2002年賃金確定・年末一時金についての市側回答に対する市労組連の態度
「失政」のツケを市民・職員に押し付ける、賃金削減攻撃と正面からたたかった
2002年賃金確定・年末一時金闘争の到達点に対する市労組連の声明

《2002年12月5日・大阪市労働組合総連合》


1.市労組連は、11月27日、第1次の山場の翌朝に「ひきつづき2002年賃金確定・年末一時金闘争の推進にむけた市労組連の声明」を発表し、本日まで全力をあげ2002年賃金確定闘争をたたかい抜いてきました。
 2002年賃金確定・年末一時金闘争は、小泉自公保内閣による「構造改革」路線の強行と財界戦略による、労働者・国民への超低賃金攻撃の強まりの中でたたかわれました。
  とりわけ、2002年人勧の史上初の「基本賃金引下げ勧告」、4年連続の一時金削減、さらには、法の大原則である「不利益不遡及」を踏みにじった「所要の調整」を押し付けなど、かつてない厳しい情勢のもとでのたたかいとなりました。
 さらに、大阪市においては、大規模開発や赤字の第3セクターなどへの無謀な財政投入を行ってきた、市長や市当局の自らの責任を徹底的に回避しつつ、これまでの「失政」のツケを職員や市民に押し付けようとする全面的な「賃金削減」攻撃がかけられてきました。このような中、大阪市始まって以来の異例の秋季年末闘争が展開されることとなり、市労組連は結成以来最大の闘争に立ち上がりました。

2.
市労組連は10月2日の第1回対市団体交渉を皮切りに、11月12日の市労組連としてはじめての2万枚におよぶ市民宣伝ビラ配布をはじめとして、とりくみを旺盛に展開し、3次にわたる「2002年秋季年末闘争勝利市労組連決起集会」や2度の「市労組連単組役員役員集会」を整然と成功させました。とりわけ庁内世論づくりのため新たな「市労組連ニュース」を連続して発行し、単組機関紙による宣伝との相乗効果を発揮し、庁内世論の形成におおいに力をつくしました。また、傘下組合である市労組のとりくみは、市長部局における各局長、区長に対する「財政赤字の原因と財政再建の説明を求める上申運動」や、市民団体、民間労組も参加した3日間連続の「宣伝行動」の実施など様々なとりくみで所属と当局を追及し、理不尽な賃金カット攻撃を糾弾する圧倒的世論を喚起してきました。
 これら、市労組連として全力をあげたたたかいを通じて、要求の多数派形成めざすたたかいをすすめる市労組連運動への確信とともに、大きな財産を残すことが出来ました。

3.
また、11月19日には磯村市長が『財政非常事態』を市会において表明し、その根拠として900億円の財源不足があるとの説明が行なわれましたが、何ら説明責任をはたしたものではなく、財政逼迫の真の原因である大規模開発への反省もなく、自らの責任を明らかに回避したものでした。
 市労組連は、市長の政治責任、市当局の行政責任を厳しく追及し、そのつけを職員や市民に一方的に及ぼすことの不当性を指摘し、職場内外の世論をおおいに盛り上げてきました。
 このたたかいの結果明確になったことは、第1に、市長をはじめとする市上層部には「財政非常事態」の「宣言」とは裏腹に、危機意識が決定的に欠けているということであり、第2に、財政危機の原因である、大規模開発・赤字の第3セクターなどへの反省もなく、責任もとらず、財政投入の根本的転換もなしえず、したがって、財政健全化の方針も出せないということであり、第3に、磯村市長はすでに市政の最高責任者としてその適格性に欠けていることが庁内外に明らかにされたことです。
 このことは、来年予定される市長選挙をたたかううえで、大きな礎を築いたことになります。

4.
市労組連は、第1次の山場から7日後の12月4日(水)午後5時20分からの第7回団体交渉を行ない事態の打開を強く迫った結果、再度の三役折衝を市側から要請され、本日12月5日午前2時30分から三役折衝が行なわれました。
  その中で、市側としてのぎりぎりの判断の上での回答として、
@給料表の改定を見送る、扶養手当の改正を行う。(平成15年1月実施)、配偶者は現行月額18,500円を18,000円に、配偶者以外の扶養親族のうち3人目以降の手当は、現行月額3,000円を3,500円とする。なお、平成14年4月1日からの公民給与を均衡させるための措置については、所要の調整措置は行わない。
A期末手当の0.05月分の引き下げについては、年度末手当において調整することとする。なお、年間の支給回数等は現行どおりとする。
B総人件費抑制策について「平成15年1月から平成16年3月まで、給料の3%のカットを行う。平成15年度における定期昇給を12月延伸する。」
 以上の基本回答とともに重点要求への回答として、「妊娠障害(つわり等)における特別休暇の付与」「子の看護休暇の半休運用」などの改善点が示されました。

