第272号 2002年10月15日号

    機関紙「大阪市労組」に掲載した記事を紹介します

1面の記事
☆告知板
  10/15 全国統一行動/現業全国統一行動
  10/15 自治労連大阪市内協定期総会
  10/16 市労組連第24回中央委員会
  10/17 大阪自治労連学習決起集会/ILO派遣壮行会
  10/17 臨時的任用保育士交流会
  10/21 10・21大阪府民集会
  10/26 ILO要請団派遣出発(〜11/3)
  11/2  大阪市をよくする会秋の市民のつどい
  11/6  大阪労連秋の争議総行動

☆最低賃金引き上げ、マイナス人勧不実施で、
     景気回復・地域経済振興策を講じよ!!
大阪労連・市内協議会が
大阪市議会に陳情書を提出


大阪市議会    議長  各会派  様

「勤労者所得減少による消費購買力低下を危惧し、最低賃金引き上げ、マイナス人勧不実施により、景気回復・地域経済振興に資する施策を講じることを政府に求める」との意見書送付を求める陳情書

(陳情書の趣旨)
 中央最低賃金審議会は7月26日、最低賃金を現行の制度発足以来、初めて据え置く実質「ゼロ答申」を行い、人事院は8月8日、これもまた初めて月例給の「マイナス勧告」を行いました。
 最低賃金と人事院勧告は、日本における勤労条件の最低基準と社会的規範の性格を持っています。大阪をはじめ主要都市の最低賃金据え置きやマイナス勧告が及ぼす社会的経済的影響は極めて大きく、勤労者の消費購買力低下に拍車をかけ、今日の深刻な不況に追い討ちをかけるものとなります。
 マイナス勧告をそのまま実施するだけで、全国で7,000臆円の公務員賃金減額にとどまらず、公務員賃金に準拠し、参考とする企業と団体の職員の賃金、生活保護基準、公的年金額、地方交付税などにも影響します。さらに今後の民間勤労者の賃金引下げ圧力となるなど、その広範な影響は計り知れません。
 これらは、公務と民間の賃金引下げによる消費購買力低下が消費不況をいっそう深刻にし、地域経済悪化と企業収益低下をもたらし、設備投資や雇用・賃金の削減など、まさに「悪魔のサイクル」に陥ります。
 こうしたことから、私どもは次のことを陳情しますので、よろしくお願いいたします。

(陳情項目)
「勤労者所得減少による消費購買力低下を危惧し、最低賃金引き上げ、マイナス人勧不実施により、景気回復・地域経済振興に資する施策を講じることを政府に求める」との意見書を政府に送付いただくこと。

平成14年10月2日

(陳情者)
〒530−0034 大阪市北区錦町2−2  大阪国労会館1階
        全大阪労働組合総連合(大阪労連)
         議長 岩佐敏明(事務局電話 06−6353−6421)

〒530−0034 大阪市北区錦町2−2  大阪国労会館1階
        全大阪労働組合総連合・大阪市地区協議会
         議長 田中豊実(事務局電話 06−6351−9954)

☆私たちの健康まで奪うのか!もう許せない大阪市のリストラ
市労組「自治体リストラ」交流集会
市労組は10月8日「自治体リストラ」交流集会を開催
 大阪市労組は10月8日、ヴィアーレホールで、「自治体リストラ」交流集会を開催しました。
 自治体リストラは、市民には、利用料・学費・保険料など公共料金の引き上げ。規制緩和による市民の安全の無視。市民の様々な自由権・プライバシーの権利・生存権・教育を受ける権利・児童の健やかに成長する権利・労働の権利・職業選択の権利などさまざまな権利を脅かします。また自治体労働者に対しては、「リストラ攻撃」の中での自治体への市民のニーズの増加。事務増の中での職員削減。その結果、すべての職場が繁忙職場となり、サービス残業が常態化している職場も急増してきます。
職場実態をビデオで告発しながら報告が・・・ 市労組の要員確保の申し入れは9月26日に行い、10月の後半には2回目の団体交渉が予定されるその中間点での集会となり、会場は大きな盛り上がりをみせました。職場実態の報告にたったのは、保育所の職場から、弘済院から、現業の職場から、区役所の健康福祉課の職場から、保健センターの職場から、再任用職員の立場からのみなさんでした。ビデオを使っての職場実態の告発など、リアリティーがあり、集会参加者は一生懸命聞き入っていました。集会は成功裏に終了しました。


☆緊急のお知らせ
賃上げで不況打開を くらしと雇用まもれ

10.27近畿労働者層決起集会

10.27近畿労働者総決起集会
と き 10月27日(日)午後1時開会
ところ 大阪城公園野外音楽堂
    (JR環状線・地下鉄中央線「森之宮」駅下車すぐ
★ 最賃・人勧をテコにした賃下げは許さない!
★ 有事法制、小泉「構造改革」NO!
   
