大阪市の人事・給与・機構改革と区役所労働者
大阪市の人事・給与・機構改革と
区役所労働者

2001年3月22日
大阪市役所労働組合
〜区役所支部評議会学習会での講演より〜


大阪市の行財政改革計画と市労組の課題

T.はじめに

 2000年12月1日に新たな「行政改革大綱」が決定され、この具体化にむけて50人からなる行革推進本部事務局が設置されました。また、政府・自民党が、橋本、野中氏を中心に、この「行革大綱」をさらにドラスチックに先取りする形で、公務員制度や特殊法人の「改革」について、検討を進める考えであることが報じられました。
 このような動きのもとで、私たちは、政府・自民党が進めようとする「改革」の背景と狙いを的確に分析し、国民的視点をふまえた政策と運動を具体化していかなければならないと考えます。
 政府・自民党の狙いの一つは、公務部内のさらなるリストラ、総額人件費抑制であり、公務員の「意織改革」という実名のもとに、反動行政推進の「物言わぬ公務員」づくり、の方向があります。
 このことは、橋本元首相が1月17日の日本記者クラブにおける講演で、「中央省庁改革により器の改革はできた」「この器にどのような魂を入れていくかがこれからの問題」と述べ、民間企業と同様の競争原理の導入、信賞必罰の強化を強調していることからも明らかです。
もう一つは、森内閣や自公保連立政権に対する国民の批判を、行政や公務員にふり向けながら、新たな国民負担の増大を図ろうとする狙いがあることです。
 政府や自民党の税制調査会の報告にみられるように、膨大な累積債務と財政再建を口実に、消費税率の引き上げ、社会保障の切り下げを進めるために、企務部門のリストラをいっそう進め、政府も血を流したとの世論づくりを狙ったものです。
 政府・自民党の動きに対して私たち自身がしっかり理論武装し、公務労働者と国民の分断を許さず、今春闘で「750万人」を中心とする国民連帯の運動をどのように発展させるかが大切なポイントになります。

U.政財界の21世紀戦略とその背景

1.21世紀戦略としての大国主義的改革と新自由主義改革路線
 中曽根時代の臨調行革は、国鉄をJRに、電電公社をNTTに、専売公社をJTにするなどの民営化をすすめましたが、80年代行革は「戦後政治の総決算」をうたったものであって、まだナショナリズム(国益第一主義)でありました。しかし,90年代なかばから本格的にはじまった大国主義的改革は、きわめてグローバルなものです。
 ナショナリズムからグローバルへの変化で言えば、例えば台湾紛争が日本の国益にかなうかなどは問題ではなく、ODA・PKOなど多国籍企業をいかに守るかという点で展開されています。アメリカの場合では、歴代大統領が言う一国覇権主義は、単純だが自国民に理解されていますが、しかし、ヨーロッパではEUの地域を越えてはできません。
 しかし、日本国民には、まだグロ−バル化という新しい国民統合のイデオロギーは形成されていず、むしろ、「21世紀戦略」がすすめば、非常に強い「格差と分断」が起きます。上位階層は2割ぐらいで、5割以上が低階層として、貧困と雇用不安、生活不安がもたらされることとなり、国民との対決はさけられないでしょう。
 市場原理の追求は、激しい矛盾を呼び起こすこととなります。盗聴法に続いて少年法も論議されてきましたが、これは矛盾が激化した際、大国主義的改革の進行の過程で「治安主義的強化」、つまり「徹底した力の支配の可能性」が生みだし、法制強化の道をねらっているのではないかといわれています。だからこそ、日の丸・君が代・神の国など奇妙な形で古いイデオロギーがうちだされるなど復古主義的な特徴をもっているといえます。
 しかし、本当は財界としては君が代の歌詞などは東アジアの人々に日本帝国主義の侵略戦争を思い出させるだけでマイナスだと考えていると思います。

2.21世紀戦略の背景とねらい
 大企業の多国籍化と財政危機のもとでの21世紀戦略=日本経済の戦後史的構造転換のひとつは、輸出第一主義からの転換です。財界の認識は変わり、昔の植民地のような、軍隊による侵略など露骨なやり方はとれず、トヨタ自工などは部品をインドネシアでつくり、中国とタイで組み立てています。たとえタイ一国といっても最大36万台しか購買力はなく、トヨタは現在450万台を製造し、500万台にしようとしています。タイ国内分では1/10にもなりません。トヨタとホンダは全世界を相手にしており、一国の軍隊をにぎっても生き残りはできず、それがグローバルな軍事的秩序ということです。
 ふたつは、公共事業主導型からの転換です。そのうえで金融ビッグバンで不良債権の清算をしたいとしています。そうすればゼネコンや中小バンクが倒れ、鉄もセメントもだめになります。しかし、日経連幹部のなかにも、重厚長大産業の経営者もおり、なかなか公共事業主導型を断ち切れません。彼らは公共事業を見直すと不況を打開できないと考えており、素材産業ともなかなか絶ち切れず、IT産業を主流にしたいが、光ファイバー敷設も短期間ではできないと言っており、しかも失業・雇用もなんとかしていかねばならないなどと"うまく事がすすまない"ことを嘆いています。

