諸手当・福利厚生問題」市側提案についての市労組連の回答
諸手当・福利厚生問題」市側提案について、職場論議をへて、市労組連は市側へ回答しました

2005年2月18日
大阪市労働組合総連合
(市労組連)


職場論議をへて、職員の良識を結集し
市民の目線で解決をはかるため、このように回答しました


 市労組連は、2月5日(土)午前11時40分から市側と「福利厚生事業の見直し」「給与制度の見直し」問題について、団体交渉を行いました。
 大阪市は、昨年12月19日に大平助役を責任者とする「福利厚生制度等改革委員会」を設置し、1月13日に中間報告が出しました。さらに1月27日には大阪市会の財政総務委員会で、福利厚生事業や給与制度についての「180億円削減」という「見直し」を表明していました。市労組連は、総務局に対し、新年早々から労使協議を行うことを求めており、1月13日や27日にも繰り返し交渉を行うことを要求してきました。
 市労組連は、2月18日(金)午後7時から市側と2回目の団体交渉を行いました。これは2月5日の市側との団体交渉で市側から提案された事項に対して、各単組での討議結果をふまえて交渉にのぞみ、市労組連の立場を回答したものです。

福利厚生事業について

【市労組連の立場】
 福利厚生事業の見直しについて廃止も含め制度の再構築の協議に応じます。ただし、今回の見直し項目には、地方公務員法・共済組合法の主旨と合致し、違法ではないものも含まれています。再構築するにあたっての、協議について労働基本権の保障、地公法の主旨を踏まえる内容が担保されることが必要です。また、メンタルヘルス対策・子育て支援・介護のサポートなどが求められている分野です。

【市側見直し提案@】
 互助組合連合会が実施している退職者に対する給付金事業については、2004年度末退職者以降廃止すること。
【市労組連の回答】
 廃止を前提に協議します。
 廃止の対象となる2004年度以降退職予定者の、これまでの掛金は、その清算も含め今後協議すべきです。また、すでに受給中の退職者の保険契約上の取扱いについても今後協議すべきです。

【市側見直し提案A】
 団体定期保険の保険料の助成事業については廃止すること。
(1)団体生命共済掛金の市費負担廃止、
(2)掛金差額等の積立金充当の廃止
【市労組連の回答】
 廃止に応じます。
◎団体定期保険にはよらずに、職員の過労死などは労働安全衛生活動を抜本的に改善し、今までの基金等を活用するべきです。
◎日本団体生命、アクサ生命などを経て、これまで全労済に加入した経過があると市当局から説明を受けましたが、仮に市当局以外の団体が手数料などの名目で受けていた金品があれば、この際返還すべきです。

【市側見直し提案B】
 職員の被服のうち、現行の制服(合冬用上衣・下衣、夏用下衣)の貸与事業については廃止すること。
・現行背広型制服貸与の廃止
【市労組連の回答】
 廃止に応じます。
◎廃止に、あたり、背広型の一着あたりの単価が、予想外に高額であり、その原因について解明を求めます。
◎作業服・事務服等、安全・衛生などのための必要性を重視して改善を求めます。その際、非常勤・再任用・臨時的任用職員等についても均等待遇を求めます。

【市側見直し提案C】
 厚生会に対する助成事業は廃止すること。
・所属(職場単位)厚生会活動への助成金廃止
【市労組連の回答】
 減額には応じますが、制度は必要です。
◎地公法第42条の「元気回復」条項から言えば、職場厚生会活動は必要性があり、使途を明確にすると同時に金額についても論議すべきです。

【市側見直し提案D】
 「学校職員厚生会」に対する特別交付金は廃止すること。実施時期は、所要の手続きを経て、平成17年4月1日(但し第1項を除く)とする。
【市労組連の回答】
 減額には応じますが、制度は必要です。