5.
2002年賃金確定闘争はすでに述べたように非常に厳しいたたかいでした。市側回答には大いに不満が残るものの、以下のように全国的にも評価のできる内容も回答させることができました。
 それは第1に、労使慣行を踏みにじる市側からの合計マイナス9%に及ぶ給料カット提案に対して、市側が主張する5%カット名目の「大義名分」すら貫徹させず、最終回答で昇給延伸分を含めて実質5%を下回るまでほぼ半減させたこと、第2に、期末・勤勉手当の率変更を許さず支給回数3回を守ったこと、年度末の一時金0.05月削減、配偶者に係る扶養手当の減額は許したものの人勧どおり実施させず、本体部分である基本賃金で「マイナス給料表の改定」不実施とそれにともなう定年退職者の退職金の減額阻止、マイナス分の本年4月からの不利益の遡及、いわゆる全職員で約55億円にも及ぶ「所要の調整措置」の実施を阻止したことは、事実上マイナス勧告の不実施に繋がるものであり全国的にも、大阪府的にも評価できるものです。これは、マイナス人勧実施が民間賃金の引き下げを誘発し、それがまた、公務員賃金を引き下げるという「悪魔のサイクル」を、大阪市的に地域民間労働者に及ぼすことに一定の歯止めをかけたことを意味します。第3に、2003年度(平成15年度)における12月の昇給延伸は許すことにはなりましたが、2004年度(平成16年度)の新採用者との矛盾の追及や、55歳からの昇給停止へのなしくずし的な実施を許さず、今後の賃金改善に一定の橋頭堡を築くことが出来ました。

6.
これらの、厳しい条件下における市労組連のたたかいは今後に多くの教訓を残しました。それは、第1に、大阪市の抱える財政問題の打開方向を示したことです。市長が発した「財政非常事態」宣言は、赤字財政の原因と打開・再建策を何ら示さず、人件費削減と市独自の福祉サービス削減を繰り返し述べるだけのものであり、われわれが指摘した第3セクターや土地信託事業から撤退せよの声は多くの市民と職員の支持と共感を得ることができました。第2に、人件費削減攻撃に対する反撃として、これらの財政危機打開の政策を掲載した機関紙やニュースの配布による一大宣伝行動は職場のすみずみで展開され、日に日に要求前進への方向性に対する確信が高まったことです。第3に、長野県や熊本県などに見られるように、公共事業のあり方が全国で問われる事態になっており、大阪市もここにメスを入れることにより、大規模開発中心から市民本位の生活基盤中心の市政運営・財政運営に転換をめざすことの重要性が、市民や職員の中で明らかになってきていることです。
 市労組連は、今後、削減された人件費の使われ方を監視すると同時に、財政健全化に向けた具体策を明らかにさせ、非常事態を招いた原因と責任について更に追及していきます。市労組連の団結力と今回のねばり強いたたかいに確信をもち、今後残された課題の解決をめざすとともに、あわせて、2003年国民春闘の勝利や大阪市政の民主的刷新をめざしていっそう奮闘するものです。

7.今回の市側回答は、本来市労組連が求めた賃金の引き上げをはじめとした要求からかけ離れたものであり、しかも、組合員の生活実態をかえりみない、きわめて不満なものです。しかし、組合員のみなさんのかつてない奮闘により具体内容では市側姿勢を一定崩すとともに、市側意図を押し返す内容を引き出してきました。これらのたたかいの経過と山場での交渉の到達点、さらには今季確定闘争における他都市動向などから判断して、市労組連として今季闘争については終結せざるを得ないと考えます。
 今回の闘争は、市労組連に結集されたすべての組合員のおおきな力によって、賃金抑制攻撃に断固としたたたかいをいどみ、幅広い共同と連帯のなかで、多くの活動の財産を残すことができました。
 市労組連は、今季闘争で奮闘された組合員の皆さんに敬意を表明するとともに、2003春闘のとりくみにひきつづき活動をすすめて行かれることを改めてお願いするものです。
                                   以 上

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