大阪市の保育所はいま
働き続けられる職場づくりのコーナー
自治体リストラの影で職員たちは

 
    子ども・親・保育士がひとみ輝く保育所に


大阪市の保育所民間委託に反対します

市労組福祉保育支部民間委託反対集会 小泉構造改革は、「国・地方のかたち」、「働き方」、保育制度の根本を変え、さらに、公立保育所の「民営化」や、施設も職員も丸ごと自治体から、切り離す「地方独立行政法人法」などを強行に決め、子どもたち、父母、私たち自治体労働者の願いとは逆にすすんでいく、まさに激動の情勢の真っ只中にいます。こうした中で、大阪市でも保育所の民間委託計画が公表され、すすめられようとしています。私たちは、政府の狙いを明らかにし、すべての子ども、市民、職員のくらしや仕事を守るために、ともに小泉構造改革とたたかうことを呼びかけます。

大阪市の財政危機のツケを子ども
  市民、職員に押し付けるな

 納得できない大阪市の保育所民間委託計画

 全国的に公立保育所の民営化や保育への規制緩和が急ピッチで進められています。大阪市においても5月28日に、財政難を理由とした「民間活力導入」で人件費などの運営コストを削減するなど、4ヶ所「2004年度4月から今福南保育所(城東区)、今津保育所(鶴見区)、東喜連保育所(平野区)、2005年度4月から香蓑保育所(西淀川区)を含む2ヶ所以上、2006年度より「順次実施」するという民間委託計画が公表されました。突然知らされた保護者の驚きと不安は隠せません。市の説明会が行われてきましたが、「委託による財政効果は見込めない」「当該保育所や在所の児童に何のメリットもない」などの説明に「市の説明を聞けば聞くほど、信用できない。子どもがかわいそう」など意見が出され、0歳児の保護者は「入所する時にはこんな説明はなかった。やっと入所できたのに詐欺にあったみたいだ」など怒りが込み上げています。
 「次世代育成支援対策推進法」によれば、各自治体が法律にもとづく行動計画を策定することになるため、2006年度以降の民間委託化の計画がさらに盛り込まれ、「父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有する」とし、国・自治体の実施責任、つまり公的責任を後退させることが危惧されます。
 大阪市の「財政非常事態宣言」は"5K赤字"に象徴される大規模な都市開発事業の失敗による無駄遣いを見直すことなく、市民サービスの低下や賃金と人員削減などに見られるように、そのツケを市民と職員に押し付け、我慢を強いるものです。今回の保育所民間委託計画もこれに即しての提案であり、もっとも弱い立場の乳幼児へのしわ寄せと言っても過言ではありません。
 大阪市では、2003年4月の待機児童は1355人、定員の弾力化や保育士の配置基準の改悪などつめこみ保育が強行されていますが、一向に待機児童は減りません。これは根本的に保育所が不足しているためであり、民間委託によって解決できるものでなく、公立保育所の新設で対処すべき緊急課題です。
 これからの未来を担っていく子どもたちの健やかな成長のためにも安心して生活できる環境を守り充実させていきたいと思うのは誰もの願いです。
 市労組は、大阪市に対して、市民の財産である公立保育所の民間委託方針を撤回させ、公的責任で保育所を充実させていく事を求めて、保育団体、市民団体とともに請願署名運動にとりくんでいます。


市労組は、自治体リストラから地域と
 職場をまもるため運動を発信します


 児童福祉法では、子ども達の成長や発達は国民全てがその責任を負うことを明記し、保育に欠けるこどもについては、国と地方自治体が保育をしなければならない義務をうたっています。
 今進められている公立保育所の民営化は、単に保育所の設置運営主体がかわることではありません。国や自治体が保育における公的な責任を投げ捨て、市場原理のなかに保育所を投げ入れていくものです。
 このように児童福祉法では、保育に欠ける子どもの保育にたいして、国と市町村の義務を明記し、それに基づいて市町村が運営する公立保育所が整備され、公立保育所の保育条件にあわせる形で地域の私立保育園の保育条件を引き上げ、そのことを保障する私立保育園の補助金の増額を勝ち取ってきました。公立保育所が面としての役割をはたしながら、地域の保育条件を住民とともに高めてきました。
 しかし、構造改革路線のもとで推し進められる保育制度改革は、一連の規制緩和や児童福祉法改定のなかで、保育所設置運営への企業参入を可能とし、公設民営保育所の促進を法に明記し、また市町村の子育て支援事業計画や保育計画の責任を地方自治体が負わなくてもいいという方向に動こうとしています。
 新たに策定された地方独立行政法人法では、市町村の事業そのものを外部にまる投げすることが可能となり、ますます公立保育の民営化がすすみ、そのことが私立集会には多数が参加保育所を競争原理の只中に放り込み、一気に保育所の市場化が進むことが予想されます。
 日本の保育制度は、このままいくと制度そのものが崩壊していく可能性をもっています。それを推進していくのが公立保育所の民営化です。
 私達は、幼い子どもたちの成長・発達を保障し、父母たちの就労や育児を支援する役割をもつ保育所は、市場原理ではその役割を果たすことはできないと考えています。
日本の公的な保育制度を堅持し、拡充する立場から、今進められている公立保育所の民営化に対し、反対の声をあげ、大きな世論をつくり、公的保育制度のいっそうの拡充を目指します。

