2001年賃金確定・年末一時金についての市側回答に対する市労組連の態度 《2001年11月22日・大阪市労働組合総連合》 1.2001年賃金確定・年末一時金闘争は、小泉自公保内閣が強行する「構造改革」路線により、大企業の身勝手なリストラが横行し新たに100万人を越す史上空前の失業者が生まれ、社会保障制度改悪など国民生活のあらゆる分野での破壊がすすみ、労働者・国民の実質賃金の連続減少や消費支出の低下など、かつてない雇用不安と生活・労働実態の悪化というもとでたたかわれました。 とりわけ、2001年人勧が史上最低をさらに更新し、昨年に続いて俸給表の改定見送りや諸手当の改定の見送り、一時金の3年連続の削減により、年収ベースで3年連続の賃金引下げを強いる「マイナス勧告」が出されるなかで、大阪市に働くすべての教・職員の生活改善をめざすたたかいとして展開されました。 こうした状況のもとで、市労組連は賃金引き上げ、一時金削減反対、諸手当改善など大阪市に働く教・職員の切実な要求を掲げて全力をあげてとりくむとともに、全労連・公務労組連絡会・大阪公務共闘に結集しつつ対政府闘争にも積極的に参加してきました。 2.市労組連は、2001年賃金確定・年末一時金闘争を、その前段のたたかいである2001年春闘・夏期一時金闘争、さらには人事院勧告期闘争・人事委員会との交渉などと一体のものとして位置付け連続してとりくみをすすめてきました。 10月4日の第1回対市団体交渉を皮切りに、10月23日の第22回中央委員会において「2001年秋季年末闘争方針」「2001年度賃金確定市労組連重点要求」を決定するとともに、同日の「市労組連賃金確定闘争勝利・大阪市行財政問題学習会」や11月7日及び15日の「2001年秋季年末闘争、賃金確定・年末一時金闘争勝利市労組連総決起集会」の開催、そして11月21日の「2001年賃金確定・年末一時金闘争勝利、市労組連単組役員決起集会」のとりくみなどを背景にして、交渉・折衝をすすめてきました。 今季闘争において、市側は国・他都市の動向や総務省「指導」を背景に初任給基準、高齢者の昇給措置、一時金の成績率の導入問題など賃金制度の改悪姿勢を強めてきました。とりわけ、10月24日の第2回対市団体交渉及び11月13日の第3回対市団体交渉では一時金の 0.05月削減問題について言及しつつ、勤勉手当に「成績率の導入を検討したい」と表明し、初任給については「基準そのもののありようについて、早急に検討する必要がある」と、また、55歳昇給停止など高齢者の昇給問題についても、「検討はもはや避けられない状況にある」とするなど、全面的な改悪姿勢を露骨に示してきました。 さらに、国の「公務員制度改革の基本設計」に基づく新たな評価制度、新たな人事管理システムの確立を踏まえた「能力・実績をより反映するための給与体系の確立に向け、公正で納得性の高い新たな評価制度の導入について検討する必要がある」と表明してきました。 3.一方、政令各都市における賃金確定闘争もよりいっそう厳しい状況でのたたかいとなりました。昨年の北九州市につづき京都市での0.06%マイナス人事委員会勧告が出されたのをはじめ、他の都市でも給料表・諸手当の改定を見送る報告・勧告が相次いで出されました。そして、一時金の3年連続の削減、55歳昇給停止など賃金制度への全面的な攻撃が加えられてきました。このように、今季の自治体における賃金確定闘争の最大の特徴は、地方の財政危機の真の原因を何ら是正することなく、労働者・市民に犠牲を転嫁する行政当局の姿勢がさらに明確になったことです。外務省や郵政省などの不祥事や財界と官僚の癒着・腐敗への国民の怒りを最大限に利用した小泉内閣の「構造改革」路線、民間準拠路線など政府・総務省の積極的な後押しによって、行政当局が、公務員労働者の賃金決定機構を、「賃金・権利を抑圧し統制」する「機構」につくり変える動きを強めていることです。それだけに、今日の深刻な財政危機の根本的な原因を明らかにし、民主的な変革をめざした全国統一闘争が国民的規模で展開されることを情勢は何よりも求めているといえます。 4.こうしたもとで、11月21日午後5時から行われた第4回団体交渉では、市側から年末手当について「期末手当1.6月分、勤勉手当0.55月分、合計2.15月分を12月10日(月)に支給することとし、期末手当の0.05月分の引き下げについては、本年度の年度末手当において減額調整することといたしたい」との表明がありました。