はじめに 21世紀最初の1年は、多くの国民の期待とはうらはらに、小泉自・公・保内閣による「聖域なき構造改革」による大量の失業と全国民への医療改悪おしつけによる激痛という具体的な形になってあらわれてきました。また、アメリカでの「同時多発テロ」につづくアフガニスタンへのアメリカ・イギリスによる「報復戦争」や、アメリカへの「協力」の名のもとに、日本の自衛隊が戦争地域へはじめて参戦するという状況で展開してきました。 2002年春闘は、小泉自・公・保内閣による全分野で開始された「構造改革」攻撃が全労働者、全国民的なたたかいに発展できる可能性を生みだしてきています。 私たち市労組は、労働者・国民がはかりしれない平和と生活の危機にさらされているもとで、テロはもちろんいかなる理由の戦争にも反対し、雇用と働く権利を守り、医療制度をはじめ社会保障の充実と、中小企業支援・消費税減税・農業再建とともに狂牛病問題での安全対策など、全国民諸階層に呼びかけた、名実ともに国民春闘を実現していかなければなりません。 小泉構造改革の攻撃は、「市場主義」万能論やアメリカ主導のグローバル化の流れを、自治体と自治体労働者へも押付けるもので、公務員制度の改悪や賃金の引下げ、「能力・成果主義賃金」の導入とともに地方交付税の削減・市町村合併・保育制度の改悪・地方自治体への「行革」強要などの多重攻撃となっています。 このような状況のもと、国民・住民に耐えがたい激痛を押付ける小泉自・公・保内閣の攻撃をはねかえすため、全労連・自治労連は、すべての労働者と労働組合が一致してたたかえる課題として「雇用・医療・生活」という3課題で、すべての組合員・組織が力を集中して、流れを変える春闘にしていくために、たちあがることを呼びかけています。 「働くルール」の確立はもとより「生存権」をかけたたたかいの組織を、労働者をはじめ国民は求めています。私たちは、住民が主人公の地方自治を守り発展させるため、3課題と併せて、「公務員制度改悪」に反対するとともに、大阪市の「行財政改革計画」を市民に役立ち、市役所労働者の労働条件をはじめとする諸権利を損なわないものにするため、「改革計画」の内容を学習し、職場をはじめ市民に知らせるとりくみをすすめていかなければなりません。 2002年春闘をたたかうにあたり、私たちは学習活動を強めるとともに本部をはじめ、支部・分会が青年をはじめとする市役所労働者との対話・結びつきを大きく広げ、市労組組織を強化・拡大するためのとりくみをすすめていきます。 T.2002年春闘をめぐる情勢 1.3年連続の一時金削減や、賃金引下げに組合員の怒り 昨年末の確定一時金の闘いは、公務員労働者に3年連続の一時金削減をはじめ、賃金改定見送りなど不当な人事院勧告を強行しました。さらに、退職手当、調整手当改悪など13項目にわたる総務省事務次官通達にもとづく攻撃や、公務員制度「改革」を先取りした能力・成果主義導入の強まりという情勢のもとでの秋季年末闘争となりました。 このような状況のもと自治労連に結集する全国の自治体労働組合・単組は、組合員の要求を前面に学習運動や職場でのたたかい、地域での宣伝行動など、多くの単組で前進することができました。 私たち市労組は、本部主催の学習会や支部・分会での学習会援助・オルグをはじめ、地域にうって出ての共同行動、そして大阪市労組連での3回の決起集会など、具体的な要求実現のとりくみをすすめてきました。また、全国各地でのねばりづよい運動の結果、厚生労働省が昨年4月に「労働時間の適正な把握のために使用者がこうずるべき措置に関する基準」をださせる成果を上げています。自治体職場にも総務省通達が出され、この通達の基準を守ることが当局の義務となり、職場での「残業調査」の運動にも結びついています。 民間でも、白木屋従業員が立ち上がり「未払い残業代を支払わせる」という和解を勝ち取り、マクドナルドのアルバイトによる「有給休暇要求」を実現させるなど数々の前進が生まれています。 そして、私たちが全労連・自治労連に結集して昨年10月から実施してきた「要求アンケート」運動では、厳しい労働者の切実な要求が寄せられ、運動に対する共感の声も寄せられています。「要求アンケート」を通じても明らかになっている職場の声は、医療改悪や社会保障改悪、家族や知り合いの解雇や就職難などを通じて強まる組合員の生活不安や「せめてこれだけは」という切実なものであり、私たちは2002年春闘に向けて職場組合員の要求をうけとめ、学習や職場討議、懇談などで全組合員のものとしていくことが重要になっています。 2.大企業の大リストラと能力・成果主義導入が雇用・賃金破壊をすすめている 戦後最悪の不況・生活危機が、日本列島をおおい、総務省が発表した完全失業率は史上最悪を更新し、5.5%となり世帯主の失業者数が、調査をはじめた1953年以来はじめて100万人を越えました。とりわけ大阪市内の失業率は全国平均を大きく上回り、9%を超える状況にもなっています。 とくに小泉内閣発足後は7ヶ月連続で失業率が上昇し、その上昇率は今までにない異常なものとなっています。来春卒業予定者の就職内定率は、高校生で37%と過去最低、大学生でも65%と3人にひとりは未内定の状況です。また、昨年10月の企業倒産件数は1,900件を超え、バブル後最悪の発生状態となっているにもかかわらず、大企業がリストラ促進法を活用して容赦ないリストラ計画を推し進めています。 小泉首相は「構造改革」をすすめるなかで「一時的に失業率は上がることはやむを得ない」と失業を当然のように主張し、国際競争力を強化するためには「リストラを規制すべきでない」とも公言しています。また、経団連会長も「構造改革をやるということは失業が増えることであり、失業を減らす努力をすべきではない」と述べ、政府・財界は「不良債権最終処理」を軸とする構造改革が雇用悪化の原因になっていることを認めながら、さらに推進することを表明しています。 そして、小泉首相は「失業が増えるのは企業が解雇しにくいため」であり、「解雇しやすくすれば企業は雇用を増やす」として、多くの国民が望む「解雇規制」ではなく「解雇するためのルール」づくりをすすめることを表明しています。こうした動きに反対し、@解雇規制、A失業者生活保障、B雇用確保・創出に向けたとりくみが、最も緊急・重要な課題になっています。 日経連、財界は同時多発テロによる世界同時不況や、IT不況などを口実に多額の内部留保があるにもかかわらず、経営者責任や大企業の社会的責任は不問にしたまま、一方的に労働者に責任を転嫁して、「ワークシァリング」の名による賃下げや不安定雇用の拡大をはじめ、徹底した賃金抑制と解雇リストラをすすめようとしています。 2002年春闘は、公務も民間も、雇用確保と賃金攻撃や、能力・成果主義との新たな対決の局面に入っていきます。 3.医療・社会保障の改悪を許さず、「いのちを守れ」の運動がひろがる 小泉内閣は、「構造改革」の重要な柱である社会保障「改革」の環として、高齢者と国民、医療機関に前例のない「激痛」を押し付け、いのちを削る医療制度「改革」を通常国会に提出することを急いでいます。このことは、少子高齢化を口実に国の責任は放棄して、国民、自治体、医療機関に大きな負担を押し付け、国と財界の財政負担を軽減抑制するものです。 この医療改悪は、個人消費悪化⇒不況悪化、リストラ⇒保険料収入の減収⇒医療制度悪化という悪魔のサイクルを招き、「制度の安定のため」とはまったく逆行するものです。 「医療制度改革」には連合も「反対」の立場を表明し、日本医師会はすでに500万人署名による運動を全国で展開しています。大阪府医師会などでつくる「大阪府地域医療推進協議会」が、昨年11月23日に大阪城ホールで開催した「医療制度改悪に反対する大阪府民10,000人集会」に、収容人数を5,000人も上回る2万人も参加しています。各地で医療団体、市民・福祉団体、地域住民団体による大集会が頻繁に開かれ、昨年11月17日、自治労連や保険医協会、民医連が主催した扇町公園での「許すな!医療・社会保障改悪、いのちとくらしを守る2001年近畿総決起集会」にも7200人が結集しました。このように、“いのち”をかけたたたかいが、小泉「構造改革」の本質を問う運動として重要な焦点となっています。 4.憲法違反の報復戦争に参戦し、平和・民主主義を踏みにじる小泉自公保政権 戦争法、盗聴法、国旗・国歌法などが制定され、年金・健康保険など社会保障制度の改悪、一方的な解雇、賃金切り下げ、地方自治・自治体の変質の策動、世界に誇る日本国憲法の精神を土足で踏みにじるさまざまな事態が横行しています。 