「大阪市事業評価システム」の導入にかかわる市労組の態度について 2000年8月15日 大阪市役所労働組合自治体局 はじめに 大阪市労組は、8月15日、「大阪市事業評価システム」の導入について計画調整局と交渉を行いました。このシステムについては、昨年9月に「事業評価システム導入にあたっての業績評価ケーススタディの実施にかかる調査」での折衝をすすめて以来、およそ1年近く経過しています。この間の経過、自治体におけるとりくみ状況、国および財界の動きにふれるとともに、あわせて市労組としての行政評価(部分的なものも含めて、それぞれ政策評価、事業評価などといわれている。)制度=システムについての見解を明らかにすることとします。 1.大阪市における経過について @ 市労組は、計画調整局に対して、1999年9月27日に「事業評価システム導入にあたっての業績評価ケーススタディの実施にかかる調査」のヒアリング実施について事務折衝を行いました。 市側は冒頭これまでの経過にふれ、「21世紀に向けたまちづくりをすすめるための行財政改革実施計画(計画期間・平成8年度〜12年度)に基づき、『地方分権の推進』の項で、『行政の事業評価』について、『自己決定と自己責任の原則のもと、本市の実情に即し、自主的・自立的にさまざまな施策が推進できるよう、個別行政分野におけるとりくみを着実に推進するとともに、行政の果たすべき役割を踏まえ、現在実施している主な事業について、その実績を基に有効性や効率性を点検、評価するため、事業を評価する手法を導入するなど、分権型行政システムの構築に向けとりくむ』ことを明らかにしてきた」と述べました。 そして、市側としては、「事業の再評価」と「総合計画21」の後期の5年間のとりくみ計画についてまとまったものになっていないことを前提に、次のような考え方を示しました。 「事業の再評価については、政策目標を遂行していくためのものとして、再評価システムを検討してきたが、ヒアリングを進める中で、再評価そのものが困難な事業もあり、苦労している。市政全般にわたっての政策再評価を行うシステムは、難しいのではないかと思い至っている。現時点では、再評価を進めることのできる分野・部署について可能なもの、可能なところからすすめるしかないと考えている。とにかく財政が厳しいなかでのとりくみであり、市側としては、事業のできているもの、できなかったものを明らかにして、マスタープランの今後の5年間について計画を定め、後期の総合計画を進めていきたいと考えている。なお、後期計画については、平成12年度中に作成していく」ことを明らかにしました。 A 市当局は、1999年10月28日に総合計画・行財政改革推進本部総合計画推進支部長名の通知で各所属の総合計画・行財政改革推進部長宛に「事業評価システム導入にあたっての業績評価ケーススタディの実施に係る調査」ヒアリングを実施しました。また2000年5月30日に計画調整局は、市労組に対して中間報告として「業績評価ケーススタディ・事業分類表」のまとめを示しました。 市側がとりくんだケーススタディにより、「調書」で「評価可能と考えられる事業」は、104事業であり、内訳は、政策・施策・事業の体系(位置付け)が明確な中期指針事業66事業、中期指針以外の事業は38事業となっています。 市側としては、事業の分類を「1.業績評価が可能と考えられる事業(中期指針事業・中期指針事業以外)」と「2.別途、評価手法などの検討が必要な事業(中期指針事業・中期指針事業以外)」に分類しています。2については、「A都市基盤整備」、「B行政内部の事務」、「C公営企業会計方式などの事業」、「D施設の補修事業」の4つの区分はしたものの、政策・施策・事業の体系(位置付け)の整理、範囲が不明確なものであり、「事業再評価」にかかる「再評価のあり方」、「大規模事業評価」にかかるケーススタディの検討、「区役所における事業についての評価の主体など評価のあり方」についての検討などは今後の課題として扱っています。また、その期間を、「3年程度を目途に取り組む」ものとしており、検討内容がまとまったものから順次具体に着手して行く必要があるとしています。このことから実質的に市政の大問題となっている・「大規模プロジェクト」の事業評価については、当面見直しの対象とせず、先送りするものとなっており、事業評価そのものに限界をもっていました。 