3.新自由主義改革と行政改革
   戦後福祉国家体制の切り崩しとしての新自由主義
輸出第一主義と公共事業主導型という2つの転換のための当面の重点として、「戦後福祉国家体制の取り崩し」をすすめています。しかし、401K年金も医療改革も公務員制度も、すべて持ち越すことになりました。自公保政権をなんとしても保持したかったからです。こうした矛盾が生じているだけに、新自由主義改革についての反撃の基盤があると考えます。
 21世紀では、福祉・環境と憲法をキーワードとする新しい福祉国家を先取りする自治体が出現していくのではないでしょうか。
 70年代後半に全国人口の1/3が住む革新自治体が誕生していましたが、これを崩壊させたのが、都市サラリーマンの保守主義でした。なぜか、輸出で伸びる会社を中心に企業社会が圧力をかけてきました。そして連合を中心に労働戦線の右翼的再編が行われました。しかしいま、都市部の無党派が企業社会から放り出されていく傾向にあります。また農村部でも、公共事業での利益誘導が今後はできず、当時農村で「革新自治体」を滅ぼした基盤がくずれています。70年代に革新自治体を「つぶした勢力」が衰退し、「ミニチュア実験場」ができ、それが「新しい福祉国家を先取りする自治体の出現」なのではないでしょうか。

V.行財政改革路線と公務の変質

1.国家対市民社会の関係の再編成と規制緩和・民活公共部門の新自由主義的スリム化
 新しい福祉国家型か新自由主義型の改革かの激突がいま本格的に始まっています。輸出第一主義・公共事業主導型からの転換をすすめるもとで、 戦後福祉国家体制の再編成をすすめています。
 規制緩和の矛盾とはなにか、例えば、雪印の食中毒事件を見れば明らかだと思います。
ハサップで食品監視体制を切り崩し、1万4千人の発病者を出した戦後最大の食中毒が発生した。そしていま緩和どころか新たな規制を実施しようとしています。
 計画・調整・規制はひとつの法則なのです。インターネットもやがてコントロールしなければならない段階を迎えます。要するに公共的規制の役割はますます高まり、縮小できないからです。
 かつては天気予報は気象庁の専売特許でした。しかし気象情報は儲かるとわかってから民間参入が生まれました。戦前でいえば、「気象」は国防上の機密でした。清掃でも当初企業は儲かると考えていなかったけれども、「公共」との棲み分けができるとなって規制緩和され民間参入がされました。極端なケースですが、アメリカではアウトソーシングで有名ですが、「教育」に続いて刑務所の民営化がでてきているそうです。現在アメリカの受刑者は200万人に達しており、その1割20万人を委託するということだそうです。受刑者1人について委託料がだされ、セキュリティ会社、つまり刑務所受託会社にアウトソーシングされる。つまり、いまアメリカという国家では、教育予算よりも刑務所の予算の方が高くついているということの証明です。
 委託されれば、経費を削減する、中抜きをするということが刑務所で続発しており、受刑者からトイレットペーパーや石鹸をふやせの要求が相次いでいるそうです。さらにこのセキュリティ業界から「三審アウト法」の要望がだされており、この法では、3回有罪になれば25年以上の懲役刑などが唱えられているといいます。なんのことはありません、長期間の服役を「保障」することで「安定した顧客」を求めているのであり、たとえ犯罪者といえどもマーケットとして成立すれば民間が参入するという皮肉な例でもあります。

2.国家の統治構造の再編成3つのキーワードと公務員制度改悪
(1)中央省庁再編と内閣への権限集中
  特徴は新しくできる内閣府に権限を集中することにあります。しかし、「厚生労働省」のように、福祉国家的事業の一元化のような省も出現しました。逆にいえば、労働・消費・生活・福祉・医療について新しい展望を語りかけるチャンスともいえます。
  分権化は、市場化と広域化をすすめていく装置でもありました。平成の市町村大合併をすすめていくため、合併の規制も緩和されています。今後すすめられれば都道府県の形骸化が起こり、道州制への誘導もやられるでしょう。さらに次の手法で機構の再編と公務労働のスリム化をはかろうとしています。

(2)国−地方関係の再編
地方分権の帰すうが明確になるにつれ、「地方主権」「地方経営」「自己改革」をキーワードとする、地方自治の改変をめざす提言があいついでいます。
経済戦略会議の答申は、「『健全で創造的な競争社会』の構築とセーフティ・ネットの整備」の章で、「地方主権の確立」を唱えています。地方公共団体は、「責任ある地域の経営主体として、自己改革を強力に進めていく必要」があるとし、「市町村合併の推進」と「抜本的な地方税財政改革」とが提起されています。
国と地方関係の再編をすすめるため、地方自治の内容を「地方経営」とし、一方では、地方公共団体の「地方経営」の効率化がめざされ、他方で、地方公共団体の自立性を高めることを理由として、税収の都市部偏在の是正を唱えつつ、地方交付税の見直しに見られるように全国レベルでの地域間再配分のあり方の転換がめざされています。こうした課題提起を踏まえて、地方公共団体の「自己改革」の必要が主張されています。

(3)分権化のなかの市場化と広域化
財界からは、関西経済同友会「地域からのブレイクスルーを目指して」(1996 年、1999年)、経済同友会「地方主権による新しい国づくり−『お上』依存の自治の創造的破壊を」(1998年7月)、21世紀政策研究所「地域主権の確立に向けた地方自治体の自己改革」(1999年2月)といった文書がだされています。
  こうした状況は、地方分権に飽き足らず、財界が21世紀戦略として、さらなる地方自治の改変をめざしていることを示しています。
これらは、市場原理を徹底させるという観点から規制については最小限化されるという前提にたって、地方公共団体とくに市町村をサービス提供主体とだけ見て、市場原理からの効率化を追求するとともに、サービス提供能力の拡大のため、広域化が提唱されていることなのです。