小泉内閣は、2001年9月27日に召集された第153臨時国会で、アメリカでの「同時多発テロ」に対するアフガニスタンへの爆撃などの武力による「報復戦争」に、世界中どこでも武器使用の範囲も拡大するテロ特措法を強行し、米軍への支援活動をグアムからペルシャ湾の範囲で6ヶ月間(2002年5月19日まで)、アフガン難民支援は2001年12月末までとする「基本計画」を立て自衛隊派兵を強行しました。 また、臨時国会終盤では「『PKO法(国連平和維持活動協力法)』改悪法」が充分な審議をしないまま強行され、PKF(国連平和維持軍)の本体業務への参加「凍結の解除、自衛隊員の武器使用基準の緩和」など、平和憲法をもつ国としてあってはならない「戦争への道」を突きすすむ事態になりました。 このように、日本がアメリカと一体となり戦争行動をすすめることは、テロ根絶の国際協力に亀裂を生み、テロ勢力の報復につながるばかりか、アフガン難民支援活動を困難にし、アラブ諸国の日本への信頼をも損なうものです。 これは憲法第9条の完全な違反であり、政府はもはや解釈改憲ではごまかしきれなくなっています。政府与党は、2000年から国会内に憲法調査会を設置し、「2003年を目途に『憲法改正』を具体化する」動きなど、第9条に焦点をあわせた明文改憲にのりだしてきています。 憲法9条の立場で国連中心による世界平和への積極貢献の声が強まっています。アメリカの同時多発テロに対し、自治労連は「テロ根絶・自衛隊派兵反対共同センター」に参加し積極的にとりくみをすすめ、「テロ反対」署名は、短期間に4万を超え各地で地域労連や平和団体と共同して集会や宣伝行動を行い、職場決議運動にもとりくみました。 私たちは、憲法の改悪を許さず、「国民主権」「恒久平和」「基本的人権」「議会制民主主義」「地方自治」を原則とする憲法の精神が息づき、誰もが輝いて生き、働ける21世紀の日本社会の実現をめざして、職場地域から大きな運動をすすめていくことがますます重要な課題となっています。 5.「公務員制度改革」の動きが重大な局面に 政府は、昨年12月25日、「公務員制度改革大綱」の閣議決定を行いました。政府が決定した「大綱」は、6月の「公務員制度改革の基本設計」をもとに、この間の「行政職に関する新人事制度の原案」、さらに「官民交流及び再就職についての基本的考え方」などを基本にまとめたものです。この大綱を基本に、2003(平成15)年中に国家公務員法、地方公務員法の改正を行い、2006(平成18)年を目途に新たな制度に移行することをめざすとしています。 「大綱」の内容は、特権官僚の「天下りの規制緩和」や、「民間企業の地位の併有」による人事交流の拡大をすすめることなど、特権官僚厚遇を制度化し、「政・官・財の癒着」を一層深刻なものとする「制度改革」であり、国民の期待と要求にまったく逆行する「改悪」といわねばなりません。また、憲法28条にもとづく公務労働者の当然の権利である「労働基本権」を「制約する」としたことは、とうてい認められるものではありません。 また、「大綱」は、「能力等級制度」を中心に能力・成果主義を強化するもので、使用者(大臣)の恣意的な人事評価にもとづき、何時でも自由に職員を「降格・降任・免職」にすることが出来る制度の導入や、基本給・一時金の「加算部分」に、段階的な較差を設ける成果給の導入などとんでもない内容となっています。 また、「大綱」の「新人事制度」は、内閣や各省庁の大臣に人事権限・給与決定にかかわる権限を大きく拡大する一方、人事院の権限の大幅な縮小を基本に据えています。使用者としての内閣や大臣の権限を拡大する一方で、これまで政府自身が労働基本権の「代償措置」としてきた「第三者機関」としての人事院の機能と権限を縮小することは、公務員の「労働条件の決定システム」を根本的に変更するものです。 このような変更を行うのであれば、憲法28条にもとづく「労働基本権」を公務員労働者に保障するのは当然の筋道です。 政府の「改革」は、公務員が住民全体の奉仕者としての職務を遂行することを保障するのではなく、内閣が進める「構造改革」を国民に押付ける立場に立つことを強要し、時の政権政党に従順な公務員づくりであることがいっそう鮮明となってきました。 6.市町村合併、「大阪都構想」など「自治体再編」をめぐる動きが急展開 (1)大阪府下でも急速にすすむ市町村合併の動き 地方自治制度の問題では、「人口30万人以上の自治体にはいっそうの仕事と責任を付与し、小規模市町村は仕事と責任を小さくし都道府県が肩代わりする」「市町村合併が進んだ段階での都道府県のあり方」「道州制」など地方自治の根幹にかかわる議論が、11月19日に発足した第27次地方制度調査会や総務省「地方自治制度の将来像についての研究会」、自民党「地方自治に関する検討プロジェクト」などの場で進められます。地方制度調査会の初会合で小泉首相は「地方行財政の構造改革」を諮問し、「(市町村合併が進んだ後)国・都道府県・市町村という三層構造のままでいいのか」と意見を述べています。 また、2002年度予算をめぐってすすめられているのが地方交付税の見直しです。「2兆円を超える削減」「地方債償還の交付税半減」などがマスコミで報道されていますが、事業費補正、段階補正の見直しの中で地方交付税が減額されることは明らかになっています。また市町村合併の動きも急速に強まっています。 大阪府下でも市町村合併の具体化がはじまり、@南河内広域行政研究会(富田林市・河内長野市・松原市・大阪狭山市・太子町・河南町・美原町・千早赤阪村)の8市町村が2000年12月から助役・部長クラスで幹事会を発足させ、A堺市・美原町は広域行政課題連絡協議会を2000年12月からはじめ、B堺市・大阪狭山市でも行政連絡会を1999年10月から協議をはじめており、C岸和田市・貝塚市では合併に関する準備絵画2001年2月から協議がはじまっています。一方、泉州南広域行政研究会(泉南市・阪南市・岬町)の3市町が2000年4月設立予定でしたが、持ち越しとなっています。 いずれにしても市町村合併の動きは、国・府の指導のもと次々と具体化がはじまり、大阪自治労連が要求する「市町村合併を押し付けるな」「大阪府の関与を明らかにせよ」「総務省の新指針を明らかにせよ」の声はますます重要となってきています。 まさに「どのような地域・自治体をつくるのか」が正面から問われる情勢です。自治労連が21世紀の地方自治を展望して発表した「地方自治憲章(案)」をもとに、憲法に基づき住民の立場にたち、地方自治の発展を展望した自治体関係者、地域住民の運動が求められています。 (2)財政再建には逆行し、府民・職員に冷たい行政を推進する太田府政 全国的に「市町村合併問題」が議論されているなか、太田知事は「行政の二重構造を改める」として「大阪都構想」を提唱しています。これは全国でも最悪といわれる府財政を立て直そうとして打ち出されたものです。同時に、先に述べたように府下の市町村合併がすすみ、政令都市・中核都市化になれば大阪府の行政事務の一部は、これら各市に事務移管されることになり、府行政が「空洞化」していく問題もはらんでおり、「府の生き残り課題」として横たわっています。 また、大阪府が2001年9月に策定した「行財政計画」は大阪府の「財政再建団体転落を回避する」ためといいながら、計画最終時(2011年)には、借金がさらに1兆円も増えた5兆1,200億円になるという財政再建を放棄したとしかいいようのない計画になっています。その内容は、関空の二期工事をはじめ、安威川ダム・本四架橋建設など相変わらず巨大開発中心の公共事業のムダ使いで、すでに採算が取れないことが明らかになっているものの推進です。その一方で、府民生活関連の公共事業は大幅に減らし、府営住宅の供給停止、生活道路整備・公園整備・河川改修・下水道整備など、地元中小企業が潤う公共事業は削減する方向で2002年度予算を具体化しようとしています。そして、高等学校の廃止や専門学校の統廃合、保健所の廃止など府民生活直結の施策を徹底的に切り捨てようとしています。 さらに、大阪府の失業率が全国平均を上回り、緊急雇用対策や中小企業振興策の実施が求められ、全国40道府県が補正予算で単独事業も含めて「雇用対策費」を計上しているにもかかわらず、戦後2度目の9月補正なしですませました。また、府職員に対しては人件費削減を口実に3,000人削減や2年連続の定期昇給停止の「回復措置」も行わないという府民・職員に冷たい行政をすすめています。 (3)無駄な公共事業をつづけ、借金を拡大する大阪市政 大阪市は、国の公共事業政策に追随し、大型開発、巨大事業に巨額の予算を投入してきた結果、一般会計で市債残高が2兆5,329億円に達する見込みとなっています。