市労組として、「大阪市事業評価システムの導入について」の基本方針案、実施要綱案の正文をまって、適切な時期に交渉をもつこととし、労働組合としての基本的態度及び考え方を明らかにすることとしてきました。 2.各自治体におけるとりくみの状況といくつかの特徴点 「行政評価システム」は、全国的には三重県や北海道をはじめとして、すでに制度が導入され始めており、都道府県・政令都市と市町村の31%で導入について検討が進められています。 現在の自治体の行政評価システム導入実績を見てみると、問題がかなり残されています。それは、第1に、事務事業の見直しと行政評価システムの直接的な関連がない場合もあることです。たとえば三重県の場合、事務事業評価は事務事業の現状評価であり、必ずしも財政課が評価調査表で選別するとか、政策担当部門が事務事業を評価して、選択の優先順位を決定しているものではありません。担当課・財政課・政策評価課、そして住民が当該事務事業の状況を評価するデータを提供して、全体としての意識改革・政策能力を向上させることをめざしています。 三重県では具体的に事業化するかどうかの選別基準としては、道路事業に関する評点評価方式が策定されており、具体的に事業費の配分を決定する選択基準を提示した方式と言われています。 第2に、北海道も先進自治体として有名であると言われていますが、一般的な事務事業評価システムとしては、評点方式でABCDEランク方式を採用しています。すなわち北海道では行政評価システムは事業選別の手法として導入されています。担当部局が自己の事務事業を自己採点する方式で、選択基準は必要性・妥当性・優先性・効果性・代替性などがあります。 しかし選択基準が概念的であり、必ずしも具体的な選別基準を選定したとはいえません。むしろ北海道の評価方式は、「時のアセスメント」といわれ、時の推移で事業の必要性・効果性などが変化することをふまえて、事後評価していく方式です。 第3に,静岡県の業務棚卸方式は、三重県・北海道などの方式と異なり、特定施策のグループ単位で事務事業の効果測定することをベースとしています。 しかし、この方式も施策相互の連携・関係が、政策達成にどう貢献し、具体的にどう影響を与え、事業実施に促進的効果を及ぼしているのかの基準が曖昧であるといわれています。むしろ「人工数」という当該事務事業に必要とされる人数×時間の測定単位という選定のほうに関心があり、事務事業の費用効果分析では、多くの場合は人件費的要素が入っていないのが通例ですが、この点、各事務事業の作業時間を算出した方式となっています。 第4に、神戸市の評価システムは、公共施設の利用率の変化から行政評価をしていく方式であります。全事業を対象とすることなく、特定の公共施設に限定している戦略的特色がみられます。 神戸市は利用率の変化が,住民需要度・施設実効性を表示するとしています。そして北海道と同じ政策適合性、資源活用、インパクト、社会ニーズ、独自性などの選別基準を選定し、項目の充足に対応して、ポイントで評点方式を行っています。 このように公共施設の評価を、ポイント方式で評価しているところが、神戸方式の特徴です。しかし選択基準の選定や、利用変化度の採用などにおいては、必ずしも合理的な基準を選定しているとはいえません。 むしろ事務事業評価システムにおいて、自治体が全事業を対象とするのでなく、特定事業に限定して評価をしている点に戦略的な価値を求めているわけです。 3.国における「政策評価」の現状と問題点 @ 2000年1月、「中央省庁等改革関連17法」による中央省庁再編にかかわって、新たに「政策評価」盛り込まれることになりました。これは、「わが国の行政においては、法律の制定や予算の獲得等に重点が置かれ、この効果やその後の社会情勢の変化にもとづき政策を積極的に見直すといった評価機能は軽視されがちであった」(『行政改革会議最終報告』)との問題意識から、「評価機能を強化し、政策に適切に反映」(基本法第4条)することをねらいとしています。しかし、従来の日本の行政風土にはなじみの薄かった制度であり、総務省の評価部門と各省評価部門、さらには独立行政法人についての評価委員会との区別と関連、連携方法など、未解明な部分も多くあります。