3.官僚機構の再編と公務労働の競争原理
(1)公務労働のスリム化と行政機構の官僚化
  問題意識の根底には、人事院勧告を中心とする現行制度が、公務員の賃金や権利の抑制機横としての役割を果たしてきた反面、猟官制度や政治権力の不当介入の排除、公務の民主的運営を目的とした「身分保障」や、不十分とはいえ労働条件の一定の底支えとなっている現行制度さえも、「改革」の障害になってきたということがあると言えます。
そして、実施部門を中心に、解雇・人員削減をダイレクトかつ自由にやれる人事管理制度にすべき、との問題意識があります。

(2)能力主義の徹底と競争主義的管理
「能力・業績主義」賃金への批判をいう場合、公務労働の特性から民間の手法を持ち込むべきではないということに加えて、民間の労働の現場にもこの制度は本質的になじまないし、導入したところでは大きな矛盾が拡大しているということも、しっかり学習していく必要があります。(朝日新聞3月19日朝刊一面富士通・成果主義賃金体系止める)
  この制度が、使用者・当局の主観的かつ恣意的なものさしによって、労働者間の分断・競争をあおり、団結によって労働条件の改善を図るという労働運動を否定し、総額人件費の切り下げにつながることは明らかです。
  その意味で、この問題は、・公務と民間の労働者に共通の課題であります。

 また、この間、「公務員のスト権回復、その一方で身分保障を前提とした現行法の廃止」などを自民党が検討している、との報道も行われています。
 しかし、公務労働の特性に起因する身分保障と、労働基本権はまったく次元の異なる問題であり、混同した議論をすべきでないことは明白です。2年連続の賃金引き下げを強いる現行人勧制度をみるまでもなく、いわゆる「代償措置」など認められないことは明らかです。
 労働基本権のありようは、その国の民主主義のバロメーターであり、「全体の奉仕者」として「民主・公正・効率」的な行政を推進するための、民主的公務員制度確立の基本です。
 その意味では、労働基本権の即時・完全回復は、公務労働者の悲願であると同時に、本質的には国民的要求であり、運動の国民的高揚がなによりも大切です。
 しかし、自民党の発想は、国民生活犠牲の「構造改革」の一環として、反動行政を推進するための新たな枠組みづくりであり、その狙いをしっかり見極めた議論が必要です。
 さらに、このような政府・自民党の動きを受けて、人事院の検討が加速化され、その内容がよりハードになる危険性はないのか、という問題意識も持っています。
 人事院の中島総裁は、1月11日付け朝日新聞のインタビューで、「賃金改定に成果主義を導入させていくのか」との問いに対し、「これはやる。時代の流れだ」と明言しています。
また、人事院は、危機意識から「対案づくり」作業を急ぐという話も伝わってきています。

W.大阪市の新「行財政改革」について     

 市労組本部は2月16日、市当局より「新行財政改革計画」−21世紀の地方分権の時代にふさわしい行財政運営をめざして−(案)の提案・説明をうけました。市労組本部は提案に対して、組合員の労働条件へ直接波及する問題点・市民生活の変更を伴う問題点等について、具体的な指摘を行うとともに市民本位の行財政の確立に向けての大阪市労組の考え方を含む一定の問い質しを行いました。

1.「新行財政改革計画」の概要とはなにか
(1)「新行財政改革計画」の基本的な考え方
@ 市側として総合計画21(15年間)を着実に推進して行くため、平成8年3月に「総合計画21推進のための中期指針」(5年間)を推進するために「大阪市行財政改革基本指針」を策定して来たところであり、以後5年間にわたって着実に「中期指針推進」のための行財政改革に取り組んできた。
A 昨年4月の地方分権一括法施行のもと、本格的な地方分権の時代がスタートし、国の省庁再編など大きな変革の時代を向かえている。大阪市として、ひとが輝く「生活魅力都市」、まちが華やぐ「国際集客都市」をめざした今後のまちづくり施策を進めるため、「大阪市総合計画21」の残す5年間の指針を、新たに「総合計画21推進のための新指針」として示した。平行して、この計画期間を着実に推進するための新たな行財政改革の策定が必要なことから、「新行財政改革計画」−21世紀の地方分権の時代にふさわしい行財政運営をめざして−を示した。
B これまで行ってきた行財政改革のとりくみ経過を、@市民参加による開かれた市政の推進、A地方分権の趣旨を踏まえ地域に密着した行政サービスの提供を行うことができる行政システムの構築、B総合的・機能的に施策の展開を図ることのできる行財政システムの構築、C時代に即応した市民サービスの提供や市民福祉の増進を図るため限られた財源・人材を有効に活用した簡素で効率的な行財政運用を行ってきたことを評価し、結果として、計画してきた項目については、ほとんどの項目において実施、あるいは着手し、着実に成果を上げてきたと強調
(2)「新行財政改革計画」の具体的な方策
@ 行政をとりまく環境の変化(地方分権の進展・社会の成熟化の進行等・高度情報化の進展・厳しい経済環境と財政の悪化)があることから、基本方針として、@市民と協働して自立的・総合的に都市施策を企画・実施する分権型行政運営システムの構築。A中長期を見据え、積極的なまちづくりの推進を支える安定した財政及び機能的・効率的な行政運営の確立を行っていく。              

