2003年賃金確定闘争について
小泉「構造改革」路線に傾斜し「財政非常事態」を最大限に利用した総人件費抑制、これとたたかった2003年賃金改定・年末一時金・退職手当闘争の到達点
および、市民・職員犠牲の大阪市政の転換を求めてたたかった大阪市長選挙について

2003年12月25日・大阪市労働組合総連合


1.市労組連は、12月24日から25日に掛けて、市側と退職手当問題について最終的な三役折衝を行い、その後開催した執行委員会においてこの最終内容を単組討議に付すことを確認しました。
 また、これに先立って10月30日より継続協議されてきた2003年の賃金改定・年末一時金に関わって12月8日三役折衝を行い本年の最終的な回答内容を確認してきました。

2.市労組連は、去る10月30日における交渉の到達点を踏まえ、以下の見解を表明してきました。「2003年賃金確定・年末一時金闘争は、小泉自公保内閣による『構造改革』路線の強行と財界戦略による、労働者・国民への超低賃金攻撃の一層の強まりとともに、『財政非常事態』を理由とした当局による職員に対する総人件費攻撃がかけられるという、かつてない状況のなかで闘われました。それは、賃金・一時金・退職手当の削減という組合員や家族の生活設計・将来設計に大打撃を与える三位一体の提案であり、まさに不当極まりないものでした。」

3.その後、11月16日告示、11月30日投票の大阪市長選挙では、第3セクター3社(WTC・ATC・MDC)の「特定調停」問題や無人の島にトンネル工事などの問題が大きくマスコミで取り上げられ、巨額の税金を投入した大規模開発のムダ遣いに対する市民の批判の高まりを示しました。
 これは、市労組連が繰り返し主張してきた「市民犠牲・職員犠牲の市政運営を根本的に改めるために大規模開発への巨額の財政投入を見直すべきである」ということが、多くの市民に受けとめられたことを実感させるものでした。市労組連としても、今後、引きつづき、市政の民主的転換にむけたとりくみを強めるものです。

4.2003年賃金確定・年末一時金は、市長選挙執行後の12月8日、三役折衝において、以下の市側最終回答が示されました。
@給与改定について、マイナス1.98%を基本に改定を行う。初任給を1号引き下げる。
A扶養手当について、配偶者は現行月額18,000円を16,500円に引き下げ、配偶者以外の扶養親族のうち3人目以降の手当は、現行月額3,500円を5,000円引き上げとする。
B住居手当について、「住居費を負担していると認められる職員の現行月額1,500円の手当」を廃止する。
(以上、平成16年1月実施)
C通勤手当について、「現行1箇月の定期券等の価格による支給」を「6箇月以内の最長期間における定期券等の価格による一括支給」に改め、全額支給限度額を現行50,000円から55,000円に引き上げる。また、交通用具使用者のうち「歩行困難な職員に係る特例加算」を改正する。(平成16年4月以降に実施)
D期末手当を0.25月分(再任用職員0.15月)に引き下げ、年度末手当において調整する。年間の支給回数等は来年度に協議する。
E総人件費抑制策について「平成16年1月から平成17年3月まで、給料の1%(行政職給料表1〜3級・技能労務職給料表1〜5級)及び2%(行政職給料表4〜6級・技能労務職給料表6〜8級)のカットを行う。」
以上の基本回答とともに重点要求への回答も示されました。

5.2003年賃金確定闘争における市側回答は、組合員の要求から見るなら極めて厳しい内容であり、大いに不満が残るものです。しかし、マイナス給与改定については、大阪市人事委員会の2003年度勧告のマイナス3.03%を下回り、昨年の勧告水準で押し止めたこと、改定の実施時期を来年の1月実施(以降)にしたことにより、「不利益遡及」を行わせなかったこと。など他都市の回答水準を上回る内容を確保しました。また、給与のカットについては、本年度の昇給ストップによる被害が最も大きかった青年層のカット率を1%に縮小させたことは、昨年のたたかいの経過からみて評価できるものです。
 これらのとりくみを通じ、生涯賃金の水準確保をめざすとりくみで一定の足がかりを確保し、引きつづきのとりくみの強化が求められます。さらに、マイナス人勧実施が民間賃金の引き下げを誘発し、それがまた、公務員賃金を引き下げるという「悪魔のサイクル」を阻止するたたかいに引き続き地域の民間労働者と連帯したとりくみのいっそうの強化が求められます。

6.市労組連は、退職手当問題に関わって、この間、市側との断続的な協議を行ってきました。そして、12月25日の三役折衝の場で、以下の最終的な回答が示されました。
@最高支給率を62.7月から59.28月に引き下げる。
A引き下げはマイナス5.45%を基本に、全勤続年数を範囲とする。
B実施時期は、平成16年3月1日実施とし、初年度のみ2分の1の削減率を基本とする。
 市労組連は、これまで、10月末の団体交渉の推移などを踏まえ、11月以降「退職手当の引き下げに反対する要請署名」をとりくみ、12月15日に磯村市長に対し1,086筆の署名を提出して、職場の切実な声をとどけてきました。書記長折衝を重ねるとともにねばりづよく団体交渉の開催を求めてきました。「退職手当は、賃金の後払いであり、退職後の生活保障」という性格をもっていること、「国や他都市の動向に同調せず、自主的・主体的に対応すべき」であることを強く主張しとりくんできました。
 退職手当は職員の人生設計に大きな影響を持つ、重要な労働条件の一つです。労働組合との協議を充分に尽くすことは、組合員に対して討議保障を行うことであり、組合員にとっては自らの生活設計・将来設計の討議に参画するという権利を行使する場です。このような、労働組合運動の原則的見地からみて、今回の市側がとった協議対応は、多くの問題点を含むものでした。
 それは、団体交渉を開催せず、正式提案や終結の団体交渉もないという、異例中の異例の事態でした。また、市労組連は退職手当減額を前提とした労使協議会に対して批判をもつものですが、市労連と市側がすすめる労使協議会といえる専門委員会すら、2週間足らずの超短期間でしか協議されませんでした。その一方でその専門委員会での協議文書を職場で活用し、組合連合体間での差別的取扱いを演出するかのような事態もうまれました。このような経過について市労連に対する批判は免れないものがあります。市労組連は今回の経過を批判するとともに、前例とすることのないよう強く指摘を行い、市側も今後の誠実な対処を約しました。
 今後、公的年金制度のさらなる改悪や「老年者控除の廃止」「公的年金等控除の縮小」など税制改悪がとりざたされ、老後の生活不安がますます深刻になっているなか、市労組連のいっそうの奮闘が求められます。ひくつづき2004年春闘の前進をめざして奮闘するものです。

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