また、政策方法、評価指標の体系化や評価の数値化・計量化などは今後の検討課題とされました。 A 政策評価導入の問題点をあげれば、財政赤字とか財政事情からの事業廃止と政策論議からの事業廃止との混同があり、政策評価・(経済効果だけでなく、政治的意義や社会的効果も評価される)といいながら、実際には、住民にとって必要な行政課題についても事業「削減」方向での「事業評価」や「行政評価」が横行しかねないことも懸念され、結局、公共事業のムダを省くのでなく福祉施策事業や単なる公務員数の削減などを狙いとした、誤った選択にすすむ危険性もあります。また、費用便益分析再評価方法によって、投入費用より便益が上回ることで有効な政策と見なし、事業の継続を正当化させる再評価法が大阪府では取られています。このように短絡的認識や、会計監査との混同、さらには評価手法も未確立で、「評価についてきちんとした議論をしないまま、政策評価や、事業評価が導入されている」という現状に終わっていることです。 B 情報公開法の施行(2001年4月)は、行政の「透明化」との関連で注目された制度改正であり、国家組織や作用が複雑多様化し、国家のもとに膨大な情報が集中する現代社会の現実を考えれば、法制定は、今日段階の民主主義のあり方からいって必然的な要請でもありました。しかし、これは国家機能の重点化をねらう戦略的再編と並行してその法整備が図られた経過や、文書より根回しや、水面下の調整を重視するというわが国の政策企画立案過程における文書の位置づけのあいまいさなどからいって、過大な期待は禁物です。 4.財界の21世紀戦略と財界版「参画型行政改革」における「行政評価」 地方分権の帰すうが明確になるにつれ、「地方主権」「地方経営」「自己改革」をキーワードとする、地方自治の改変をめざす提言があいついでいます。 @ 経済戦略会議の答申は、「『健全で創造的な競争社会』の構築とセーフティ・ネットの整備」の章で、「地方主権の確立」を唱えています。地方公共団体は、「責任ある地域の経営主体として、自己改革を強力に進めていく必要」があるとし、「市町村合併の推進」と「抜本的な地方税財政改革」とが提起されています。 財界からは、関西経済同友会「地域からのブレイクスルーを目指して」(1996年、1999年)、経済同友会「地方主権による新しい国づくり−『お上』依存の自治の創造的破壊を」(1998年7月)、21世紀政策研究所「地域主権の確立に向けた地方自治体の自己改革」(1999年2月)といった文書が次々とだされています。 こうした状況は、財界版「地方分権」に飽き足らず、21世紀戦略としての「地方自治の改変」をめざしていることを示しています。 A これらの文書の特徴は第1に、市場原理を徹底させるという観点から規制については最小限化されるという前提にたって、地方公共団体とくに市町村をサービス提供主体とだけ見て、市場原理からの効率化を追求するとともに、サービス提供能力の拡大のため、広域化が提唱されていること。第2に、地方自治の内容を「地方経営」とし、一方では、地方公共団体の「地方経営」の効率化がめざされ、他方で、地方公共団体の自立性を高めることを理由として、税収の都市部偏在の是正を唱えつつ、地方交付税の見直しに見られるように全国レベルでの地域間再配分のあり方の転換がめざされています。第3に、こうした課題提起を踏まえて、地方公共団体の「自己改革」の必要が主張されています。 B そして、注目すべきことは、この「自己改革」において、市民の意識改革と合意形成の必要性を視野に入れ、事業の評価やそれをふくめた情報開示(説明責任=アカウンタビリティ)を強調し、財界版「自己改革」に市民を巻き込む仕組みをつくることの必要が提言されていることです。 たとえば、関西経済同友会の1999年の文書では、行政の説明責任=アカウンタビリティのキーポイントとしてa、企業会計方式によるバランスシート−貸借表、b、行政サービスに係わる情報を実行ある形で住民に提供、c、住民に分りやすい形での情報提供、d、住民、市場を通じた事前・事後評価が上げられています。 C こうした考え方の基礎には、住民主権者ではなく納税者またはサービス利用者と見て、かれらが経済合理性または効率性の観点から、「地方経営」に影響を与えることを期待するという面があります。