A 市側のいう改革を進めるにあたっての5つ の視点
@ 市民本位の総合行政を推進するための積極的な企画立案
A 市民・利用者の視点に立った業務運営
B 市民とのパートナーシップによる市政運営
C 職員の意欲に基づく自律的な行政運営の改善
D 限られた行政資源の効果的・効率的な活用
B 「市民と協働して自律的・総合的に都市施策を企画・実施する分権型行政運営システムの構築」を行うために、
@ 市政への市民の参画と市民との協働の推進
A 行政運営システムの改革
B 大都市制度・大都市税財政制度の確立
C 「分権推進プログラム」の策定
「中長期を見据え、積極的なまちづくりの推進を支える安定した財政及び機能的・効率的な行政運営の確立」のために
@ 事務事業の再構築
A 組織機構の再編整備
B 健全な財政運営
C 外郭団体の活用と見直し
D 定員及び給与のあり方
(3)「新行財政改革計画」推進にあたっての市側の考え方
   最後に、今回示した新行財政改革計画の「推進にあたって」は、
@ 期間を平成13年度から17年度までの5年間とし、積極的に取り組む。
A 「新指針」と一体的かつ着実に全庁一丸となって推進し、所属を含め計画的な進行管理を行う。
B 計画の取組みは毎年度、当該年度の内容や前年実績を市民に公表し、意見・提案を求めるとともに「大阪市総合計画・行財政改革推進委員会」に報告・反映して行く。