しかも、ひきつづき「北港テクノポート線整備」や「舞洲トンネル建設」など巨大開発事業や「3K赤字への穴埋め」に加え、新たに「大阪ドーム」「クリスタ長堀」への予算投入など、不況にあえいでいる大阪の地域経済を活性化させることとは裏腹の財政運営を進めています。また、今後の税収見通しも極めて厳しく、財政難を理由にした、公共料金の受益者負担増、市税や国民健康保険料の徴収率向上のための制裁措置強化など市民生活を無視した行政を強化する懸念も生まれています。 さらに、厚生労働省の発表でも市内の「ホームレス」の数が全国一といわれ、マスコミなどでは15,000人を超えるともいわれており、緊急の対策が求められているにもかかわらず、相変わらず「国際集客都市」構想を推進しています。その一方で職員を2,000人削減するなど、2001年度よりはじまった「大阪市行財政改革計画」において、各事務事業のOAコンピュータ化の促進や各事業の委託化、PFIの検討など、人減らし合理化の具体的数値目標が次々と出されてきています。 大阪市は、いまこそ、ゼネコン奉仕・福祉切り捨ての逆立ちした行政姿勢を一日も早く改め、市民や市役所労働者へ犠牲を転化することのない民主的な財政再建の道を切り開かなければなりません。 私たちは、市民の要求が実現する住民本位の民主的市政にしていくため、春闘期と重なる3月の予算市会にむけ、「大阪市をよくする会」をはじめ、市民団体や地域住民と共同して運動をすすめなければなりません。 U.すべての労働者を視野に入れた賃金・権利闘争の前進めざすたたかい 1.パート・臨時、未組織をふくむすべての労働者を視野に入れた賃金闘争を (1) 小泉内閣発足後も、日本経済はますます混迷し、「小泉不況」とまでいわれています。「構造改革」として強行されている不良債権の短期処理が景気回復の特効薬のようにいわれていますが、不良債権の多くが中小企業への事業貸付であり、その「処理」により中小企業は倒産に追い込まれ、失業者が増えつづけています。さらに、98年の後半から、卸売、輸入、消費者物価(日本銀行・総務省統計より)とも下落しています。この価格下落は需要不足から生じ、企業収益の悪化→人減らしリストラ、賃下げ→さらなる需要の低下→価格下落……というデフレスパイラルに陥っています。この悪循環を断ち切るためには、日本経済の6割を占める個人消費を増やすことが必要です。また、大企業は経常収支では21.1%増と大儲けを続けており、労働者の賃上げ要求の正当性も必要性もあきらかです。 ところが、電機大手をはじめ大企業は2001年に入り、大リストラ計画を次々と発表し、労働者の大量首切りを強行しようとしています。この大リストラをやめさせ、大企業の社会的責任を果たさせることは、2002年春闘の最重要課題となっています。リストラ反対、雇用の確保と賃金底上げのとりくみの強化が求められています。 市労組もとりくんでいる春闘アンケート結果(大阪自治労連第1次中間集計2001年12月20日発表)によっても、69.9%が「苦しい」という生活実感を回答しており、賃金引き上げは多くの労働者の切実な要求となっています。今日の不況が消費不況であるということが国民共通の認識になりつつあるもとで、大企業の民主的規制、労働者・国民の生活改善、消費購買力の回復こそが不況打開、日本経済再建の決め手であることをいっそう明らかにした賃金闘争を展開します。 (2) パート・臨時、未組織労働者を含むすべての労働者の賃金底上げをめざす社会的賃金闘争を展開します。賃金底上げのたたかいは「賃金のワークシェアリング」(賃下げによる仕事の分かち合い)を強調する日経連など資本側との最も鋭い対決点になっています。全労連が提起し、自治労連も追求してきたこのたたかいは、多くの非正規労働者・未組織労働者から歓迎されています。 また、最低賃金制度を悪用した「賃下げ攻撃」や失業者の増大を背景に「最賃以下」賃金が横行するもとで、全国一律最低賃金制の確立は急務になっています。最賃闘争は、ナショナルセンターの違いを越え労働界の一致した要求になってきているもとで、共同の課題としても重要です。 市労組は、以下の要求とたたかいの前進をめざします。 @すべての労働者に賃金の最低保障として一律引き上げ「月額15,000円」の要求を掲げ、臨時・パート、嘱託、派遣などの日給・時間給で働く仲間の要求を大切にし、未組織を含むすべての労働者に賃上げが保障される賃金闘争を展開します。 A自治体産別最低賃金として賃金底上げ要求を掲げてたたかいます。そのため、市労組は「すべての自治体労働者に月額○○○○○円、時間額○○○円」をかかげてたたかいます。また、全国一律最低賃金制の法制化のとりくみを強めます。 B公務員賃金の切り下げが、地域の経済や民間労働者の賃金に否定的な影響を与えることを明らかにし、下請け単価の改善や地域最低賃金の引き上げを自治体・議会へ要請するとともに、大阪市が業者に仕事を発注する際に、その事業にたずさわる労働者の公正・適正な賃金保障を条件とすることを要求します。 C大阪労連・地域労連に結集して地域での共同を強めます。また、大阪自治労連がとりくむ民間労働者、中小商工業者・業者団体、建設関連労組との共同を強めます。さらに、大阪労連などがとりくむ経営者団体への要請行動などに積極的に参加していきます。 (3) 市労組は2002年春闘要求大アンケートをすでに2703名分(2001年12月21日現在)集めましたが、ひきつづき要求アンケート活動を重視し、組織内のすべての労働者はもとより、大阪市役所に関連するすべての労働者や人勧の影響を受ける労働者を視野に入れ、大規模に展開します。 こうした活動にすべての組合員が参加するうえでも学習を重視し、アンケート結果を職場に返し、職場討議によって、一人ひとりのすべての生活にわたる要求を出し合い、その実現と春闘のたたかいが自らのこととして一体感をもってたたかえるよう「全生活まるごとの要求把握」「総学習」「総対話」活動を職場から追求します。 2.希望するすべての労働者に仕事を! 許すな!リストラ・不払い残業 (1) 完全失業率が5.4%(352万人)といわれ、統計史上過去最悪を更新しています。しかも不良債権の最終処理が実行されれば、膨大な下請け、中小企業を倒産に追い込み、大量の失業者を生み出します。今後も、日産、東芝、ソニー、富士通など自動車、電機、情報産業など大手30社だけでも16万人、NTTは11万人にもおよぶリストラを強行しようとしています。そのうえ、小泉内閣はリストラ容認の「雇用対策臨時特例法」でごまかし、「解雇の自由法」を国会に提出する動きを強めています。 このような動きを許さないため、リストラ「合理化」攻撃に反対し、解雇規制法の制定など働くルールの確立が急務です。このたたかいは、いまやナショナルセンターを越えて労働界の一致した要求になっています。 市労組は、全労連の提起する「最低賃金改善」「解雇規制」「サービス残業根絶」を柱とした大規模な「働くルール」署名にとりくみます。 (2) 1998年末に発表した「自治体に対する緊急雇用・失業対策要求」は全国各地で具体化され、99年春闘以降大きなたたかいに発展しています。また、「緊急地域雇用特別交付金」によって、自治体も雇用に責任があることが明らかになってきています。2002年度から「雇用創出特別交付金」として確定し、2004年度まで予算規模で前回の2,000億円から3,500億円まで拡大したことは、この間の運動の貴重な成果です。国へ向けてのたたかいとともに、大阪市に対しても、新たな職起こし、失業者への家賃補助、子どもたちへの授業料減免など雇用失業対策要求の具体化を迫ります。このたたかいの発展と併せて、大阪労連とともに「解雇規制条例」の制定など地域から解雇を規制し、失業者の就労保障・生活保障のたたかいをすすめます。 (3) 不払い・サービス残業を根絶するたたかいは、一刻の猶予も許さない緊急の課題です。自治労連は、不払い残業・サービス残業は明確な法違反であり犯罪であることを明らかにして、労働者のみならず中小企業経営者、商工業者などを含む国民的世論を結集して闘いを展開していくこととします。 市労組は、厚生労働省「通達」を広く職場・市民に知らせ、総務局への申し入れや「サービス残業」の実態調査を行います。そして市役所における福祉・保育職場などをはじめとした労働実態を明らかにし、交渉や職場での学習に活用できる政策資料を作成し、不払い・サービス残業の不当性を市民的にアピールするなどとりくみを強めます。 また職場では、人員増などにつながる労働時間短縮、不払い・サービス残業が発生しないような職場環境づくりなどの要求申し入れや労使交渉にとりくみます。 3.