受益と負担のミスマッチが強調され、それを住民全体に明らかにする仕組みづくりが急がれるのも、この住民観によっているといえます。 このことは、単に一地方自治体の範囲にとどまるものではなく、地方交付税を考えれば、都市住民の不満も吸収しながらそのあり方の変更を実現しようというねらいもあるように思われます。 こうした位置づけの上に立って、行政の説明責任=アカウンタビリティと情報提供が強調され、地方公共団体の行政活動の持続した・「構造改革」=「自己改革」に住民を巻き込むことをめざしているといえます。 磯村市長も99年市長選挙公約や職員向け情報誌「JOHO」で、この面からのアカウンタビリティを強調してきました。 D 地方分権のなかで、財界の文書のように明確ではないにせよ、自治省もこうした方向を提起しつつあります。「地方自治・新時代に対応した地方公共団体の行政改革推進のための指針」(1997 年11月)では、情報提供や住民代表の参加をともないつつ行政改革を行うという方向がすでに打ち出されており、自治省行政局行政体制整備でも行政評価の検討がされてきました。 5.大阪市事業評価システムの導入(案)に対する市労組の考え方 市労組は、自治労連の方針を基本に、地方自治拡充を求めて、@住民の身近なところで、A住民の意思を反映し、B国の干渉を排除し、C総合的に実施する、という原則に基づき、事務と権限、財源の再配分をおこなうようとりくみをすすめてきました。 そして、なによりも住民への情報公開、住民の多様な参加の保障として、「情報公開条例」「プライバシー保護条例」の制定、オンブズパーソン制度・自治体の条例制定権の確立などを求めてきました。 また、住民全体の奉仕者という自治体労働者の原点にたって、自らの仕事の意味を職場で充分に話し合い、住民の立場から民主的に仕事を見直すことや財政危機の真の原因や「リストラ計画」を住民の立場から分析し、その内容を住民に知らせ、ともにたたかうことを市労組の基本的立場としてきました。 国はもちろんのこと、大阪市などほとんどの自治体がすすめてきた大型公共事業は、第一に、事業の目的が定かでない、第二に、初めから採算が度外視されている、第三に、環境への影響が考慮されていないなど重大な欠陥が指摘されながら巨額の予算が投入され続けている欠陥事業が少なくありません。この点で、ヨーロッパやアメリカではすでに当たり前になっている、国民・市民も参加する・「事業評価制度」の確立が日本でも、この大阪市でもいま緊急に求められてます。 8月15日に提案のあった「大阪市事業評価システム」が、この点で、真に役立つ「制度」となりうるのかどうかが、この問題の最大の核心であり、「制度」として足りないものがあれば、建設的提起・提案を行い充実させていくことが基本的な態度です。 これまで大阪市では、公共事業や各種の施策がいったん決まると、その効果や社会経済情勢の変化に基づいて見直すことが軽視されてきました。したがって、市民の参加、行政の透明性に欠けていたことを重視して、「事業評価システム」の新たな構築にあたっては、この欠陥を補い抜本的な改革をすすめることを求めなければなりません。市労組として以上の基本的観点から、次の4 点の問題点解明をはかってきました。 まず、第1に「システム」導入が縦割り組織を前提とした予算から、政策・事業を中心とした予算への転換の契機となりうるかどうか。また、総合計画、予算編成、執行過程、決算評価という本市の事務事業執行状況にどう影響し、どう活用されるのか。そして、あるべき総合的行政評価システムにどう接近しようとしているのか、ということです。 これに対して、市側は「今回導入の事業評価システムについて、予算要求・編成や計画の進行管理」など「四つの活用」を図るとともに、「今後の政策的評価への展開により評価の全体システムの構築を行」うとしていますが、主に財政局が担っている縦割りの「予算編成、決算評価」、事業部局ごとの「配分」と「執行過程」を根本的に見直しすることなく、事務事業執行状況全体への積極的活用についてはあいまいにしています。 第2に、庁内民主主義とかかわって、現場を通して市民の生活、実態をよく知っている職員の参加による事業評価・調書作成が自治体の効率性と創造性を高め、対市民サービスの質を高めるものと市労組は考えていますが、「システム」導入によって、それを保障する主体と体制をどう確立するのか、という指摘です。 