 史上初の「最賃すえ置き」に「マイナス人勧」。すべての国民・労働者の生活を悪化させ、消費不況を一層深刻にする財界の賃金・雇用破壊は許せません。「すべての労働者の生活と雇用を守れ!」「国民いじめる小泉構造改革NO!」の声を大きくあげる総決起集会に、あなたもぜひ参加を!






「マイナス人勧」をはね返す当面のスケジュール

10/15 全国統一行動/現業全国統一行動
10/16 賃金切り下げと有事法制を阻止する自治労連中央行動
10/16 市労組連秋季年末闘争勝利学習決起集会
10/17 大阪自治労連学習決起集会/ILO派遣壮行会
10/18 一時金市労組申し入れ
10/22 市労組連賃金確定闘争団体交渉(2回目)
10/27 近畿公務共闘総決起集会(予定)


☆コラム「中之島」
▼今年8月から児童扶養手当が改悪され、33万人が減額されることになる。さらにこの臨時国会で、小泉内閣はさらなる改悪をねらっている。また政府は、所得税や住民税に関しても、来年度から段階的に「配偶者特別控除」を縮小、廃止していくことを検討している▼1987年に配偶者特別控除制度が創設される以前は、配偶者控除しかなく、妻の年収が一定額を超えると、突然適用されなくなり、夫の税金が一気に増え、また妻の収入にも所得税が課税されるようになり、妻の収入が多少増えても世帯全体の手取りが、かえって減ってしまうという問題があり、これを避けるために導入された。配偶者特別控除が廃止されると、年収500万のサラリーマン世帯では約4万5千円の増税になる▼もともとこの制度は、夫の所得が1000万円以上の場合は適用されていないので、中・低所得者だけの増税になる。ただでさえ景気が悪く、医療など社会保障の負担増で、国民が苦しんでいるときに、さらにこんな増税を押し付ければ、ますます消費が冷え込んでしまい、景気がますます悪くなる。しかもこうした一般の国民の増税を財源に大企業の法人税、資本家の株取引の税金を減らすという▼児童扶養手当や税制の改悪は、小泉内閣の冷たさを現している。こんな庶民いじめ、大資本家を優遇する改悪は、絶対許すわけには行かない。


2〜3面の記事
☆最悪 最賃すえおき・マイナス人勧・年金引き下げ
  くらしも地域も大打撃

黙ってられない理由がある!

 2002年人事院勧告の内容はいま、全国の自治体職場に大きな憤りと怒りを巻き起こしています。勧告史上はじめての基本給部分の切り下げを行うとともに、さらに、4年連続となる一時金の削減、配偶者手当の削減など、年間15万円もの賃金引下げです。
 暮らしと平和を守り、職場と地域の要求実現へ、2002年秋季年末闘争を職場から、地域から、旺盛にとりくみましょう。

賃金引下げのためのストライキはない!

 国や人事院は、人事院勧告制度を公務員の労働基本権(ストライキ権など)を奪う口実にし「代償機関・代償措置」だと言ってきました。公務員労働者が「賃下げ」のためにストライキをすることはありえないことであり、「賃下げの代償機関」というようなことは、人勧制度が想定していなかったことです。このような、不法・不当な「勧告」は、私たちの賃金を決定をするための参考にもなりません。

マイナス率に疑義あり!