健康でいきいき働き続けるための労働条件確保めざし、大阪市でのとりくみ強化を! (1) 自治体リストラ攻撃の激化のもとで、長時間・超過密労働が蔓延し、過労による健康破壊、ストレスによる心の病や過労自殺が激増するなど、自治体労働者のいのちと健康がむしばまれています。市役所労働者のいのちと健康を守り、快適で生き生きと働き続けることができる職場環境をつくるため、全労連が提起している長時間労働・不払い残業根絶のたたかいと、自治労連作成の「仕事と健康チェック手帳」を活用して市職員のいのちと健康を守る運動を前進させます。 また、自治労連が提起している職場の安全・いのちと健康・心の健康を守る「大阪市における職場健康政策」策定のとりくみをはじめます。 さらに、「地方公務員災害補償基金」が、公務災害の補償・救済機関として公正・公平・中立の立場に立って運営されるよう、中央・地方での「民主化」のとりくみを強めます。 そして、地方公務員災害補償基金大阪市支部に申請した中山淑恵さんの公務災害認定のたたかいを、「市労組組合員や健康を害した保育士を一か所の保育所に集中させるなど、大阪市の保育士人事政策や保育所現場の保育体制・施設設備の不備など、長年の労働条件の劣悪さによって過労状態が蓄積し、頸肩腕症候群・慢性疲労症候群を引き起こし、疲労困憊していくなかで、精神的にも追い詰められ、ストレスを溜めていった結果としてのクモ膜下出血の発症」という視点でとらえ、市労組全体のたたかいとしてひきつづきとりくみを強めます。 (2) 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律案」が昨年11月に成立しました。「育児休業・部分休業の3年延長、介護休暇の6ヵ月延長」を誰でも必要とする時、安心して取得できる制度とするため、育児休業制度については、@地方公務員の育児休業法第4条2項(無給規定)の撤廃、A代替要員制度の確立、B有給保障では市当局に対して当面、病欠並みの水準を求める、ことを基本に、現行本市における育児休業制度の改善・拡充にむけてとりくみを強めます。また、介護欠勤制度についても期間延長、有給保障、代替要員の確保など、制度の実効性を引き上げるとりくみを強めるとともに、介護保健制度の改善にむけ、国に対し充分な財政措置を求め、補助率の引き上げを求めてとりくみます。 (3) 一時金が3年連続で削減されるもとで、より切実な要求となっている年度末手当のとりくみを強めます。大阪市では「恒久条例」によって支給率・支給日が定められていますが、その都度の労使交渉の結果にもとづいて条例部分を上回る妥結部分を新条例としてその都度議会で制定させ、支給させることは可能であることから、ひきつづきとりくみを強めます。 (4) 特殊勤務手当については、諸手当対策委員会での協議を踏まえたとりくみを経て、2000年度末に一定の整理がはかられてきました。今後、残された課題として@区役所職場の税務手当や福祉手当など支給根拠が明確な手当の増額及び繁忙実態にみあった手当などの充実、A管理職手当に変更する手当、B新たに特殊勤務手当として新設させる手当、C同種業務での特殊勤務手当の支給範囲の拡大と整理、D1993年8月以来の手当増額、などにむけとりくみをひきつづき強めます。 (5) 高齢者再任用制度について、制度・給与とも条例化されました。2002年4月1日実施にむけ以下の課題の実現を要求してとりくみを強めます。@再任用制度運用にあたっては、「希望するもの全員を対象」にすること。A退職前と異なる職種に再任用する場合は、本人の希望を尊重し、一定の研修等の実施すること。B再任用職員の所得保障は「生活できる賃金」を原則にし、支給すべき給料・諸手当は、正規職員と準じ、労使の交渉で決定すること。C短時間勤務職員の一定数の確保に伴い、正規職員を削減しないこと。Dこれまでの大阪市再雇用制度についても、水準を切り下げることなく維持・改善をはかること。また、正規職員の職域をおかさず、住民サービスの改善・向上・拡充を図る観点から、新たな職種・職域を開拓するために、市側に積極的な提案を行うことを強めていきます。同時に、市役所に働くすべての労働者を視野に入れた賃金改善をめざしたとりくみをすすめます。 (6) 1995年以来の「職員の所属間人事交流」は2001年度が最終年となりました。市労組は、「本人の意思尊重」を重視し、対象者へのヒャリングの厳格な実施、転出者名簿の厳正な確認などとりくみをすすめてきました。大阪市は昨年12月、2002年度から2007年度までの「所属間人事交流」について「対象年齢、交流規模等について新たな基準を設定」して実施したいとの提案を行ってきました。その内容は@第1項該当者の年齢を33歳から35歳へ引き上げ本人同意を排除する。A隔年ごと15%の実施を毎年10%の実施とする。B期間は、当面行革実施期間内の4年とする。というものであり、大阪市がすすめようとしている「新行財政改革計画」による機構再編・人員削減と連動していることは明らかです。 市労組は、1971年から2001年まで行われた所属間人事交流の結果と問題点を踏まえ、職場討議を重視しながらとりくみをすすめます。 (7) 福利厚生事業の充実にむけたとりくみをひきつづき強めます。市労組は、毎年、被服制度・独身寮・奨学金について改善を求める申し入れを行ってきましたが、昨年10月、市側から「職員征服の貸与年数の変更と改正」について提案が行われました。その結果、「職員制服Aの貸与年数の変更と改正」及び「職員開襟シャツ等ならびに職員事務服合冬用の改正」などについて、問題点の指摘を行いつつ、今後の協議もふくめ一定の整理をはかってきました。また、現業職の被服については、歴史的経過などが異なる点を重視し、ひきつづきとりくみを強めます。 昨年開館となった大阪市職員互助組合の新会館「ヴィアーレ大阪」は、都心の厚生施設として一定の役割を果たしています。市労組は開館以来、幾つかのとりくみで利用をすすめてきましたが、今後施設・設備の充実や利用しやすい施設にむけた要望を行っていきます。 4.公務員制度改悪に反対し、国民・住民から信頼される民主的「公務員制度」の確立を! (1)「春闘をめぐる情勢」の項でもふれたように、政府は、「公務員制度改革大綱」を2001年12月25日に閣議決定し、公務員制度の「改悪」を押し付けようとしています。 政府の進める「改革」は、公務員が「住民全体の奉仕者」としての職務を遂行するどころか、時の政権政党に従順に従い「国民に背を向ける公務員づくり」といわざるを得ないものです。公務員が「全体の奉仕者」として、国民・住民に本当に信頼される「公務員制度」の確立を図るために、以下の内容を明確にしとりくみを強めます。 @「地方公務員制度」の改革は、憲法と「地方自治の本旨」に基づき、地方自治体が国と対等の関係にあることを踏まえ、住民自治・団体自治が保障されるものとして国家公務員制度の「改革」に縛られることなく、自治体の首長、議会自治体の労働組合、住民の要望・意見を十分に尊重した改革とすること。 A「地方公務員の労働条件決定システム」の変更を伴う「地方公務員制度の改革」に当たっては、政府がILO総会で行った「国際公約」にもとづき、関係労働組合との「交渉・協議」を保障する体制をつくること。 B公務員制度改革に当たっては、憲法と地方自治法の民主的諸原則にのっとり、憲法15条に規定する「住民全体の奉仕者」として職務に専念できる制度改革を行うこと。 C憲法28条に基づき、公務員労働者の「労働基本権」の回復を明記し、ストライキ権を含む争議権、団体交渉権及び労働協約締結権について、非現業公務員にも保障すること。また、消防職員についても一般職公務員と同様の扱いとすること。 D安心して「住民本位の行政」を提供できるよう、人事・給与制度は、職員相互の連帯と協同と正しい相互批判のもとに、個人と組織がともに成長・発展できる公平・公正・透明な制度を確立し、「信賞必罰」「能力・成果主義」賃金・人事制度は行わないこと。 (2) 総額人件費抑制と住民に背を向けた公務員づくりをいっそう強化するため「能力・成果主義」賃金の導入・強化や組織・機構の改変がすすんでいます。とりわけ、国による自治体の反動的再編とからんで、各自治体では任期付研究員制度、官民交流、短時間勤務公務員など職場に多様な勤務体系や制度を持ち込み、安上がりで住民の要求を切り捨てる職員と職場をつくる動きが急ピッチですすめられています。 大阪市人事委員会は、2001年9月5日の勧告・報告において「企業の競争力を高め従業員の士気高揚を図るため、業績の成果が基本給等に反映される人事給与制度が取り入れられています」とのべ「人事給与制度のあり方について研究検討」していくと表明し、2000年勧告・報告の「調査研究」から一歩踏み込んだ報告を行いました。