2005年度夏期一時金闘争における市側回答に対する市労組の態度
2005年度夏期一時金闘争における市側回答に対する市労組の態度

2005年6月23日・大阪市労働組合総連合


1.2005年夏季闘争は、小泉自公政権による憲法改悪に対する攻撃が強まり、さらには地方自治と国民生活の破壊がいっそうすすむなかでのたたかいとなりました。
 財界・大企業は、引きつづき経常利益を増やし、経団連が5月に発表した夏季賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況によれば、一部の例外を除いてほとんどの企業の妥結額は昨年を上回る結果となっています。
 大阪市では、5年連続で合計0.85月も削減された一時金や給料表マイナス改定に賃金カットの継続など年収の大幅な減額が続いています。さらに、社会保険料の総報酬制の導入や医療費の本人3割負担への引き上げによる負担増、加えて昨年末からの諸手当や福利厚生事業の削減など、組合員と家族の生活の厳しさは決定的な状況です。

2.
市労組連は、第16回定期大会を例年より1ヶ月早め4月21日に開催し、昨年来の労使関係の激変状況を分析するとともに、本年の夏季闘争についての方針を決定しました。そして、加盟各単組は、夏季手当要求について「支給額2.7ケ月+50,000円」「支給日6月30日」とし、各任命権者に対して要求申し入れを行ってきました。
 6月8日に第1回対市団交を行ない、「夏季休暇の問題も含めて誠意ある回答」を求めてきました。交渉では、その直前に行われた市長の記者会見での労働組合との協議を否定する発言、被服貸与制度などにかかる課税問題、労働時間管理の適正化を求める緊急申し入れなど、この間の重要な課題についても市側の姿勢を質しました。また、6月16日には「2005年夏季闘争勝利・市労組連学習決起集会」を開催し、大阪市をめぐる情勢とたたかいの方向について意思統一をはかりました。

3.今季、夏季闘争の山場であった6月17日には、市労組連としての交渉・折衝を重ねてきました。ところが、その折衝の最中、市側から突如として「特別昇給の7月実施を凍結せざるをえない」との説明がなされ、合わせて市労連と「同日に回答を行う」との理由から、団体交渉の開催の延期が求められました。
 市労組連は、これまでの労使合意を反古にする突然の内容に対して、三役交渉を午後3時から行い特昇実施をめぐる状況の説明を求めました。その後、団体交渉は空転を続け、一時金の実務処理のギリギリの段階である6月23日午前7時からようやく団体交渉を行うこととなりました。

4.第2回対市団体交渉では、最終的に市側から夏期一時金の回答として「期末手当1.4月分、勤勉手当0.7月分、合計2.1月分」、支給日については「6月30日支給」との回答が示されました。
この市側回答は、市労組連の要求内容から大きく隔たっており、しかも民間の好調な支給状況を反映していないことに不満を表明するとともに、「職務段階別加算制度」については、「市労組連としては合意出来ない」ことを明らかにしました。
 また、夏季休暇については、昨年どおり「5日」との回答が示されました。
 再任用職員については、一時金で「期末手当0.75月分、勤勉手当0.35月分、合計1.1月分」を6月30日に支給、夏季休暇については、フルタイム勤務職員が「5日の特別休暇」、短時間勤務職員は「週あたりの所定の勤務日数に応じて付与する」との回答が示されました。
 市労組連は、この間の交渉・折衝経過も踏まえて「提示された市側の回答については持ちかえることとし、後ほど、改めて市労組連としての態度を表明することとしたい」としてきました。

5.今期の夏季闘争の交渉は、昨年の秋以来の労使関係の激変を反映して異例の連続でした。しかし、この間の山積みする重大問題について、市労組連として職場の実態に即して申し入れを行い厳しく市側を追及してきたことも大きな特徴です。
 第一に、被服貸与制度などに関わる課税問題です。先週末から今週にかけて、「給与課から納付書が届いた」「課税の資料が職場で配られた」「住んでいる自治体から納税通知が来た」などの真っ最中と重なり、大きな怒り・不満が巻き起こっている中での交渉でした。市側の回答は、私たちの指摘をまったく踏まえず、誠意のないものであり、職員や退職者の納得も理解を得られないものです。今後、課税の正当性をめぐる追及を含め引きつづき交渉を行います。
 第二に、労働時間管理の適正化を求める課題です。今回、緊急申し入れを行った最大の動機は、残業手当問題の大量処分や刑事告発と密接に関わるからです。申し入れにもとづく市側との話し合いの中で次の点が明確になりました。それは、市当局は、総務省が平成13年に通知した『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について』の趣旨を把握せず握りつぶしてきたこと。それは、区役所職場の予算管理に偏重した実務処理が是正できてこなかった最大の原因が「労働時間の適正な把握」を怠っていたことにあったことです。市労組連として、労働時間管理に対する使用者責任が果たされるよう、引きつづき交渉を強めるものです。
 第三に、今回の交渉が空転した原因になった特別昇給問題です。これまでに労使合意がなされ、既に実務処理もすすんでいたものを、一転して「職員の能力や実績を反映」させる評価制度のもとに変更し、実施するという、極めて異常な再提案でした。人事院が「給与構造の見直し」を提案し、公務員賃金を成果主義で貫く攻撃が掛けられている時であり、市労組連として本格的なとりくみが必要となっています。また、市側からは団交から切り離して三役交渉の提起があり、問題点の克服をめざし、引きつづき交渉を継続することとします。

6.市労組連は、職場における業務繁忙や人員削減によって引き起こされている健康問題や労働時間の管理問題で引きつづき交渉を強めます。また、夏から確定闘争へと繋がる通年闘争として、引き続きとりくみを強めなければなりません。
 さらに、労働者全体の生活悪化がいっそう進行し、国民の将来への不安がつのる状況のなかで、国民生活を守る闘いと平和と民主主義を守るたたかいを結合し、一致する要求にもとづく広大な共同の実現をめざすとりくみが何よりも求められています。大阪市においてもこうした共同を実現するうえで市労組連が果たす役割がますます重要となっており、市労組連はこの点を改めて確認し、なお、強い不満が残るものの今季闘争については終結することとし、市側回答については各単組討議に付すこととします。