また、55歳昇給停止・初任給基準そして一時金の成績率問題など市側の「思い」を引き続き一方的に述べるとともに、具体内容についての三役折衝の要請を行ってきました。 これに対して、市労組連からは「申し入れた要求から大きくかけ離れたものとなっており、了解できない」「必要なことは問題解決に向けた市側の努力であり、一方的な思いだけで決着づけられるものでない」として、市側の姿勢を厳しく追及してきました。そのうえで、市労組連としては、すべての課題について三役折衝に応ずることはやぶさかではないが、局面打開にむけた市側の考え方を具体的に示すことが前提である、との基本的な考え方を表明するとともに、市労組連重点要求の各項目の前進をはかる立場からも三役折衝に応ずることとしてきました。 5.市労組連は、2001年賃金確定・年末一時金交渉で11月21日夜から22日未明にかけて、徹宵態勢で三役折衝など交渉を積み重ねてきました。その結果、11月22日未明に、市側より「厳しい状況の中での最終の具体回答」であるとの表明のもと、「本年の給料改定については、給料表・諸手当の改定を見送ることとし、本市人事委員会による公民較差(0.03%)に見合った年額相当額を、暫定的な一時金(特例一時金)として支給する」などの回答を得ました。市労組連としては、ひきつづき執行委員会を開催するとともに市側回答について協議を行い、三役折衝内容を確認するとともに、不満は残るものの今季闘争の到達点として市側回答を各単組討議に付すこととしてきました。 6.具体内容では、国・他都市の動向からも年末手当支給月数の0.05月引き下げや「給料表・諸手当の改定見送り」を覆すことはできませんでした。しかし、昨年来全国的な状況を背景に全面的な改悪姿勢を露骨に示してきた、55歳昇給停止・初任給基準そして一時金の成績率問題のいわゆる3課題については、今次確定闘争で改悪させることなく攻撃を跳ね返すことができました。また、育児・介護制度の充実に向けたとりくみについても制度充実に向けて一定の表明がなされてきました。しかし、市側が「平成15年4月1日以降の取り扱いについて、今後さらに検討しなければならない」としてきた55歳昇給停止などの高齢者の昇給問題や、「早急に検討する必要がある」と明言してきた初任給基準の問題、さらには、勤勉手当の成績率問題と絡めて「新たな評価制度の導入についての検討」が表明されるなど、今後いっそう厳しいたたかいが予想されます。それだけに、本年の成果を踏まえ2002年賃金確定闘争にむけ、攻勢的にとりくみをすすめることが求められています。 7.今回の市側回答は、0.03%という市人事委員会の低額勧告を基本とし、2001年人勧での期末手当0.05月、給料表・諸手当改定見送りを踏まえたもので、市労組連が求めた賃金の引き上げをはじめ一時金削減反対という要求からもかけ離れたものでした。しかも、さらなる一時金削減によって連続した年収ダウンとなる組合員の生活実態をかえりみない、きわめて不満なものです。しかし、個々の具体内容では交渉・折衝の中で市側姿勢を一定崩すとともに、一部ではあるものの前進的内容を引き出してきました。これらのたたかいの経過と山場での交渉の到達点、さらには今季確定闘争における他都市動向などから判断して、市労組連としては今季闘争については終結せざるを得ないと考えます。 2001年賃金確定・年末一時金闘争は、きわめて厳しい情勢のもとでのたたかいとなりましたが、市労組連として組合員や家族の切実な要求を背景にしてとりくみを展開してきました。ひきつづき、賃金引き上げをはじめ組合員の生活改善につながる諸要求の実現に向けて、決意を新たにするものです。 今回の闘争では、公務員労働者の賃金闘争の前進のためには政府・総務省、全国の自治体・大阪市を通じた国公準拠・人勧固執政策と真っ向から対決するたたかいとして、職場を基礎に市労組連対市闘争、政令都市における統一闘争と公務労組連絡会を通じた対政府闘争を結合した粘り強いたたかいを構築することがきわめて重要となっていることを示しました。 市労組連は、今季闘争で奮闘された組合員の皆さんに敬意を表するとともに、2002春闘へのとりくみに向けひきつづき奮闘されることを改めて要請するものです。 以 上 |