市当局もこの立場からの「検討」を表明しており今後国の動きとあわせて、重大な局面をむかえることになります。 市労組は、「能力・成果主義」賃金の導入・強化に反対し、職場を基礎に組合員の要求にもとづいて、「賃金と連動させない」「評価基準の公開、公正性の追求」「不服申立制度の確立」「本人開示」など、パンフレット「大阪市の昇進(昇任・昇格)人事制度−その特徴と刷新方向−」を活用し、大阪市の人事政策の研究とあわせて対置要求をかかげてたたかいます。 V.医療制度改悪反対など、社会保障の拡充を求めるたたかい 1.日本の社会保障はまだ小さいのに、なぜ、一層小さくしようとするのか バブル経済の崩壊後、すでに多国籍化していた日本企業は、アメリカ企業、ヨーロッパ企業の復活と東アジア企業の急成長をうけ、多国籍企業どうしの激しい世界的競争に勝ち抜くべく、日本経済の「高コスト」体質是正のプレッシャーをかけています。「大競争時代」にまきこまれた財界は、本国での社会保障コストを下げ、その分の資金をグローバルに使って世界的な競争力を上げることを要求し、「経済財政諮問会議」(2001年6月)の「基本方針」にまとめました。「基本方針」では、多国籍企業の経済活動にとって、国家財政を重点投入して多国籍企業の活動環境を整えるべきであるとし、賃金・雇用と並ぶ高コスト要因としての社会保障制度を構造的に見直し、財政支出を大幅に削減し、その大部分を公的保障の対象から外し、自己責任の対象に転換せよと迫っています。 小泉内閣は、大企業の本格的多国籍企業段階への突入を受けて、供給サイドに立ち企業活動の自由と市場の活性化を徹底し、多国籍企業支援の国家づくりを行う方針を固めた橋本六大改革路線を再び強いリーダーシップのもとでスピードアップさせて実行する使命を課せられた内閣です。 小泉内閣の「骨太の方針」は、勇ましい掛け声とは裏腹にカルシウム不足の骨格が給付抑制、国民負担増大、市場化の三つの衣をまとって国民の前に立ちはだかっています。高齢者医療をふくむ医療制度改革と、年金改革、および、社会福祉諸領域での利用契約制度の実質化に加えて、銀行の不良債権処理による中小企業倒産、消費税の大増税、財政構造改革、地方財政リストラなどによる国民生活の困難と重なり、影響はさらに深刻で広範なものになろうとしています。いずれも、憲法で規定する国の責任を後退させ、社会保障を市場にゆだね、国民に自立自助を求め、社会保障を質的に転換させるものとなっています。 2.医療改悪を許さないとりくみ 医療制度改悪は、現在の深刻な不況と失業のもとで、さらに不況を深刻化させるばかりか、病院から国民の足を遠ざけ、病気の重症化で命さえ危うくする結果をもたらし、憲法25条の国民の生存権の否定につながる重大な問題です。 小泉内閣がすすめようとしている医療改悪は、ア、現役世代には、窓口自己負担を2割から3割にし、保険料を賞与・一時金からも徴収する。イ、高齢者医療自己負担の月額上限の撤廃。高所得者は2割負担。ウ、医療機関は、診療報酬の事実上引き下げ改定。老人医療費抑制のための「伸び率管理」をめざすなどひどいものです。(医療制度改革大綱、2001年11月発表) 多くの自治体では、すでに国民健康保険制度が破綻の危機に直面し、大規模な滞納者がうまれ、国が推進する保険証取り上げ政策のもとで深刻な状況に陥っています。大阪市においても22%・12万世帯の滞納があり、短期証の発行数は、滞納世帯の14%・17,219世帯、資格証明書は滞納世帯の1%・1,254世帯(2001年12月5日現在)もあります。このうえに70〜74歳の高齢者を大量に国民健康保険制度に組み入れていくことは、自治体の財政負担をいっそう深刻にし、国民健康保険制度の崩壊と国民の命を奪う結果を招くものです。 政府は、日本の医療費が異常に肥大化しているように描き、国民負担増、医療費の抑制を当然としていますが、国内総生産(GDP)における医療費水準は、先進7カ国で最低水準にあり、国の財政負担率の大幅な引き上げを行なうとともに、製薬会社のための高すぎる薬剤費比率の見直しを行なうべきです。すでに医師会はじめ多くの国民が怒りの声を上げています。全労連、社保協とともに、広範な国民と連帯・共同した運動を大きく広げ、政府に対して医療制度「改革」を撤回させ、小泉「構造改革」に風穴をあけるたたかいとして重視し、とりくみをすすめます。 @「1行政区1共同」で地域に出た対話をすすめます 自治労連が提起する「小泉構造改革攻撃を追いつめ、流れを変える運動」としての「1自治体1共同」の運動を、市労組として「1行政区1共同」と受け止め、医師会への申し入れなど地域に出て対話と共同の運動をすすめます。 A支部・分会での学習活動を強めます 学習会を支部・分会で強め、全組合員が医療制度改革の内容と問題点を理解し、積極的に共同行動に参加して行きます。 B署名活動やポテッカー張り出しで雰囲気と世論を変える共同行動 職場や地域の運動でポテッカーを大量に活用し、医療改悪反対署名運動も思い切って広げて、職場や地域の雰囲気を変えるとりくみをすすめます。 C国民健康保険制度改善と結合し、自治体との共同を追求します 国民健康保険制度の改善にむけ、制度の現状や問題をアピールし、自治体・議会への要請を強め共同した運動を広げます。 3.公的保育を守るとりくみ 小泉首相は所信表明演説で「待機児童ゼロ作戦」の実行を公約しました。しかし、政府の待機児童ゼロ作戦は「最小コストで最良・最大のサービスを」が基本であることをうたっています。したがって基本方針では「保育の拡充は公立及び社会福祉法人を基盤としつつ、さらに、民間活力を導入し公設民営型など多様化を図る」「施設の運営は民間を極力活用し、最小コストで最大の受け入れの現実を図る」「新設の保育所については、学校の空き教室等の既存の公的施設や民間施設を活用して企業、NPOなどをはじめ民営で行うことを基本とする」などとしています。 待機児童数全国一の大阪市では、全国平均と比べて、働く女性の割合が多く、保育所の需要が他市以上に多いにもかかわらず、保育所の整備をすすめるどころか、相次ぐ統廃合で公立保育所数も定員も減らしてきました。1998年度と2001年度を比較すると、公立保育所は4ヶ所が統廃合で無くなりました。公立保育所への入所申し込み数は1,000人近くも増えているのに、定数は316人も減っています。これでは待機児童が増えて当然です。 公立の定員は減らし、民間保育所に定数の25%以上の児童を詰め込んでいる大阪市の「待機児童対策」に大きな矛盾がでています。第1は、定数以上の子どもが「詰め込まれている」民間保育所の保育士と子どもへの負担です。最高で定数の133%の児童が入所し、希望の多い零歳や一歳児では6割から7割増の子どもが詰め込まれています。第2は、民間任せでは、待機児童そのものが減りません。民間保育所では、これからの少子化社会のなかで、採算の見込みが立たなければ、保育所を新設したり、保育室を増築して、受け入れ児童を増やすことはできません。おのずと「詰め込み」にも限界が出てきます。 父母と子の期待にこたえる待機児童解消のためには、なによりも「安上がり」政策ではなく、公的責任を明確にした対応が必要です。そのために大阪市のすべての保育労働者・保護者とともに、以下の政策をかかげ、市労組連、市地区協、市対連の予算要求運動や、福保支部の予算人員闘争と結合させ、ねばり強くたたかいをすすめるとともに、運動を展開します。 @ 統廃合はやめ、待機児童解消に必要な数の公立保育所を増設し、要望の強い零歳、1歳の低年齢児の枠を拡大を求めます。 A 公立の配置基準の引き下げは、私立に対して、公私間格差是正を理由にして出している運営助成の根拠をもなくすことにつながり、私立運営をいっそう困難にすることに道を開くことになります。保育士の配置基準の改悪による形だけの待機児童解消を許しません。 B 保育時間を、勤務時間と通勤時間の実態に合わせたものに改善し、産休明け保育を公立でも実施することなど、公立保育所を父母の願いにかなったものへの改善を求めます。 4.介護保険制度の充実を求めるとりくみ 介護保険制度がスタートして1年数ヶ月が過ぎました。この制度のポイントは、高齢者福祉が「措置制度」から「利用契約制度」に転換し、同時に、その利用料支援システムとして「介護保険」という新たな社会保険が導入された、という点にあります。 本来、福祉の権利は、憲法25条を根拠に、ニーズのある人には支払能力に関係なく、必要なサービスを受ける権利があるという意味でした。それが介護保険導入を機に、ことごとく崩されています。