マイナス2.03%という切り下げ水準もことしの春闘結果(全労連国民春闘共闘の集計がマイナス0.24%、連合集計が0.21%、厚生労働省集計でマイナス0.35%)からみて疑義があり、政府・人事院による恣意的水準も指摘されています。
 大阪市人事委員会の調査でも、345箇所の調査対象事業人員が、昨年と比べ4分の1も減少しており、調査された事業所が、より小規模・零細なところへシフトダウンさせたことが伺えます。

「不利益不遡及」の法の大原則

 また、「不利益不遡及」が憲法・法律上の大原則ですが、「遡及しない(=できない)」といいつつ、「所要の調整措置」を講ずるとして、4月遡及の場合と1円まで同額の削減を行い、遡及と同じ効果を発生させることは、「事実上の遡及」であり、違憲・違法です。法治国家にあるまじき行為であるといわざるをえません。こんなことを許せば、今後の民間労働者の賃金支給の原則、労使間ルールにも影響し、日本の賃金生活者の生存権をおびやかす大問題です。
 配偶者の扶養手当削減を強行していることや、今後の成果主義賃金に使える勤勉手当部分の原資を拡大させようとしていること、そして、国民・住民から批判の強い役職加算制度は温存するなどの問題もはらんでいます。

公務員賃金の引き下げは
日本経済の冷え込みを一層深刻にするもの


 賃金引下げ勧告は、公務労働者のいっそうの生活悪化にとどまらず、公務関連労働者、年金受給者など広範な国民の暮らしに大きな影響を及ぼします。さらに、民間労働者賃金の引き下げを誘発し、それがまた公務員賃金を引き下げるという、まさに日本のすべての労働者・国民の賃金、生活を際限なく切り下げる「悪魔のサイクル」をとめどなく推し進めることとなります。消費不況にあえぐ日本の経済をいっそう冷え込ませ、日本経済を破局に導くものです。

大阪の地域経済をつぶす
「賃下げ時代」を許すな!


「公務員だけの問題ではない」
―幅広い共同のよびかけで、たたかいを


 全国の失業率が5〜4%台を推移する中で、大阪では沖縄県についで全国ワースト2位、7.2%、また、大阪市部では9.1%、全国平均の2倍近い実質10%、失業者数12万人以上といわれる厳しい雇用情勢となっています。
 健康保険料の滞納や生活保護申請、就学援助の受給率の急増、増え続ける路上生活者、高い結果罹患率、全国一低い平均寿命、など、労働者・市民のくらしや健康、教育をとりまく環境は一層困難を増しています。
 今回のマイナス人勧が実施されれば、全国では、直接の影響は国家公務員・地方公務員・関連労働者で7000億円。大阪府下では、その直接の影響を受ける人だけでも、55万7,800人。その影響額も年間740億円にものぼります。(大阪市内では、約250億円)間接的に影響を受ける労働者・府民を含めれば、被害はさらに甚大なものになります。 全国でも最悪の不況に喘ぐ商都大阪の経済に、これだけの消費の減少が加われば、大打撃を与えることは必至です。今こそ賃下げの「悪魔のサイクル」を打ち破る大きな世論を作り出しましょう。
表1.大阪市内の人勧直接影響試算

胸をはって言います

「人件費」は 大阪市財政ひっぱくの理由でありません

 大銀行への金利払いのための、補助金・貸付金・賃料は見直しを・・(400文字)
 大阪市財政局ホームページでは、「市税の伸びが低いのに比べ、生活保護などの扶助費、市債の償還のための公債費、交通、下水道、国民健康保険などの特別会計への出金、都市施設の整備に伴う管理運営費などの義務的経費が増大しています。」と紹介されています。
 人件費は、市税の伸び14.6倍を下回る13.5倍でしかありません。
 大阪市の5つの第3セクター(WTCビル、ATCビル、湊町開発センター、大阪ドーム、クリスタル長堀)の2002年3月期における累積赤字は総額1,148億円に脹らみ、その赤字穴埋めに巨額の税金が注ぎ込まれています。大阪市はこの5K赤字にこれまで668億円もの支援を行っていますが、今年度さらに125億円も計上されています。
 大阪市の土地信託事業も深刻です。大阪市は6つの土地信託事業を行っていますが、2001年3月末の借入残高が1,641億円に上がります。大阪市への配当は7億6,000万円に止まり、当初予定の10分の1以下です。特にフェスティバルゲートは、毎年20億円の借金が増え、累積311億円もの借金を抱えることになります。
 市人事委員会によれば、マイナス勧告によって削減できる予算は82億円(交通・水道を含む)と試算されています。巨大開発へ投入している巨額と比べてみましょう!!

マイナス人勧は民間にも大影響だ!!