【市側見直し提案E】
 職員互助組合に対する市交付金を廃止することについて、所要の手続きを経て取り扱うものとする。従来の考え方に基づく職員互助組合に対する市交付金は、廃止。
○05年度において従来の互助組合事業のうち、本来市で実施すべき事業を改革委員会で整理する。
○地方公務員法第42条の規定に基づく市の義務として行なう厚生事業について、併せて内容を整理のうえ措置する。
【市労組連の回答】
 地公法の主旨にそった保健・福利厚生制度を確立すること。そのための民主的な協議のあり方を整えること。
◎地公法第42条には、地方公共団体は、職員の保健、元気回復その他厚生に関する事項について計画を樹立し、これを実施しなければならないとされており、福利厚生制度を企画し実施する責任は市当局が負うものです。市当局が誠実に再構築を行うなら、提案について了解します。その際、非常勤・再任用・臨時的任用職員等についても均等待遇を求めます。
◎公務員の賃金・労働条件は人事委員会制度による官民の比較によって水準が決められていますが、福利厚生事業についても、客観的な比較によって制度の検討が求められています。

【市側見直し提案F】
 健康保険組合の保険料にかかる被保険者と事業主の負担割合は、1年間の経過期間内に事業内容等整理を図り、1:1とすること。共済組合へ移行することについて、所要の手続きを経て取扱うものとする。
【市労組連の回答】
 今後協議をすすめます。
◎大阪市健康保険組合は1926年(昭和元年)に設立され、1962年(昭和37年)の地方公務員等共済組合法成立以前から存在していた健康保険組合として認められており、いわゆる「厚遇な福利厚生」とは別個のものです。共済組合への移行ではなく負担率などの是正は健康保険組合の組合会で協議して決めるべきです。


手当てについて

【市労組連の立場】
 見直しを求められている手当は、それぞれ条例・規則に定められていることであり、ヤミでも違法な手当でもありません。今回の提案を新聞報道で知った職場での驚き・不安が大きかったことを申し上げて起きます。本来は、毎年の交渉の中でとり扱うことであり、基本的には切り離して協議すべきものですが、特殊勤務手当の本来の趣旨から問題を持つ内容も指摘されており、見直しについての協議をすすめます。

【市側見直し提案@】
 総務省指摘の特殊勤務手当(変則勤務者手当、主任手当)については廃止すること。
変則勤務者手当の廃止。
※ただし、勤務時間差のある職場に対する措置は必要
【市労組連の回答】
 特殊な勤務に対して支給される手当であり、それにふさわしくない内容については見直しに応じます。
◎土曜日に業務の行われている職場は要員配置として、週休二日制を保障する人員が確保されていないため、週当たりの勤務時間が長くなっています。特殊勤務手当にふさわしくないとしても、その為に支給されてきた手当を廃止するのであれば、要員の確保を行うことが基本です。週5日制実施職場より長い勤務時間は超過勤務手当の支給をするなどの措置が必要です。
◎日曜日等勤務手当は労基法に照らしても適法と考えています。

【市側見直し提案A】
 主任手当の廃止。
【市労組連の回答】
 特殊勤務手当としての廃止に応じます。
 もともと、主席・次席等を含めた現業主任の制度は職場実態では、課長代理・係長等、明確に昇任人事として扱うべきものでした。なお、管理職手当については後述のとおりです。

【市側見直し提案B】
 勤勉手当基礎額への扶養手当の算入については廃止し、併せて成績率を導入すること
【市労組連の回答】
 今後の賃金確定問題に取扱を協議すべきです。
 住民のために良い仕事をすすめることと、成果主義とは両立しません。

【市側見直し提案C】
 係長級の管理職手当の廃止
※係長級の超過勤務手当限度額を撤廃する。
【市労組連の回答】
 今後、協議を行います。
 管理職手当については、48年前の1957年に係長の手当が制度化され、この間、自治省・総務省に是正を求められても、係長級の職務遂行に有効に機能してきたと市当局は主張してきました。私たちは当初、支給範囲の拡大は労務管理の強化につながると指摘してきましたが、70年代から昇任差別が強まり、肩書きと手当による「制裁」が激しくなりました。やむをえず、1990年7月に昇任昇格差別裁判が提訴され、7年後の1997年10月に勝利和解し、差別が一定是正されることになったという重い経過をもっています。
 職員の働きがいの観点からも定着してきた制度であり、手当に対する市側の考え方を求めるとともに、以下の点の検討を含めて職場での討議を保障し、今後の労使協議を要請します。
@職場の業務をすすめる体制についての問題点。
A超過勤務手当の限度額が持っている問題点。
B係長昇任に伴う1年間の1名欠員状態の問題点。
C廃止に伴う、80万円から90万に及ぶ年収減の問題点。
D人事委員会の給与の官民比較作業の変更による問題点。

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