ニーズがあってもお金(保険料)を払わなければ権利はないし、サービスも受けられません。まさに負担なくして、給付なしという考え方です。それ自体、本人の自助を強調し、従来の福祉の権利の考え方を根本からくつがえすものです。 このことは、介護保険制度が、収入別・資産別の「階層別社会福祉」に道を開くものであることを物語っています。自前の上乗せ分を支払える人とそうでない人の区分です。現在のところでは、収入格差・資産格差は、1割の利用料負担にどこまで耐えられるか、という点に主として現れていますが、今後の「地方財政リストラ」の規模によっては、利用限度額自身の切り下げの可能性も考えられ、自己負担分の意味が大きくなる事態も予想しておかなければなりません。 要するに、介護保険制度の1年数ヶ月の経験は、それをふくむ「社会保障構造改革」の全体が実行された場合、国民生活にどのように巨大な影響が生まれるかを、垣間見せてくれたのです。その内容は第一に、医療・福祉分野への公費支出、特に国庫負担の抑制・削減。第二に、応益負担を原則とする患者・利用者負担の強化、特に高齢者をターゲットにした負担増。第三に、医療・福祉事業の営利化と同事業からの公の撤退に要約されます。それは最終的には、社会保障における財政責任も含めた国や自治体の公的責任の放棄を意味しています。そのため、このままの形で改革が進められていけば、社会保障制度が、かえって生活不安を助長するだけでなく、低所得者や高齢者の生活破壊を加速するという事態が生じてきます。 その意味で、介護保険の実態や社会保障構造改革の危険性を多くの人に知らせていく運動の早急な広がりが求められています。 大阪市においても、重い利用料負担のため利用抑制がすすみ、逆に市の負担が74億円も減少しています。そのために、介護保険料を住民税非課税世帯まで無料にし、それ以上の所得の人は基準額の4分の1を減額、利用料も減額するための条例改正の制定運動を大阪市対策連絡会議や大阪社会保障推進協議会に結集し、とりくみます。 W.自治体リストラに反対し、市民自治をひろげるたたかい 大阪市は昨年11月に『総合計画21推進のための新指針 いきいき大阪再生プラン』を策定しました。計画期間は2001〜03年度の3カ年として、今後どのような施策に重点を置き、事業を進めていくのかを示したものです。その特徴は、表向きには具体的な大型開発プロジェクトが盛り込まれていない一方で、大阪市における4つの課題の1番目に「都市間競争に勝ち抜く」ことが強調されていることにあります。『再生プラン』では、国の枠を超えて都市が直接その魅力を競い合う「都市間競争」の時代が到来すると予測され、多様な都市魅力を備えることが都市の発展を左右するとしています。そのための事業として国際競技大会の招致・開催など「スポーツパラダイス構想」の推進、大阪の魅力を世界に情報発信するため各種の国際会議の積極的な誘致が掲げられています。つまり市当局は、住民からの批判が強くなっている大型公共事業を「都市間競争」という名目にして今後も推進しようとしています。 その一方で市当局は、昨年3月の『新行財政改革計画』において「市長部局の職員2000人以上の削減」という職員定数削減を明記しました。その数値目標を達成するために行政事務の効率化と機構の簡素化、委託化などの自治体リストラが計画されています。しかしそこには地方分権の時代にふさわしい地方自治や機能の強化は考慮されていません。 市労組は、住民サービスの低下につながる自治体リストラには反対し、住民参加による住民自治の向上と自治体としての機能強化に取り組みます。 1.「区役所改革」についてのとりくみ 区役所では、「区役所機能のあり方」の名による「適正配置」が1998年4月に戸籍登録課、2000年4月には保険年金課、税務課で実施されました。福祉事務所では「生活保護実施体制」の暫定配置に基づく「配置基準」が押しつけられ、健康福祉サービス課については、介護保険制度の発足にあわせた定数管理があり、欠員補充ルールは維持したとはいえ、「システム効果による見直し」や「定数減が年度当初から起こっても定数確保を行わない『適正配置数』」による人員削減攻撃がすすめられてきました。 2002年度は、区役所各部門の再編にあわせた「企画総務課と区民室の2課の適正配置」が、業務再編、機構改革と並行して実施が予定されています。 区役所の業務再編・機構改革そのものについては区役所支部評議会に個々の提案もされ、現在討議中ですが、業務量と必要要員との関連から「適正な要員配置」について当局との協議を強める必要はあります。 今回の提案は、各部門の業務内容や移管される業務などが当局より整理され、各課・係の具体的な業務量の積算要素・積算方法の項目のみが提示されていますが、具体的事務処理にかかる単位時分や処理件数、そこから算出される区役所別の総業務量等がまったく明らかにされていません。これでは職場討議の検討材料のないまま合意を強要する過去の「適正配置」提案と同様の、一方的な提案といわざるを得ません。 市労組は区役所支部評議会と連携し、「適正配置」の名による職員削減・区役所機能の低下を許さず、春闘時期の学習会の開催などで「自治体リストラ」攻撃を打ち破るとりくみをすすめます。 2.保健センターと区役所の統合についてのとりくみ 大阪市は、2000年4月、各区にあった保健所を保健センターに格下げし、2001年4月の機構改革で環境保健局と民生局を統合し健康福祉局を新設しました。さまざまな問題や矛盾が起きているにもかかわらず、その検証もないまま、2002年4月には各区の保健センターを区役所に編入するための部内調整に入りました。 市民や現場の労働者の意見を聞かないままの提案であるため、現場の労働者からは、「予防活動を中心とした公衆衛生活動が後退するのではないか?」「地域担当制が業務担当制になって、地域に責任を持つ活動が十分できない」などの意見や不安の声が出されています。さらに、対人保健サービスと環境問題などの対物サービスは車の両輪の関係にあり、双方が一体となったとりくみが必要とされていますが、これらの問題も克服されていません。 保健センターの区役所への編入については、すでに区役所に配属されている保健婦の仕事についての業務検証と、当該の保健婦や区役所職員の意見をまず聞くことから始めなければなりません。 市労組として、1月12日開催の「保健所守る大阪市民の会シンポジウム」での助言や、意見を踏まえて、本部・区役所支部評議会・環境保健分会で連携したとりくみをすすめ、機構改革案にたいする対市交渉をすすめます。 X.平和と民主主義を守り、消費税減税・民主的行政確立のたたかい (1)国連中心のテロ根絶を願う国際世論に逆行し、アメリカの報復戦争に日本の自衛隊を参戦させる「テロ対策特別措置法」「PKO(国連平和維持活動)協力法改悪案」が、秋の臨時国会で強行成立しました。このことは、憲法で恒久平和をうたい戦争を放棄した日本が、戦後初めて他国の戦争に参加する国になったことです。 通常国会で、周辺事態の際に自衛隊が米軍とともに本格的な軍事行動と国民の動員、徴用を実行するための「緊急事態法」、PKOの5原則の見直し、憲法改定手続を好きを定める法立案の提出をめざしており、憲法と平和をめぐって重要な段階を迎えています。それだけに、職場のすみずみに労働組合や公務上の役職を乗り越えた共同、つまり革新懇のような運動を築く必要性が生まれています。 市労組は、平和の流れに逆行する日米軍事同盟に反対し、憲法改悪阻止のたたかいを強化します。また、市役所内の平和と民主主義を求める人たちとの共同とその運動体の育成にも力を尽くします。 そのために、@職場学習を強め、職場決議運動をすすめ、A地域で、共同して宣伝と署名運動を推進し、B2002年3・1ビキニデーの成功、C沖縄新基地建設反対、名護市長選挙支援、D全国革新懇「地域・職場革新懇全国交流集会」(2月16日クレオ大阪中央・17日大阪工業専門学校)の成功、のために奮闘します。 (2)政府は、2002年度の税制改正において「大企業には連結納税制度で8,000億の減税」、「高齢者にはマル優廃止で1500億の増税 」を行おうとしています。 65歳以上の高齢者向けマル優については、2003年1月1日から、新規の預貯金の利子所得に対する非課税措置を段階的に停止していき、3年後の2005年末に完全に廃止するとしており、一方、法人の連結納税制度は、2002年4月からの導入を決定し、それによる減税額は、国税の法人税の税収で約8,000億円になります。この他、中小企業にも新たに法人事業税(都道府県)を課することになる「外形標準課税」について, 2003年度をめどに導入を図る予定です。