう要望を行っています。これは時宜を得た画期的なものであり、この趣旨を活かした大阪市のとりくみがいま求められています。
 市労組連は、この間の交渉・折衝経過も踏まえて「提示された市側の回答については持ちかえることとし、後ほど、改めて市労組連としての態度を表明することとしたい」としてきました。

4.昨年の年末ぎりぎりに退職手当の削減が強行され、その経過措置が実施されているさなかの5月に、今度は退職時特別昇給が一方的に廃止される極めて異常な事態が続くなかで、今期の夏季闘争においても厳しいやりとりが交わされました。退職時特別昇給は、2月初旬にマスコミが取り上げたのを契機として、国会でも論議をよび、その後、国公労連などの人事院交渉が行われましたが、十分な交渉・協議もないまま、人事院は4月2日退職時特昇廃止の「規則改正」を強行しました。総務省は、これを受けて4月13日、公務員部長名で都道府県知事・政令指定都市市長あてに通達を出し、「速やかに国に準じた措置」を講ずるよう求めてきました。
 市労組連は4月19日に、市労組連の考え方を明らかにするとともに「退職時特別昇給を一方的に廃止しないこと。また、根拠条例が支給実態と乖離しているのであれば支給実態に合うよう条例改正を行うこと。」との要求を申し入れました。その後市側から求められた三役折衝において、これまでの長年の労使協議の積み重ねの上に実施されてきた退職時特別昇給を「5月から廃止する」との表明が行われ、4月27日にはマスコミにその旨を発表するなど、私たちの要求に反した事態が進行しました。このような市側の対応はこれまでの労使慣行を逸脱した異例・異常なやり方であり、とうてい納得できるものではないこと。組合員の生活設計・将来設計に重大な影響を及ぼす問題であることを認識し真摯に対応することを強く求めて交渉を行いました。
 また、ほぼ全員の定年退職者に対する退職時特別昇給は、条例上の特別昇給制度の規定における「勤務成績が特に優秀である場合」の濫用にあたり、違法・不当であるとして、市長などに損害賠償を求める住民監査請求が本年3月出されました。これに対する監査結果は5月21日に公表され、退職時特別昇給の全体を「損害」とは認めなかったものの、懲戒処分を受けたことを考慮しない認定等については損害とし、補填措置を講ずるよう勧告がなされました。また、退職時特別昇給に限らず本市の特別昇給全般に関わって具体的な要件が規則に明文化されていないことについて、市民に対する透明性の確保の観点から改善を求める意見が監査委員から出されています。
 退職手当は賃金の後払いとしての性格をもち、職員の退職後の生活保障・人生設計に大きな影響を持つ、重要な労働条件です。今回の退職時特別昇給の廃止は、退職時の本給月額引き下げを通じて退職手当水準に影響を与え、昨年12月25日の三役折衝における退職金の減額内容からも、さらに引き下げに「追い討ち」をかけるものであり、しかも今は経過期間中であり、明らかに退職者間の格差を生じさせるものになっています。
 国においては、官民均衡を建前に強行された退職手当「見直し」の前提と正当性を放棄した今回の特昇廃止であり、それに準ずる合理性は存在しません。大阪市では、退職手当の削減に続き、削減の経過期間中での廃止の強行など、退職後の生活設計・将来設計に重大な影響を及ぼす削減内容が、労使慣行を逸脱した一方的なやり方で押し付けられてきました。
 市労組連からの厳しい指摘に対し、市側は、廃止に至る経過の問題点の認識を示すとともに、今後、給与・勤務条件について労使協議を十分に尽くすとの表明を行いました。
 市労組連は、今後、人勧期から確定期に向け、成績主義強化を許さない立場から市側の誠意ある対応を求めてとりくみを強化します。

5.市労組連は、職場における業務繁忙や人員削減によって引き起こされている健康問題やサービス残業問題の改善を求め関係局との交渉を強めてきました。また、生活改善に結びつく夏期一時金の獲得をめざして、すべての教・職員にとりくみ参加をよびかけ対市闘争をすすめてきました。また、今日、恒久条例化のもとで全国的にも夏季闘争・一時金闘争が形骸化する状況がすすんでいますが、市労組連としては夏から確定闘争へと繋がる通年闘争として、引き続きとりくみを強めなければなりません。
 今後、小泉内閣による「構造改革」路線の強行、有事関連法案の成立を受け、憲法改悪をめざす勢力との正面からのたたかいが求められます。その点からも参議院選挙は重要な意味をもっています。
 また、悪政の推進者としての公務員づくりのための「公務員制度改革」が、今秋にも本格化することが予測されており、とりくみの強化が緊急に求められています。
 さらに、労働者全体の生活悪化・状態悪化がいっそう進行し、国民の将来への不安がつのる状況のなかで、国民生活を守る闘いと平和と民主主義を守る闘いを結合し、一致する要求にもとづく広大な共同の実現をめざすとりくみが何よりも求められており、大阪市においても市労組連が果たす役割がますます重要となっています。市労組連はこの点を改めて確認し、なお、強い不満が残るものの今季闘争については終結することとし、市側回答については各単組討議に付すこととします。