2008年オリンピック開催地(北京)決定にあたって(談話)
2008年オリンピック開催地(北京)
決定にあたって(談話)

2001年7月14日 大阪市役所労働組合行財政部


 2008年オリンピック開催地は7月13日、北京に決定されました。
市労組は、大阪市へのオリンピック招致について、人類がつくりだした平和とスポーツの祭典として「オリンピック精神と運動」を尊重するとともに、当初からオリンピック関連施設建設に便乗した大型開発をあらため環境破壊をもたらさないこと、オリンピック招致を理由に市民生活関連予算の削減や、国際オリンピック委員会(IOC)の委員への過度な接待や宣伝に予算を使わないこと、経費と資金計画などオリンピック関連情報を公開することなどを厳しく指摘し、市当局に対して「環境との調和をはかった簡素で無理のないもの」にするよう節度ある対応を求めてきました。
 その後の大阪市の開催計画策定にあたっても、市労組は、第1に、会場となる舞洲・夢洲が、ダイオキシンやPCBに汚染された人工島であり、「環境オリンピック」という観点からも不適格であり、第2に、オリンピックを巨大開発のテコとするやり方や、北港テクノポート線や舞洲トンネルの建設を見直すこと、また、夢洲に建設し、選手村としてその一部を利用する1万5000戸もの過大な住宅建設など、開催計画に基づく予算執行を行えば、大阪市財政が破たんしかねないことを、広く市民にむけ指摘してきました。
 IOCは、さる5月15日に評価委員会の報告書を公表しました。報告書でも大阪市開催は「交通渋滞の心配があり、市の財政負担は重すぎる」と厳しく指摘されました。また、報告書公表直前の今年1月、大阪市がIOCに提出した計画書には、大型開発や環境破壊に拍車をかける関西空港2期工事や高速道路網など2兆8000億円にのぼる事業を反省もなく並べていました。IOCのこの指摘は、これまで市労組が訴えてきた見地や、260万市民の感情にもそったものでした。そのうえ、IOC総会直前にいたって、シドニー五輪・パラリンピック視察の際の旅費水増しや、高額な宿泊代も新たに問題化し、市民からの大きな批判も生じてきました。
 磯村市長は、モスクワ市内の会見で、主会場にしていた「五輪スタジアム」の建設を中止する考えを明らかにしました。また、今後の再立候補については、「議会の同意手続きが必要」と明言を避けつつ、一方で「1回落ちたからといって、もうやめますではいけない」とも述べ、継続の表明とも受け取られる発言もしています。いずれにせよ、バブル経済の崩壊、不況の長期化のもとで、北港テクノポート線・舞洲トンネル(建設費1870億円)は、採算の見通しのうえからも、技術的な面からも工事をストップすべきです。また、夢洲開発は、埋立地の危険性を考慮して中止し、開発のあり方を再検討する必要があります。
 大阪市は、IOCの指摘を謙虚に受け止め、施設などのハード面の建設を誇るのではなく、草の根から育んでいく市民スポーツの振興と、そのため民間のスポーツ団体など市民との幅広い連携の重要性に目を向けるべきです。
 不況とリストラで耐えがたい市民の暮らしをまず打開し得てこそ、簡素で自然環境破壊を抑えた無理のないオリンピック開催も現実性が生まれてくると考えます。

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