市側は、「調書の作成に当たっては、市民と日常接している現地職員がいろいろな市民の声を把握している場合が多く、そうした市民の意見を踏まえ、自己点検、自己評価し、事業改善に活かしていく」とし、その主体は、「事業担当課」であり、「そうした職員の課題認識を活かす観点から、現場職員の考えを十分把握して作成することが重要だ」と明確に回答しました。この点では、「対市民サービスの質を高める」という側面からの市労組としての今後の追求が重要となります。 第3に、「システム」の評価結果により、福祉・医療などの切り下げ、賃金の抑制、定員削減、民営化、行政組織・機構の見直しとして一面的、機械的に活用され、市民と職員が犠牲となる「自治体リストラ」につながらないよう十分協議できる体制を保障するのかどうか、もきわめて重要です。 この点に関わっては、「事業を総合的な視点から整理・点検するものであり、事業改善へ向けての客観的情報や事業選択の際の判断材料を提供するもの」との考えをしめし、「数値による一面的な評価による事業見直し等の事業の改廃を目的としたものではありません」と回答しています。しかし、1987年の「区役所窓口事務機械化」提案の際に確認した「10項目労使確認事項」の「A導入による人員削減は行なわないこと。」の確認は10年もたたず事実上反故にされ、「大阪市情報化計画」提案にかかわる要員問題もきわめてきびしい状況だけに厳密で徹底した監視と運動の強化が必要です。 第4に、市労組は、住民参加を保障する「評価制度」として、事業の必要性、採算性、環境の影響という三つの角度から、計画、事前、事後の三段階にわたって点検を行い、住民の参加を制度的に保障することを求めており、あわせて今後着工する事業はもちろん、進行中の事業でも一定規模以上の大型公共事業については総点検が必要との考えをもっています。 提案されている「システム」は、行政が誰のために、どのような資源を利用して、何を目的にしようとしているのか、市民に説明する責任(アカウンタビリティ)を果たし、わかりやすい言葉で評価、政策・施策、事業の改善など、市民に対する情報公開を積極的にとりくんでいくのかどうか、が問われています。 この点で市側は、「市民への説明責任の観点からも積極的に市民公表を考えており、13年度からは調書の公開を含む全面公表を考えている。その際、より市民に分かりやすい結果の公表となるよう努めていきたい」「12年度については、業績評価結果の概要を取りまとめたい」と回答しました。しかし、市労組が指摘した「住民参加を保障する『評価制度』として、事業の必要性、採算性、環境の影響という三つの角度から、計画、事前、事後の三段階にわたって点検を行い、住民の参加を制度的に保障すること」には言及していません。しかも、実際、WTCへの4 局移転問題など既設の大規模事業の運営施策「見直し」と「変更」については、大阪市外郭団体調整会議、総合調整会議など、市長・助役・関係局長による協議のみで判断するなど問題を残すものでした。市労組としては、市側回答が、説明責任・住民参加の点で不充分性、限界性を持っており、その姿勢について引き続き追及していかなければなりません。 市労組は以上の4点の解明を求めましたが、いくつかの不充分性、限界性を持っているものの、現時点では評価できるものも含まれており、市側の回答に対して、以下の基本的な考え方を示しました。 「提案されている大阪市事業評価システムの『基本方針』および、2000年度『実施要領』は、行政、議会、市民の間に事業単位で、その目的、政策の執行のあり方などについて、共通したツールを提供しているものとして評価できるものと考える。予算編成の基礎資料が、そのまま住民に公開されることにより、同じ資料を基にして市民が政策論議に参加できるという一定の条件が提供されることも評価しておきたい。市側から、『段階的な制度化であり、今後さらに検討、改善に努める』との回答があったが、市労組が指摘している諸点についてくりかえしになるが、今後解明していくことを求めておく。そのうえで、10月と言われている評価調書の集約に向けて、対象事業の確定、説明、さらに改善点など『システム』の具体化にあたって継続した協議を要請したい」 |