2.「新行財政改革計画」提案に対する市労組の問い質した項目
@「分権型行政運営システムの構築」の中心ポイントとなる市民の参画・市民の協働による新たな事業項目、各事業所への権限移譲、国関係省庁からの権限移譲などは「平成13年度中に『分権推進プログラム』として策定する」とされているが早期に策定すべきであり、そのうえで充分な協議を求めておきたい。
A「市民本位の透明で開かれた市政の推進」の中では情報公開制度の充実が述べられており、市労組として評価できる項目である。バランスシート(財政の貸借対照表)を平成11年度決算からとりいれていることも評価できる。しかし、市民に分かりやすくするのには財政の硬直化の原因である起債の償還計画・公債費会計と基金の公表、資産の現在価格でのバランスシート化を図るべきではないか。行財政改革の根幹を市民と職員に語る重要部分であり、市側の検討を要請したい。
また、各局において条例に基づく請求を待つことなく情報提供を行うと言う点も評価したい。しかし、現在、市民の情報請求は、西区の公文書館と本庁舎の資料センターの2ヶ所でしかできない。市民参加・情報公開を大きく進めるためにはこれでは、不十分ではないか。
Bまた、「事業評価システムの構築」とは、市側の提起どおり自己点検・自己評価を行い、無駄な財政支出を省き、事業改善を通じて適切な行政サービスの提供と市民サービスの向上をはかっていくこととして市労組は理解している。こうした理解をここでは、「時代の変化に適応した事業の改善・見直しなどに取り組む」ものとして「人減らし合理化」「行革」そのものの視点で述べている。「事業評価システムの構築」の趣旨からしておかしいのでないか、この点を質しておきたい。
C新計画では「大都市特有の行財政需要に対応した自主的・自立的な行財政運営を推進することができる基盤と能力を確立するため、国からの大幅な権限移譲等や国と地方との役割分担に応じた税源移譲などによる大都市制度・大都市税財政制度の拡充強化を図る」とされているが、これまでほとんど進展が見られない。今後のアプローチのあり方について明らかにされたい。
D市労組は、地域の総合的行政機関として区役所の機能と権限の強化を求めており、また、区長が区民や区内で働く労働者の要求に応えるため本市の予算編成に参画できるよう、これまでから要求してきたが、この点での本市の対応を質したい。
Eさらに、「事務事業の再構築」のなかで「PFIの導入の検討」が取り上げられているが、PFI法による事業の検討でいえば、例えば関西国際空港の事業などは国際的理解としては「PFI方式による事業」とされている。市としての第三セクター方式による多くの事業は実態として「PFI事業」の先取り的形態だといえるが、市側のPFI法による新たな事業構築の検討の意味・理解を質しておきたい。何れにしても「民間活用」の失敗を繰り返すことのないよう求めておきたい。
F次に、「健全な財政運営」の項とかかわって、「市有財産の有効活用」について質したい。すでに本市では土地の「有効利用」を行うとして土地信託方式等で事業化を進めてきたが何れも失敗し、先の見通しのないものになっている。バブル経済の崩壊後も同じ轍を踏む危険があるのではないか。「定期借地制度」「不動産証券化による売却処分」についても、市民の財産を食いつぶす結果とならないように留意すべきだ。これ以上の失敗は「行政」に対するだけでなく、市に働く職員への批判となって返ってくるといった重大な事態になっている。市側の慎重な対応を求めておきたい。
G「外郭団体の活用と見直し」についてでは、経営改善の促進、効率経営、活性化、具体の見直し方針など、従前にないシビアな考え方が打ち出されているが、3K赤字に続いて、いままた、大阪シテイドームやクリスタ長堀への巨額の財政支援も出されている。新計画の表現どおり徹底されるよう求めておきたい。また、「本市職員の出向については、個々の必要性を精査し、そのあり方を検討する」としているが、この点についての必要な協議を求めておきたい。
H「定員及び給与のあり方」について質しておきたい。市側が示している内容は、われわれの勤務労働条件に直接かかわる問題であり、一方的な行財政改革方針を押し付けることは許されるものではない。要員問題が厳しいなか、職場で超勤命令簿に記載されていないサービス残業が発生している実態がある。「定員及び給与のあり方」とかかわって、市側から口頭で、初めて減員のための「数値目標の設定」があったが、極めて唐突であり認めるわけにはいかない。「定員及び給与のあり方」については、今後5年間の労使交渉の基本問題として認識しており、今後改めて態度を表明することとする。
I最後に、別紙で「組織機構の再編整備」が示されたが、第1に市側の機構改革案が果たして改革なのか、あるいは改悪なのかの判断基準は、市民本位の行政レベルを低下させないか、市民生活にマイナスの影響を与えないか、住民自治を前進させるものかどうかであり、この点が重要な判断ポイントである。第2には、機構改革は人員と仕事のすすめ方の2つと深く関連しているということである。機構の新設、廃止、統廃合を固定的にとらえず、市民本位の民主的効率的行政をすすめる立場で人員配置や仕事のすすめ方を根本的に検証するという観点が求められるという点である。第3に、労働組合が機構改革や人事について交渉を求める場合、「給与、勤務時間その他の労働条件にあたらない」として、交渉を拒否または形骸化する態度をとることがある。地方公務員法55条は、憲法に保障された労働基本権を大きくゆがめたもとで、最小限のこととして交渉権と書面による協定を認めたものであって、交渉内容を規制するための条文ではないことは明らかである。機構改革は「管理運営事項」とされても、それによって職員の配置転換が生じるのが普通で、その結果、要員数の変化、通勤距離・時間の変化が伴うものである。また、機構改革は、職員の労働過程が改編され、職員に犠牲をもたらす内容をもっていることが少なくなく、むしろ労働条件そのものの問題といって過言ではない。これらの基本点を踏まえ、市側の「機構改革」のもつ問題点や検証項目について労働組合との協議において十分な説明と解明をされるよう対応を求める。また、各局関連職場の具体的内容や行政執行体制についても所属での協議も求めておく。
(再度の問い質し)
@「市民本位の透明で開かれた市政の推進」のためにも、市労組としての提言だが、区役所に情報公開窓口を開設し、職員を配置したらどうか。市民からの請求(情報)を特定する必要はあるが、局との電話対応で十分特定できるはずだ。当面は公開請求のつなぎ窓口としてスタートさせ、充実させて行ったらどうか。地方分権の具体化でもあり、市側の強調してきた区役所機能の充実にもつながると考える。ぜひ取り入れ充実させることを求めたい。
Aまた、新たな区行政の展開では事務処理部門を集約化・広域化を図るとして、税務事務・国民健康保健事務を挙げて実際進めていっているが、市側は一方で「区役所機能
充実」も述べている。
  市労組は、区役所行政はサービス面だけを持つものでなく、税・料徴収の強権も合わせ持っており、税・料の滞納といった言わば、「負のサービス」も含めた区役所機能をそのまま「充実」させるべきだと考える。総合的な区役所行政を進めるうえで、区役所事務の一部をセンター化したり、広域化することは誤りではないか。それだけ区役所機能が欠けることにもつながっている。「センター化・広域化」による集中処理は期間限定の業務なのか。効果が現れなければ再度区役所に組戻すのか、市側としての現在の考えを明らかにされたい。
B「数値目標の設定」にかかわって再度質すが、市労組としては、一方的な「スクラップ・アンド・ビルド」を容認するものではない。昨年、区における介護保険制度新設に伴い約300名の要員が必要となり、それを生み出すため、全区にスクラップを強いたことで様々な問題が現場で生じているが、市労組の立場からも既存の事務事業のなかで役割を終え見直しを求めなければならない事務事業も存在しており、見直し・検討を一般的に否定するものではない。
「数値目標の設定」を行わずとも、法制定後30余年を経過し、役割を終えた事務事業を見直せば、われわれから見ても数百人の人員が生み出せる事務事業もある。これを保健・医療や福祉・介護さらに保育の現場に振り分けるなら、第一線職場の体制強化につながり、そのことが「市民の期待と信託に応える」道ではないかと考える。
事務事業の見直しをすすめている経過から見ても、自治体リストラ推進の側面を持って減員のための行財政改革をすすめていると言わざるを得ない。