また、消費税についても小泉首相は、「予見なしに論議してもらう」と明言しています。 市労組は、消費税の減税のために中央・地域の「消費税廃止各界連絡会」に結集し運動をすすめ、大商連や「消費税を無くす会」など諸団体との共同をひろげます。 (3)小泉内閣は、失業・倒産・福祉切り捨て政治を、国民に「いま痛みに耐えれば明日は良くなる」という論理で押付けてきました。ところが、この間の政府・与党の対応をみると道路公団の決着をみても、ムダな高速道路はつくりつづけ、結局浪費を温存する政治をすすめてきたわけです。このような自公保政権をこれ以上継続させるわけにはいきません。2002年の通常国会に向けてたたかいを強化することが必要です。 市労組は、国民的共同組織である「軍事費を削って、くらし・福祉・教育の充実をもとめる国民大運動実行委員会」に結集してとりくみます。また、自治労連に結集し、国会にむけての全国統一行動、国会議員要請行動、また各種署名にとりくみます。 (4)国政の民主的転換と併せて地方政治の転換も重要な課題です。京都府知事選挙、横浜市長選挙が4月に行われますが、他の首長選にも大きく影響することからも重視してとりくみます。また、大阪府下でも住民本位の自治体建設のために、貝塚市長選挙(1月)、豊中市長選挙(4月)、にとりくみ、二期目になる東大阪市長選挙(6月)には、組織をあげ勝利のために奮闘します。 Y.春闘をたたかうなかで、着実な市労組の組織建設を (1)「能力・成績主義」賃金の導入・強化や新しい段階に入った自治体リストラ攻撃や公務員制度改革のもとで、市労組への期待と役割が強まっています。これに応えて、市労組の組織強化拡大をすすめて2002年国民春闘の前進の力としていきます。 春には新規採用職員が、希望と不安の中で職場に入ってきます。今自治体職場に入ってくる青年は、市労組がとりくんだ「青年なんでもアンケート」でも明らかなように、多少の「組織ぎらい」「気のあった仲間で過ごしたい」などの特有の気分、感情があるものの、「自分を認めてもらいたい」「仕事に働きがいをもちたい」という思いをもち、賃金や休暇への要求も強く、労働組合への期待は高いという特徴があります。こうした青年の特徴もふまえ、積極的によびかけるとともに、ねばりづよくとりくみをすすめます。また、採用後2〜5年たっている青年は、仕事でも中堅になり、仕事が正当に評価されていないことへの不満も強まり、同時に結婚をひかえ、賃金や休暇、住宅要求などが強まっているのも特徴です。こうした青年層に対して青年向け学習会等も活用して働きかけをすすめていきます。 (2)低賃金と劣悪な労働条件で雇用不安の温床となっている臨時的任用職員、非常勤嘱託職員の抜本的な労働条件改善めざし、組織化を重視してとりくみます。とりわけ、臨時的任用保育士の賃金・労働条件改善の実現をめざすとりくみを強めます。 深刻な財政難のもとで自治体リストラが新しい段階に入っていますが、その攻撃は事業団、公社など外郭団体はじめ自治体が業務委託している民間会社や法人でも例外ではありません。これらの「関連」職場との対話を広げていきます。また、嘱託職員で構成されている市バス労組のとりくみを支援します。 (3)消防職員むけ要求アンケートを活用して消防職員の要求提出や要請行動に協力します。また同じ自治体労働者という立場から、団結権の獲得をめざすために、「全国消防職員ネットワークの会」への参加をひきつづき呼びかけるとともに、組織と運動の形態を工夫した要求実現のとりくみを前進させます。 (4)大阪自治労連が開催する第13回組織集会(2月21日)、第3回オルガナイザー講座(3月9日)に各支部からの参加を要請し、全国的な活動の経験を学びます。 大阪労連の提起する労働相談活動の経験交流や、各地域労連で奮闘されている市労組組合員の要望などに応えた活動経験の交流会を開催します。 (5)労働組合の組織活動の原点でもある自治労連共済を組織拡大・強化の重要な柱として位置付けます。民間生保の相次ぐ経営破綻や社会保障が切り捨てられるもとで、組合員とその家族の大きな安心を保障することは重要な課題となっています。自治労が、共済を利用して裏金作りを行ったことは、官僚的労働運動をすすめてきた自治労の当然の結果としても、共済活動全体への労働者の信頼を著しく損ないました。自治労連共済の原点を忘れず、期待と役割にこたえられるように、自治労連共済の拡大・強化を追求するとともに、春の加入拡大月間に向けて、自治労連第9回共済学校(2月22・23 日、群馬県水上温泉)などに参加し、市労組の組織活動に生かします。 (6)市労組の活性化、組織の強化をめざし、定期的に会議を開催することを重視します。組合員が市労組運動への確信をつかみ、自覚的・自発的な活動を行うエネルギーの源泉となる支部・分会会議は、組合員が、互いに条件、得手を生かし、力を合わせ、成長していく場として大切です。そして、組合員個々人の人生のさまざまな転機に際して、ささえあい励ましあう、あたたかい信頼感にささえられた人間関係をきづくうえでも、支部・分会会議の果たす役割はかけがえのないものです。さまざまな困難があっても、定期的に会議を開くことは労働運動の最前線で「支部・分会が主役」の活動を発展させる不可欠の土台です。 そのためにも、本部は支部からの「悩みに応える援助が欲しい」という声を真摯に受け止め、双方向で学びあい、心が通いあった組織づくりをすすめるとともに、労働組合活動家を養成する実践的学習会「オレンジセミナー」の開催をめざします。 Z.要求と闘争体制の確立 1.要求をつくるうえで、組合員の全生活を視野に入れ、職場、家庭、地域などの要求をくみ上げることが大切です。 また、「正規」職員のみならず臨時的任用・非常勤嘱託職員、パート・アルバイト職員など自治体で働くすべての労働者の要求を結集し、労働組合の春闘要求に反映させることが重要になっています。労働組合に加入していない仲間、不安定雇用労働者の仲間などの要求を反映させることが、小泉「構造改革」路線と対決し、国民の支持共感を得るものとして要求の社会性、正当性を高めることを重視したとりくみを強めます。 2.そのため、要求アンケートを組合員はもとより、自治体職場及び関連職場で働く未組織、不安定雇用労働者も視野に入れて大規模にとりくむことが重要です。また、各地域労連とも協力し、「人勧影響750万労働者」に対しても大々的にとりくむことが求められています。この集計結果をもとに職場で、要求討議を行い、一人ひとりの要求を大切にしながら、学習と要求討議を車の両輪のように大事にして、組織の要求に練り上げていきます。 3.自治労連は、春闘討論集会、職場学習会、職場討議を経ながら、2月6日〜7日の第23回中央委員会(岡山市)で要求決定を行います。また、2月25日を一斉要求提出日として、この日に地方組織をはじめ全組織そろって要求提出を行うこととしています。 市労組は、1月10日の第3回中央委員会で2002年春闘方針案を提案し、各支部・分会で討議をすすめつつ、1月24日〜25日の市労組春闘討論集会を経て、2月8日の第24回臨時大会で方針を確立することとします。 4.2月25日から2月28日までを「2002年国民春闘統一行動(ストライキなどを含む)」批准投票期間として設定し、組合員の要求実現に対する切実さ、団結の強さを示すものとして、全組合員投票、高批准率をめざします。 以上のことを行うため、各支部での春闘闘争体制を確立し、要求アンケートの集約、学習を先行させながら、文字通り全構成員規模をめざして「総対話と共同」をとりくみます。あわせて、全労連、自治労連などの全国統一行勤、提起などと市労組の行動を具体的に組み合わせて春闘全体の計画を立てることとします。具体的には、ひきつづき本部闘争委員会の確立・結集とあわせて、本庁・港湾・福祉保育・区役所支部の書記長で構成する「市労組春闘企画委員会」を開催し、各支部の活動の特徴を生かし、市労組全体が一丸となってとりくむことができ、連帯する春闘をめざします。 [.重点行動と主な日程、宣伝・学習計画 1.重点行動 (1)10月からとりくんでいます春闘アンケートは、集計上、1月中旬までとしますが、「総対話と共同」の観点からひきつづき、アンケート活動を展開します。いまとりくんでいる春闘アンケートを文字通り「総対話と共同」を広げ、労働者・国民の要求を結集する武器として、自治体内のすべての労働者はもとより、関連労働者、「人勧影響750万労働者」、自治体への派遣労働者、公共事業の下請け労働者など、思い切って視野を広げ、ひきつづきとりくみます。 また、確信を持って春闘をたたかうため、職場学習会、懇談会などを重視し、出足早くとりくみをすすめます。