保育制度をめぐる状況

 小泉内閣が2001年に発足以降、保育制度をめぐって新たな動きがはじまりました。2001年7月の閣議決定「仕事と子育ての両立支援の方針について」で「待機児ゼロ作戦は最小のコストで最大のサービス」を基本にし、その内容を具体化しながら保育市場化に向けて走っています。
 2001年11月児童福祉法一部改定が行われました。この児童福祉法一部改定は、2001年7月の閣議決定の内容を具体化したもので、これまでの公立保育所民営化が市町村の判断で行われてきたものであったのが、待機児ゼロ作戦や児童福祉法に公立保育所の民間委託促進という文言が盛り込まれ、公立保育所民営化が国の施策として進められるという新たな展開となり、全国的にも大阪的にも公立保育所民営化の速度が勢いをましました。その後も総合規制改革会議や経済財政諮問会議、地方分権推進会議などが更なる規制緩和を行うことを次々に答申し、公立保育所の廃止・民営化が国の施策として進められています。また、保育が公的な手を離れていくことの担保としての第三者評価導入も行われ、公立保育所の廃止、民営化、市場化、競争を第三者評価で支え、おしすすめるというシステムが準備をされています。
 2002年秋から2003年には、幼保一元化を前面に出しながら、@保育所と幼稚園の補助金制度の統一(保育所運営費の一般財源化) A保育所と幼稚園の施設基準の統一(保育所の調理室設置義務の撤廃)B保育所と幼稚園の設置運営主体の統一(幼稚園の企業参入解禁)を行おうとしています。また、6月に発表された骨太方針第三段」では、新たに就学前の新たな総合施設として、既存の保育所・幼稚園の統合ではなく、新しい幼保の統合施設の設置を発表。この内容をさらに規制緩和せよとの答申が総合規制改革会議から出されるという状況もあります。
 地方行革として出されている地方独立行政法人法では、市町村が設立した独立行政法人に、保育事業がまるごと移管することができるというもので、公立保育所を一瞬にしてなくしてしまう(民営化する)ことのできる可能性があるものです。また同じく今国会で成立した次世代育成支援推進法、児童福祉法一部改定では、市町村への行動計画策定を義務付けています。

国のすすめる「幼保一元化」は保育制度の根本を崩すもの

 財政削減のため目的の違う幼稚園と保育所を、無理やり一つの制度にまとめ、「統廃合」できるようにするもの。これを口実に、@保育所に義務付けられている「調理室」の設置義務を廃止。A配置基準などを低い方に統一。(ちなみに、幼稚園は2歳児でも35:1、保育所では6:1) B入所対象の統一で、だれでも入所可能にし、「保育に欠ける」要件を事実上撤廃させるものです。これは、保育に欠ける子を対象とする福祉としての保育を否定し、最低基準や保育予算の切り下げに拍車をかけ、公的責任を後退させるというねらいがあります。
 市労組は、幼・保それぞれの充実を図ること、今後のあり方について国民的、市民的論議をすすめることが必要だと考えます。

「一般財源化」は、国の財政負担や責任を後退させる

 地方自治体が住民税や地方交付税など自由に使える財源が一般財源です。保育運営費や義務教育の人件費など法律で特定目的のためのみに交付されるものを国庫負担金といいます。これは、日本国民ならどこにいても保障される国民生活の最低保障(ナショナルミニマム)を確保するためのもので、これを一般財源化することは、自治体間で大きな較差を生み、憲法で保障された生存権や人権保障を侵すことが危惧されます。

攻撃はきびしくても
 いま運動前進の条件・可能性も広がっています


 厚生労働省や与党、日本保育協会などの保育団体から政府の公的保育制度つぶしに批判の声も上がっており、共同の条件が広がっています。また全国の運動が示すように、子育てや保育の充実を願う父母・住民のパワーは大きいものです。
次の点を大切に運動を広げましょう。
○民営化計画を出させない。地域の理解や合意形成を攻勢的に築く構えを。
○あきらめず地域の民間・公立を含めた保育充実の運動を土台にし、保護者とともに広範な共同と、住民理解を広げる運動を進めよう。
○民営化されても、「次を許さない」、「保育の水準を下げない」ため、公立と民間の保育労働者の共同、保護者との引き続く共同を追及しよう。

保育の充実を願い各地で広がる粘り強い運動

 大阪では2001年、堺市の公立保育所廃止・民営化を皮切りに、池田市・守口市・高石市・高槻市・大東市、大阪市、枚方市など民営化や民間委託化の計画が出されてきました。
 1999年に発表された堺市の深井・三原台保育所は民営化実施を一年延期させました。また、守口市では三年連続民営化が発表され、20箇所あった公立保育所が来年には12箇所になりますが、職員と保護者、市民の粘り強い運動で、毎年に民営化反対の署名を集め、運動が継続、発展しています。
 池田市では、民営化後も市当局に働きかけ、民営化にいたる経過や選考過程などを情報公開が実現できました。
 高槻市では、建替え時の仮設園を親達の力でかちとり、高石市や大東市では、保護者、市民が公立保育所(当該保育所)廃止条例の取り消しを求める裁判を行っています。
 泉大津市では、民営化案、廃園案を二年連続ではね返す運動など、各地域で様々な運動が展開されていきました。

今後の予定されているとりくみ

○8月2日(土)〜4日(月) 全国合同保育研究集会(京都市)
●9月3日(水)午後6時30分〜 「自治体リストラから地域と職場を守り、住みよい、働きやすい大阪市にする集会(仮称)」ヴィアーレホール
○10月3日(金)〜4日(土) 全国自治研究集会(千葉市)
○11月16日(日) 保育の公的拡充を求める全国大集会 (日比谷野外音楽堂)
○1月24日(土)〜25(日) 自治体保育労働者の全国集会(千葉市)

トップにもどる