3、市側からの見解・回答の要旨
@「分権推進プログラム」については、市政への市民の参画と協働の推進や行政運営システムの改革、大都市制度・大都市税財政制度の確立として示した事項の中で、新計画策定後、さらに具体化を図っていくべきものについて、各所属の推進支部等や「大都市制度検討会議」での検討も踏まえて取りまとめ、平成13年度中に策定してまいりたい。
  なお、取りまとめ後、具体案について説明させていただく。
A市政に関する資料の提供機能の充実については、事業評価システムの導入による評価結果の公表や、総務省マニュアルに基づくバランスシートなどによる、市民にわかりやすい財政事情の公表とともに、長期計画や重要な基本計画など、本市の施策に関わる情報をはじめ、外郭団体の事業報告書、財務諸表などの市民に提供する情報の充実を図り、これらの資料を行政資料センターに設置するほか、情報提供を行う箇所を順次拡大してまいりたい。     
B事業評価システムについては、企画立案能力や市民サービスの一層の向上を図り、市民と行政の良好なパートナーシップを構築するという観点のほか、行政の果たすべき役割を踏まえ、職員参加のもと、事業の成果・効果を点検し、事業の効果的・効率的な実施や、事業対象・手段の改善、さらには時代の変化に適応した事業の改善・見直しなどにより、様々な行政課題に応える事務事業を、施策の目的に即して効果的に推進するという観点から、構築するものである。
C大都市制度・大都市税財政制度の確立については、地方分権の時代にふさわしい市民の視点に立った自主的・自立的な行財政運営を進める観点から権限の移譲や関与等の見直し、国と地方との役割分担に応じた税額移譲の実施等について、他の指定都市とも連携しながら、国等関係機関への働きかけを行うとともに、学識経験者の参画も得て、調査研究を進めてまいりたい。
D区役所の機能充実については、区内の各種事業の事業計画等の的確な把握など、企画段階から区役所が各局の事業について検証し、かつ改善要請することができる仕組みづくりを行うなど、区役所と局・事業所等の緊密な連携のもと、市民ニーズをいかして、地域に密着したきめ細かな事業の展開や、各局が実施する事業の総合的調整、また利用者の立場に立った市民サービスの−層の向上とともに、区における裁量予算の拡大や予算管理のあり方も検討するなど、その機能を充実強化してまいりたい。
EPFIについては、公共施設等の整備などに関する事業で、民間部門の資金・経営能力等の活用により効果的かつ効率的な実施が図られるものについて、導入を検討してまいりたい。
F未利用地の有効活用については、市民の貴重な資産である未利用の市有地を、長期的視点に立って計画的に活用策を検討することが必要であり、公用・公共用優先を原則としつつ、土地利用の促進やまちづくり等の観点から広く一般に処分することも視野に入れながら、引き続き活用方針の策定等を行ってまいりたい。
 G外郭団体の活用と見直しについては、新計画に掲げた内容を着実に実施してまいりたい。なお、今後の本市職員の出向については個々の必要性を精査し、そのあり方を検討していくので、別途、必要な説明はさせていただく。
 H定員及び給与のあり方については、税収入の大幅な改善が期待できない状況の中で、公債費・福祉費などの義務的経費が増加し財政の硬直化が進行しており、今後とも新たな行政需要に柔軟かつ的確に対応していくためには財政の健全化を図る必要があり、今日、シーリングから除外してきた人件費も含め、経常経費を削減することは必須の課題である。
   また、本市の定員管理については、国から削減目標値を掲げた計画を早期に策定し、より一層の行財政改革を推進するよう厳しく指導を受けているとともに、限られた税財源の中で中長期をも展望し、安定した財政基盤のもとで、市民ニーズに適合した施策を積極的に実施し、良質な行政サービスを提供していくためには、必要性や効果の乏しくなった事務事業の度止・縮小、民間部門の積極的な活用、事務事業執行方法の高度化・効率化、さらには高齢退職者等の活用など、様々な観点から事務事業を見つめ直し、新たな事務事業に対応する職員の再配置を見込んだ上で、職員数の数値目標を設定して計画的な定員管理に取り組んでいくことが必要であると考えている。
I組織機構の再編整備については、本市として分権時代にふさわしい行政運営システムの確立を図り、ますます多様化する市民ニーズに対し、的確かつ迅速に質の高い行政サービスを提供し、市民の期待に応えていくため、現在の局の枠祖みにとらわれることなく、新しい時代、新しい事務事業に効率的、弾力的に対応しうる組織機構の整備を図るものである。また、組織機構の整備にあたっては、労使が信頼をもって進めていくことが重要であり、必要性について理解いただくよう努めてまいるとともに、「管理運営事項」とはいえ、そのことにより勤務条件等に影響を与える問題でもあり、行政運営に支障をきたすことのないよう十分に留意しながら、責任をもって進めてまいりたい。
(市側からの、再度の回答要旨)
@地方分権の進展により国・地方を通じて行政は一大転換期を迎えている中で、本市では市民との信頼関係をより一層深め、良好なパートナーシップを確立することをめざして、情報公開制度の充実や、局・各区において積極的な市政情報の提供と市民ニーズを的確に把握して市政に反映させるとともに、各々の事業の企画及び運営にあたっても、市民と協働して進めていくための仕組みを構築してまいりたい。
A市税に関しては、システム効果をいかし収納管理から滞納管理まで一貫した事務処理を行うとともに、各区において対応している高額化・難件化した滞納事案を財政局で集中管理することにより、効率的な収納体制を確立し、市税収納率の向上を図るものである。また、国民健康保険料に関しては、昼間不在世帯の増加に伴い収納環境が悪化している現状に着目し、休日・夜間の電話督励を中心とした新たな徴収体制の整備を図るため設置した「保険料業務センター」と区役所との連携を密にし、より効果的な収納対策の強化と収納率の向上を図るものである。
   このように、システム効果をいかし、「市民に最も身近な区役所で行うべき業務」と「集約化を図るべき業務」との整理を行うことにより、効率的な事務処理と迅速化、広域化を図るとともに、区役所の来庁者にわかりやすく便利な窓口とするなど、市民サービスの向上を図ってまいりたい。
B本市の定員管理については、この間、都道府県・政令指定都市の中で唯−、数値目標を掲げていないことに対する国の指導をはじめ、職員総数の縮減について厳しく指摘を受けており、市会からは総人件算の削減についても強く求められている状況にあるなど、その動向については市民も重大な関心を持っているところである。
   今後、財政の健全化に向け、人件費も含めた経常経費の削減は必須であり、地方交付税などの国からの財源確保、さらには使用料・手数料など市民に新たな負担を求めることについても検討せざるを得ないが、市民の理解を得るためには、自らの努力として、職員数の数値目標を設定して計画的な定員管理に取り組む必要があると考えている。