山田 明さん 全国一般労働組合
  大阪府本部執行委員長
     山田 明さん


 逆立政治と大企業の横暴身勝手が、賃金と雇用、地域経済を破壊し、職場と地域に「あきらめ」と「何とかしたい」の気分を広げています。マイナス人勧による賃金破壊の悪魔のサイクルを許すわけにはいきません。職場と地域を良くしたいと願う人々のエネルギーに依拠し、官民共同の大きなたたかいを展開しましょう。

「人間らしく働く社会のルールの確立」の一環として

梅田博久さん 大阪市役所労働組合
  調査部長
     梅田 博久さん


 今回の「マイナス人勧」により、急きょILO要請団の一員としてジュネーブに行くことになりました。合わせてイギリスの公務職場の調査も行います。日本の公務員制度の不当性と国際基準からも逸脱する不当・違法な「マイナス人勧」。今こそ国際世論に訴え、日本政府を追い詰めていく絶好の機会だと思います。この使命を自分自身にたたきこんで臨んでいきたいと思います。

☆これはひどい!現業労働者への賃金差別
同じ住民サービスを担う仕事に
   なぜ給与格差があるのか?

現業労働者の賃金労働条件の改善を!

根本的な解決は給料表の一本化しかない!!

 市労組は結成当初から、現業・非現業の統一組合として、行政職給料表と技能労務職給料表の一本化を要求しています。
 1998年の賃金確定で技能労務職給料表4級は廃止されることになりましたが、7級到達が1年延長され格付年限の短縮は実現していません。較差を設けている理由として技能労務職員は単純労務職であって、行政責任を取る仕事をしていないという解釈があります。しかし、なにが「単純」でなにが「複雑」であるかを区別する基準は明確ではありません。また、2002年度採用試験から技能労務職員の学歴制限が撤廃され、大学卒や大学院卒の採用者が生まれるなど、ますます「単純」「複雑」「現業」「非現業」という区分により職員を分断することが意味を成さなくなっています。
表2.一般行政職と技能労務職の比較
まず誰もが7級へ昇給できる制度に!!

現業管理職と1号職管理職との支給額較差 給与表の格差は単純に月々の給与の差だけでなく、期末手当での職務段階別加算支給にまで及んでいます。支給条件を給与表を元にしているために、支給開始年齢に大きな開きが出ています。5%加算は行政職で採用後15年(4級昇格)、技能労務職は20年(5級昇格)、10%加算は行政職が27年(5級昇格5年)、技能労務職は33年(6級昇格5年)になっており、これらのことはそもそも給与表に較差を設けているために生まれています。
 技能労務職給料表の4級廃止だけでなく、2級も廃止し、給料表の事実上の統合をすすめ、業務内容が変化してきているいま、技能労務職適用職員の行政職への一本化を含め、2号職員の格付け・任用・職務限度を含む処遇について、抜本的な改善が必要です。
 「技能労務職給料表7級相当級格付用件の改善」については、現業管理体制を前提としながらも技能労務職給料表7級をすべての市役所労働者の「到達級」として確認できる制度確立に向けて市労組はとりくみを進めています。市労組・市労組連の掲げる「誰もが技能労務職給料表7級へ昇格できる制度に」の要求の実現を早期に実現しましょう。
 そして、早い時期に行政職給料表と技能労務職給料表の一本化をめざして運動を強化しましょう。

賃金処遇上の差別是正を!!
ゆとりみどり振興局城北公園事務所 小崎 豊文さん

小崎豊文さん 大阪市に働く現業労働者の賃金は、業務内容の違いを理由に行政職員より低くされています。現業職員のいる職場では、事務職、技術職、現業職の連携の中で業務が成り立っており、一人現業職のみが賃金で差別されることの理由にはなりません。さらに昨今では、現業職の業務内容が見直され、もうすでに単純労務職と言い切れる状況でない職場が広がっています。大阪市は現業職の業務が市行政遂行上重要な位置にあることを認め、賃金処遇上の差別を今こそ改めるべきです。


