憲法と地方自治を破壊し、国民の基本的人権を制限する有事法制に反対し、憲法第9条のもとでの国際貢献を果たすことを求める決議
憲法と地方自治を破壊し、国民の基本的人権を制限する有事法制に反対し、憲法第9条のもとでの国際貢献を果たすことを求める決議

2002年4月24日
大阪市役所労働組合
第4回中央委員会


 2001年9月11日のアメリカでのテ□事件とアメリカの報復戦争に対し、武カでなく国連を中心とする国際協カと「法による裁き」でテロ根絶を求める声が世界に広がっています。また、米ブッシュ大統領の「悪の枢軸」発言やイラクヘの武力攻撃の動きに対し世界各国から批判の声が高まっています。 
 しかし、小泉内閣は、多くの国民の反対や慎重な審議を求める声や与党関係者のなかからも時期尚早との意見もあるにもかかわらず、武力攻撃事態対処法案、自衛隊法改悪案、安全保障会議設置法改悪案の有事法制関連…法案を4月17日に国会に提出し、今国会での成立をねらっています。
 関連法案では、政府が「武力攻撃のおそれがある」と判断すれば、国会の事前承認なしに首相の権限で国民の権利を制限できるとなっており、アメリカが戦争を開始した場合にも発動される危険性を持つものです。また、自治体に対しては、住民への避難命令、自衛隊の港湾・空港の独占使用、公立病院使用などの指示が可能であり、従わなければ国が代わりに直接執行できるとなっています。さらに、NHK、民間放送会社、NTT、JR、電カ、ガス会社などの公共機関や国民生活につながるあらゆる業種が首相の命令下に置かれ、違反者には、禁固・罰金などの刑罰が課せられます。
 このように、今回の法案は、強カな首相への権限集中で国会や地方自治体をないがしろにし、国民の自由と人権を制約するなど、憲法を蹂躙し民主主義を踏みにじる戦後最悪の悪法であり、民間人も含め地方自治体も戦争遂行に組み込むものとなっています。
 政府は、有事法制の制定を急ぐ理由として、不審船やテロ問題をあげていますが、これらは、基本的に海上保安庁や警察庁が対処する問題であり、有事法制を必要とするものではありません。また、武力攻撃の可能性に対し「3年、5年のタームでは想像できないかもしれない。現実にどこが攻めてくるとか、そういうことは言うことができない」と答弁(2001年5月31日参議院外交防衛委員会で中谷防衛庁長官)しているように、他国による武カ攻撃を想定できないことを認めており、有事法制の制定を急ぐ理由はありません。
 日本国憲法は、侵略戦争への深い反省に立って、戦争や武カによる威嚇を禁止したものです。国連憲章が国際関係における武カ行使や威嚇を原則として禁止したことをさらに一歩押し進める内容をもつものであり人類の歴史の流れに沿ったものです。
 戦後50余年、日本が参戦せず平和を維持してきたのは、まさに憲法を守ってきたことによるものです。今、日本に求められることは、憲法9条を生かして戦争や「有事」を防ぐ努カです。軍事に偏した有事法制の制定が、アジア諸国の不安を高めることは間違いありません。
 自治体労働者は、戦前の天皇制下で、赤紙(召集令状)を配布しアジアで2000万人、国内でも300万人もの犠牲をうみだす戦争政策を遂行する立場におかれました。
 私たち市役所労働者は、住民のいのちと暮らし平和を守るため、再び日本とアジアを戦場にするための戦争体制づくりに断固として反対し、大阪市当局もきっぱりと戦争協力に反対することを求めるものです。
 以上、憲法第9条と地方自治を守る立場で決議するものです。

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