4.市労組として総括指摘
市労組としては、「総論として、今回提案の新行財政改革計画は全体として住民参加・情報公開などの方向性をしめすなど、評価できるものもあるが、基本的に、10年前に計画された『総合計画21』を何ら見直すことなく、全ての項目をやり遂げるための『新指針』であり、その進行管理のための『新行財政改革計画』であることを指摘しておきたい。」と述べました。また、「この10年は、バブル経済がはじけるなど、社会経済情勢の大きな変化もある中で、市側も述べている通り、財政の硬直化がすすんでいることを認めたうえで、こうした事態のもとで、今後も『身の丈を考えない財政運営』を続けて行くことを『新指針』あるいは『新行財政改革方針』で示された訳だが、市労組として10年の総括も、見直しもなく、このまま巨大開発にのめり込むならば、起債の償還額の膨らみとハコ物の不良債権化がさらに進んでいくことになる。巨大開発は見直すべきだ」との意見を強く述べました。また、「『見直し』を見送るならば、必ず危機的な財政状況が生まれてくることも指摘しておきたい。」と述べ、交渉を終えました。
 
X.シュミレーション−新行財政改革計画から「区役所改革」の何が見えてくるか

 「新行財政改革計画」の具体的方策としての項目には「市民と協働して自立的・総合的に都市施策を企画・実施する分権型行政運営システムの構築」がありますが、ここに「1.市政への市民との協働の推進」として、「区役所でのホームページの開設や区民情報コーナーにおける情報提供、市民とのコミュニケーション、地域課題の総合的な相談窓口」など局・事業所との連携をうたっています。また、「2.行政運営システムの改革における新たな区行政の展開」の項では、「局と区の市政情報の共有化をはじめ、地域の中で把握した市民ニーズを的確に施策に反映させること、まちづくりや地域福祉等の総合的な相談窓口」となるなど繰り返し区役所の役割が述べられています。
しかし、「地方分権の時代にふさわしい地域の実情に応じた施策の展開」からみても程遠い機能にすぎません。なぜなら、施策立案など行政としての基幹部分に区役所の役割がなく、市民の苦情を聞き、相談にのり市民情報を把握し、市の施策情報を流すという中継地の役割から脱していないからです。逆に市民が最も知りたい市の情報資料は本庁舎の行政資料センターと公文書館にしかありません。
また、市民との良好なパートナーシップの確立と協働を推進するための組織体制を整備し、「分権推進プログラム」において「各局の市民参画・協働に向けたとりくみ」を明らかにすると述べ、「各局の企画調整担当部門の機能強化、連携、複数の部局にわたる行政課題についての事業展開を図るため、局の専任職員を基本として構成するプロジェクト組織を設置する」と述べていますが、区役所からみて、まさしく複数部局がまたがった構成になっているにも関わらず、ここでの区役所の役割・機能についてふれていません。
もっとも重要なことは、権限移譲等による事業所の機能充実の項で、「市民に身近な行政機関である事業所において市民ニーズに即応した行政サービスを提供し、市民サービス向上と事務事業の効率化・迅速化を図る観点から」「各局事業所への財源・権限を移譲し、事業所の機能充実を図る」としていますが、区役所の機能のあり方について明らかにしていないことです。ここで、「新行財政改革計画」の具体的方策としてだされた区役所関連項目と、市民局・市職区連の労使がまとめた「区役所業務検証委員会報告」とを対比しシュミレーションしてみます。

1.企画調整部門の検討
(1)企画調整部門(区役所業務検証委員会報告)
   区民ニーズの広汎・的確な把握と情報発信機能の強化を行うことにより、区民と区役所のより一層の意志疎通を図り、区民ニーズを踏まえた区行政・まちづくり支援を展開するとともに、各種施策・事務事業への反映を図る。
  @広聴広報機能の充実強化
  ・区政モニター等組織的・体系的な市民の声の把握
  ・区における地域データベースの整備
  ・各種媒体を活用した情報発信の拠点機能の強化
  ・インターネットの双方向性を活用した広聴広報
  ・情報公開制度への対応
  A企画立案機能の充実強化
  ・地域の視点から、及害に強い、人にやさしいまちづくりの推進
  ・区民の自発的なまちづくり活動の支援
 B区内事業所との連携強化
  ・効果的な事務事業の実施に向けての総合調整
  ・区内行政に関する苦情・相談等に対する総合処理体制の充実
  C関係局との連格調整
  ・局区間協義連格事項の一層の実効化
  ・区民ニーズ反映のシステム化
(2)企画調整部門(新行財政改革計画)
   区民ニーズの広汎・的確な把握と情報発信機能の強化を行うことにより、区民と区役所のより一層の意思疎通を図り、区民ニーズを踏まえた区行政・まちづくり支壊を展開するとともに、各種施策・事務事業への反映を図る。