4面の記事
☆ようこそ京阪神信州平和の旅に!
信州で平和を探索
   京阪神交流平和ツアー 9/28(土)〜30(月)
雄大な信州の山々
 「周辺事態法の成立から有事立法への流れは、すでに憲法が一部変わった後のような状況を呈しています。この国は、戦争の記憶をたぐりよせ吟味するどころか歴史修正主義的にそれを美化し、記憶そのものを虚構化しつつあります。だからこそ「信州平和の旅」を通じて歴史の記憶のことを考えてみませんか。」ということで、京阪神信州平和の旅は実施されました。「京阪神」とは京都市・大阪市・神戸市の平和を愛する市職員有志の集まりです。
 9月28日(土)早朝に出発。安曇野のちひろ美術館入館。夕方、白馬乗鞍高原のロッジ「かたんこ」が宿舎です。宿舎横の温泉で入浴し、ウエルカムパーティーでは手作りオードブルと自前のにぎり寿司で愉快に過しました。
29日(日)・2日目は、無言館(戦没画学生慰霊美術館)に行きました。入館料は「志」となっていますので、各自思い思いに寄付しました。そして昼間から鹿教湯温泉にて入浴。夕方、宿舎のロッジ「かたんこ」に着き、夕食は鍋料理で大満足。
30日(月)3日目。松代大本営跡見学し、17時ごろ大阪着。

安曇野ちひろ美術館
 木立の中で風を聴き、川の水音と小鳥のさえずりに耳を傾け、芝生のオブジェに手を触れ、池に手足を浸して水を肌で感じることのできる広大な公園に不思議の国があります。かつての子どもは失われた時を遡って、素直に感動する心をとり戻し、やんちゃ盛りの子どもたちは、思いやりという一生の財産を身につけることのできるフィーリング・オアシス。そこが安曇野ちひろ美術館なのです。若き頃のデッサンやスケッチに始まり、初期童画、絵本原画から、にじみ、ぼかし、濃淡を駆使した後期の代表作で、ちひろの全体像に触れ、その生の軌跡を辿ることによって、どうしょうもなく可愛いちひろの描く子どもに、ただ可愛いだけでなく、ないまぜに秘められた強さとやさしさがみえてきます。
 
無言館
 ― 戦没画学生慰霊美術館
 信濃デッサン館前庭で菅平方面を望むと、つや消しの押さえ気味の黒い屋根とアーチ型の紋様を配したごく薄いグレーの壁面が信濃デッサン館分館の戦没画学生慰霊美術館・無言館です。ここでは、作品が話をしてくれ、観る人の方が無言になります。徴兵され出征し、志半ばで筆を折って二度と再び描くことのできなかった彼らの作品の語りかけてくるものが、恨み、つらみ、哀しみではなく、澄明な魂から発せられたやさしさに思われます。

松代大本営跡
 太平洋戦争末期の1944年秋。戦争を指揮する軍の最高機関「大本営」が松代に建設され始めます。本土決戦に備えるためです。最初の発破は、11月11日午前11時。終戦までの9ヶ月で、三つの山に延べ10数`が掘られました。掘削は極秘。地下倉庫建設と偽り、朝鮮半島から強制連行した作業員によって進められました。45年4,5月ごろには、約1万人が働かされていました。時間を節約するため、導火線は短くされました。逃げ遅れると吹き飛ばされます。岩が150bくらい一直線で飛んできます。最も危険な場所を朝鮮人に働かせました。地下壕は、1985年地元の篠ノ井旭高校の生徒たちによって、日の目を見ることになりました。篠ノ井旭高校の生徒は松代にこだわって、郷土研究班を作り、工事に従事した人の聞き取りや田中知事が視察に来たときの現地説明をしたといいます。郷土研究班は「朝鮮の人々をはじめとして沢山の犠牲者を出したことは、絶対に繰り返させてはならない」と訴え、「この地から世界に向かっていっそう声高らかに平和を呼びかけていきたい」と決意しています。