春闘アンケートなどに基づき職場ごとに要求討議を行い、支部・分会で要求のまとめをおこない、春闘時に職場申入れなどに生かすとりくみとします。 (2)1月から2月にかけて、大阪労連・大阪自治労連の方針に沿って大企業包囲行動、「人勧影響750万労働者」との本格的な「対話と共同」に参加します。 労働者に一方的な賃下げ、解雇などを強要を繰り返す大企業に対して国民の怒りは大きいものがあります。また、大企業を中心とする不払い残業の横行など企業の反社会性も大きな批判を浴びています。 1月11日の日経連総会抗議行動を皮きりに1月から2月にかけて、大企業の社会的責任を追及し、労働者のたたかいを激励し、国民世論の喚起を図る包囲網大作戦に参加します。 あわせて、自治労連が提起している中央・地方が一体となって公務労組連絡会規模の「人勧影響750万労働者」との本格的な「対話と共同」を目標と計画をもって展開するとともに、「2・20地域総行動」をはさんで公務大産別規模の住民向け宣伝行動にも参加します。 (3)2月20日に職場・地域のあらゆる要求を持ちより地域を変える総決起にとりくみます。 2月20日の列島総行動統一日を中心に地域を主戦場とした総行動を展開します。職場ごとの集会、全駅頭宣伝、スーパー前宣伝、デモ行動など、あるいは労組、中小企業訪問など共同を広げる行動、府市・議会への要請など全組合員の参加で、地域を変える行動を展開します。 また、これと前後した時期に、地域労連における役員をはじめとした「市労組組合員地域労連担当者交流会」を開催し、大阪市内の各地域における活動の交流を強め、市労組運動に反映させます。 (4)3月に春闘の統一行動と政治の転換、霞ヶ関包囲行動と決起集会の成功をめざします。 3月14日に単産・大産別を軸とした「2002年春闘中央行動」で省庁包囲・交渉、国会要請行動、中央決起集会・デモ、団体要請などの行動を行います。また3月5日に開催される大阪労連市地区協の「市内地域春闘闘争宣言集会」にも積極的に参加していきます。 自治労連は、国民諸要求の実現、政治の民主的転換を求める立場で、職場と地域の要求を総ざらいし、3月13日を集中回答指定日として、翌日に統一行動を配置して、集中と統一した力で回答を迫るとしています。市労組は3月14日の全国統一行動、大阪総行動など積極的に参加します。 春闘の状況、国会・政治情勢の進展を見ながら、4月12日に予定されている春闘の前進、国民的要求課題をかかげた全国的統一行動に参加していきます。 (5)「市労組連統一賃金要求・市労組(案)」については、要求アンケートの集約・分析と学習・討論を踏まえて、確定します。具体的には、春闘討論集会で春闘方針とともに提起し、2月6日〜7日の第 23回自治労連中央委員会での決定とあわせ、市労組臨時大会で確定し、2月15日の第39回大阪自治労連中央委員会にその内容を反映させていくこととします。 市労組連としては、単組書記長賃金担当者会議での議論を踏まえ、2月19日開催予定の第23回中央委員会において「2001年市労組連統一賃金要求」を決定するとしており、市労組としての意見反映を行います。また、要求申入れについては、自治労連の統一要求申入れ基準日2月25日、回答指定日・自治省交渉3月14日を基本としながらとりくみます。 2.当面の日程 《第1節》1月〜2月(要求・方針討議と決定、批准投票、地域総行動など) 1月11日(金) 春闘スタート・日経連臨時総会抗議宣伝 駅頭・門前 1月12日(土)午後1時30分〜 大阪労連2002年地域春闘学習交流会 住まいの情報センター 1月16日(水)午後6時〜 第3回病院対策委員会 本部事務所 1月16日(水)午前10時〜 大阪自治労連婦人部02年春闘討論集会 府立労働センター606号 1月17日(木) 阪神・淡路大震災メモリアルデー 1月18日(金)〜19日(土) 自治労連政令都市職部会(組織・宣伝・青年) 佐賀県唐津市 1月20日(日)午後1時30分〜 働く女性の大阪集会 クレオ大阪西 1月20日(日) 貝塚市長選挙告示日 1月21日(月) 第154回通常国会開会日 1月21日(月)午後6時00分〜 働くルール署名宣伝統一行動 JR天王寺駅頭 1月22日(火)午後6時30分〜 市労組連「旗びらき」 1月23日(水)午後6時30分〜 市労組「新春ピンポン大会」 なんば府立体育館 1月24日(木)午後1時30分〜25日(金)・市労組2002年春闘討論集会 ロッジ舞洲 1月25日(金)〜26日(土) 自治労連組織集会 愛知県蒲郡市 1月26日(土)午前10時〜 大阪労連第25回臨時大会 クレオ大阪中央 1月27日(日) 貝塚市長選挙投票日 1月30日(水)午後3時〜 大阪自治労連第1回保育闘争委員会 大阪グリーン会館 1月31日(木)午後6時30分〜 医療制度改悪阻止!学習決起集会 クレオ大阪西 2月6日(水)〜7日(木) 第23回自治労連中央委員会 岡山市 2月7日(木)〜8日(金) 市地区協「2002年度大阪市予算要望」 大阪市教育青年センター 2月8日(金)午後1時30分 市労組第24回臨時大会 大阪グリーン会館2階ホール 2月8日(金)〜11日(月) 市労組青年部すきぃふぇすてぃばる 白馬乗鞍 2月15日(金) 大阪自治労連第39回中央委員会 大阪グリーン会館2F 2月15日(金) 全労連争議支援総行動 2月16日(土)〜17日(日) 民法協2002年権利討論集会 宝塚グランドホテル 2月19日(火) 市労組連中央委員会 2月20日(水) 日本列島騒然全国一斉地域総行動 2月21日(木) 大阪自治労連第13回組織集会 大阪グリーン会館 2月21日(木)午後6時00分〜 働くルール署名宣伝統一行動 JR京橋駅頭 2月22日(金)〜28日(木) スト批准投票 2月22日(金)〜23日(土) 自治労連第9回共済学校 群馬県水上 2月27日(水) 大阪府議会開会日/府庁包囲総行動 《第2節》3月(交渉、統一行動など) 3月1日(金) 大阪市議会開会日 3月5日(火)午後6時30分〜 市地区協「市内地域春闘闘争宣言集会」 会場未定 3月7日(木)・14日(木) 大阪自治労連春闘統一交渉日 3月8日(金) 国際婦人デー大阪集会 3月9日(土) 第3回オルガナイザー講座 3月13日(水) 重税反対全国統一行動 3月14日(木) 公務労組連中央行動・自治労連総務省交渉 東京 3月15日(金) 全労連第1次全国統一行動(スト含む)・第1次御堂筋総行動 3月20日(水)午後6時00分〜 働くルール署名宣伝統一行動 《第3節》4月〜5月(社会的インパクトある行動、夏季闘争準備、メーデーなど) 全労連第2次全国統一行動 第2次御堂筋総行動 「全国民的ストなど決起行動のよびかけ」 (4月12日予定) 4月14日(日)告示 豊中市長選挙(21日(日)投票) 4月19日(金)午後6時00分〜 働くルール署名宣伝統一行動 5月1日(火) 第73回メーデー 5月10日(金) 大阪自治労連第40回中央委員会 5月17日(金) 市地区協「新組合(員)歓迎!争議支援の夕べ」 5月25日(土)〜26日(日) 大阪労連第10回地域労働運動・組織交流集会 会場未定 3.2002年春闘の宣伝計画 (1)自治労連(予定) 春闘パンフ(組合役員用)・春闘リーフ(全組合員)・春闘ワッペン(全組合員) ・ポスターステッカー・ 2002年春闘ビデオ・春闘宣伝カット集・共同ビラ・新採向けリーフ(2002エール) ・自治体の仲間号外・自治体の仲間「新採特集号」 (2)大阪自治労連(予定) 2002年春闘ビラ(組織内、共同、住民向け、部会など)・新規採用者獲得宣伝ビラ (3)大阪市労組 ・機関紙「大阪市労組」での市役所労働者向け宣伝 ・ニュースレター「とれんど」、「2002年国民春闘版」の発行 ・春闘課題に応じたビラ、宣伝物の作成配付、春闘カット集の配布 ・支部、分会での宣伝活動の援助強化 ・各種ビラ、宣伝物の迅速な配布体制、宣伝行動の強化 ・2002年新採向け宣伝、組織強化・拡大向けパンフの作成 ・第73回メーデーでの宣伝活動のとりくみ ・機関紙学校などへの参加 ・大阪自治労連機関紙学校 ・関西機関紙学校(機関紙協会) ・各種機関紙コンクールの参加 ・2002新年号コンクール(日本機関紙協会大阪府本部)1月 ・全関西機関紙コンテスト 5月ごろ ・自治労連機関紙コンクール 5月ごろ 4.教育・学習のとりくみ (1)2002年春闘学習会(課題別学習会) (2)各支部・分会での学習会講師派遣 (3)勤労協労働学校などの参加と組織化 (4) 期関西労働学校 2月開校 (5)「春のいきいき文化セミナー」 3月ごろ (6)市労組労働学校の開催 |