☆公務員制度はどうなるのか?
国民のための行政と公務員のあり方を考える
小泉内閣の「公務員制度改革案」で「この国のかたち」はどうなる?
10・5公務員制度を考えるシンポジウム
10・5公務員制度を考えるシンポジウム
 国民の生命と安全を守るべき行政と公務員のあり方が、厳しく問われています。このような時、小泉内閣は、高級官僚の「天下り」を自由化し、政治家の行政介入をさらに強める「公務員制度改革」をうちだしました。この「改革」で本当に国民のための行政が保障されるのでしょうか。今回のシンポジウムでは行政と公務員制度をめぐる現状をとらえ、国民の立場にたった改革の方向を探りました。
 10月5日、天満研修センターで行われたシンポジウムでは、シンポジストは、山路憲夫さん(毎日新聞論説委員)、藤永のぶよさん(大阪市民ネットワーク代表)、二宮厚美さん(神戸大学教授)、山瀬徳行さん(国公労連副委員長)。コーディネーターは植田保二さん(大阪労連事務局長)で進められました。
 主催者挨拶にたった大阪労連議長の岩佐さんは「今や雇用の問題、労働条件の問題で公務、民間の差はほとんどなく限りなく近づいていて、それは悪いほうに行っている。『公務員制度改革』へのたたかいでは、公務労働のもつ国民との接点(=サービス)の点で反撃することが大切。そして公務労働者の労働基本権を取り戻す視点での運動を」と述べました。
 各シンポジストは@「公務員制度改革」をどうみるかAどうたたかうのかBたたかいの展望はどうかについて発言しました。山瀬さんは「公務員制度の民主化の徹底、公務員制度の基本的性格の堅持、公務員の労働基本権の確立」について発言し、山路さんは「政財官の癒着、『天下り』、特権官僚の不正腐敗をどう断ち切るか、国民のいのち・安全・平和を守る行政サービス、公務員労働者の労働基本権・内部告発の権利の保障」について発言。
 藤永さんは「市民運動の側から、公務員制度の問題をどう見るか、市民の立場から、公務員制度で改善してほしいこと、国民がのぞむ今後の行政課題と公務員のあり方」を述べ、二宮さんは「公務員制度をめぐる争点と公務労働のあり方」をテーマに論戦を繰り広げましたが、その中で「いまなぜ公務員制度の改革なのか」として「戦後日本の官僚機構の問い直しと2つの対抗がある。問い直しとは、伝統的な政官財癒着の腐敗と麻痺(戦後の制度疲労)のことで、2つの対抗とは、新自由主義改革か公共原理の徹底化という事だ」と断定しました。
 シンポジウム参加者は深い感銘を受けるとともに、フロアー発言も活発に行いました。とくに二宮さんが最後に述べた「求められる公務員像」として「市場原理vs公共原理、能力主義的競争vs集団主義的協力、官僚主義vs住民自治」の言葉を深く胸に刻みました。


☆市労組レーダー
○大阪市をよくする会の「市民のつどい」が開かれます

第1部 区役所「空洞化」を考える
 市民にとって、もっとも身近な区役所。市民と一緒にコミュニティーをつくり、まちづくりをすすめ、安心して生活できる地域の担い手。大阪市の行財政改革によって、区役所は変貌しようとしています。いま、区役所に求められるものは何かを、要求を出しながら自由討論で考えます。ご参加ください。
 特別報告
   行財政改革と区役所の実態 大阪市役所労働組合
 ★ リレー討論
   就学援助・国民健康保険・保健所・介護保険・生活保護・市税など。
第2部  大阪市経済を考える
 「国際集客都市」で大阪は発展するのでしょうか。中小企業が活きる経済のあり方を考えます。
 ★ 大阪市をよくする会の政策発表と討論
   日 時  11月2日(土)午後1時30分〜4時
   場 所  大阪府社会福祉会館
         地下鉄谷町線「谷町6丁目」下車C番出口南に約5分
   参加資料代 ひとり500円
   主 催  大阪市をよくする会 電話 6357−6139


○2002秋季年末闘争方針を確定

 市労組の2002年度第1回中央委員会が、10月11日(金)に開催されました。藤原書記長から経過報告があり、ひきつづき、第1号議案から第5号議案まで提案されました。特に第3号議案は「2002年秋季年末闘争方針(案)」につてで、熱心な議論の末、秋季年末闘争方針が確定しました。具体的とりくみとして、@「マイナス人勧」の不法・不当性を追求し、官民一体の共同闘争で、2002年賃金闘争の前進をはかる。A年末一時金の削減を許さず、職務段階別加算制度の撤廃をめざし、全力でたたかう。B要員確保のとりくみをつよめる。C自治体リストラに反対し、くらしと地方自治を守り社会保障闘争を推進する。など10項目をあげています。


○大阪自治労連の労働安全衛生セミナーが開催されます

 セミナーは「『VDT作業の新ガイドライン』をどう活用するか」のテーマで行われます。講師は宮尾克さん(名古屋大学教授)。宮尾さんは、厚生労働省のVDTガイドライン検討委員会に労働衛生研究者として参画。その経験もふまえたお話が聞けます。さらに職場からの報告と交流を行います。日時は10月26日(土)午後1時30分。場所は国労会館3階大会議室。参加費は無料。

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