◇ 区内行政に関する情報の積極的な提供と区民ニーズの的確な把握
  ・区版ホームページによる情報提供
  ・区の広報紙の内容の充実
  ・インターネットを活用した区内行政に関する区民からの要望・相談・提案の受付け及び回答
  ・「市民の声」、区民アンケート等による地域行政に関する区民ニーズの把握及び体系化
◇ 区民ニーズの施策等への反映のための仕組みづくり
  ・基礎的な各種統計データ等を体系化し、地域情報として提供するための地域データべ−スの整備及び各種施策等への積極的な活用
  ・区内の各種事業の事業計画等の的確な把握など企画段階から区役所が各局の事業について検証することができる仕組みづくり
  ・区役所が区内の各種事業について各局に対し改善要請することができる仕組みづくり
  ・区における裁量予算の拡大や予算管理のあり方の検討
  仕組みづくりを連発しているが、企画部門と事務執行部門とより分け、国の公務員制度改悪と連動する懸念がある。本庁機能は、より政策立案部門が強化され、区役所職員の雇用形態、労働のあり方の変化が強まる。
・事業の効果的実施に向けた企画調整機能の付与など、区行政連格調整会議及び同小会議の一層の活性化
区内行政に関する要望・相談等に総合的に対応することができる仕組みづくり
区民利用施設における各程事業の一元的な調整機能の確立と情報発信

2.社会参加促進部門の検討

(1)市民の社会参加促進部門(区役所業務検証委員会報告)
   人権啓発の一層の推進を図るとともに、より豊かな市民生活形成にむけて、各種社会資本を有効活用した生涯学習環境のコーディネート、文化・スポーツ振興、ボランティア・NPO活動への支援等、市民の社会参加の促進を図る。
  @人権啓発の推進
  ・学習機会の提供
  ・人材やグループ、組織の育成、ネットワークづくり支援
  ・教材作成や市民・企業への情報提供など環境整備
  ・人権文化センターとの連携       
  A生涯学習支援
  ・区民利用施設事業の一元的な調整機能の確立
  ・コミュニティ協会、市民団体、ボランティアとも協働した市民参加型の文化・スポーツ事業・健康推進事業等の展開
  Bボランティア・NPOと区民の社会参加活動の支援
  ・情報提供体制の強化
  ・区内のネットワークづくり
  ・団体事務局機能の支援
  ・コミュニティ協会の充実強化
  ・活動拠点の整備

(2)市民の社会参加促進部門(新行財政改革計画)
   人権啓発の一層の推進を図るとともに、より豊かな市民生活形成に向けて、各種社会資本を有効活用した生涯学習のコーディネート、文化・スポーツ振興、ボランティア・NPO活動への支援等、市民の社会参加の促進を図る。
◇ 区民参加・協働の推進
  ・環境、緑化など区民の自発的なまちづくり活動の支壊
  ・ボランティア、NPOなど区民の社会参加活動の支援
・子育てや障害者の地域支援ネットワークの構築、人権啓発の一層の推進、生涯学習の支援、文化・スポーツの振興など、市民参加型事業のより積極的な推進

3.福祉部門の検討
(1)福祉部門(区役所業務検証委員会報告)
  各種福祉施策の総合的な推進に努め、区民にとって利用しやすい福祉行政機構の横築を目指すとともに、福祉と保健の連携を強化し、より効果的な事務事業等の進捗を図る。
 ・保健センター、区社会福祉協鵠会と連携した総合的な保健福祉窓口機能の充実
 ・子育て、障害者地域支援ネットワークの構築
  新行革計画では、市民の社会参加促進部門の中に掲載されており、人権啓発と並列扱いされており、後退している。
 ・高齢者のいきがいづくり、健康づくり等の総合的展開
 ・民生委員・児童委員制度の一層の活用
 ・総合福祉システムの構築
(2)福祉部門(新行財政改革計画)
 各種福祉施策の総合的な推進に努め、福祉と保健の連携を強化し、高齢者のいきがい・健康づくり等の総合的な展開など、各局・事業所等と連携し、より効果的な事務事業の進捗を図る。
  機構改革で位置付けが弱くなり、総合的、効果的事務事業と言いながら、コストを低くし、民間委託への動きが予測される

4.事務処理部門の検討

(1)事務処理部門(区役所業務検証委員会報告)
  住民基本台帳・外国人登録事務、税務事務、国民健康保険事務等のシステム効果をいかし、「市民に最も身近な区役所で行うべき業務」と「集約化をはかるべき業務」との整理を行い、効率的な事務処理と迅速化、広域化を図るとともに、来庁者にわかりやすく便利な窓口とするなど、市民サービスの向上を図る。
  住民基本台帳・外国人登録事務は、新行財政改革計画では、後景になっている。
 ・標準的・定型的な証明発行や届出等の窓口部門のあり方
 ・住基外登システムの再構築等
 ・住基等データを軸にした事務の統合並びに各種施策等との連携
 ・システム効果等をいかした窓口サービスの向上
 ・戸籍登録事務の改善
Aシステム効果をいかした税務事務の再編と適正配置
 ・特定税目の集約化
 ・高額・難件滞納整理事務の集中化
 ・システム効果をいかした窓口部門のサービス向上
 ・賦課徴収体制の強化
 ・税務相談等の充実
Bシステム効果をいかした保険年金事務の再編と適正配置
 ・休日、夜間を含めた効果的な保険料徴収体制の整備
 ・老人福利関係業務一元的展開
 ・年金業務のあり方
 ・児童手当のあり方
 ・福祉としての各種医療助成業務のあり方
 ・保険料部賦課と徴収の連携のあり方
 ・医療保険制度の抜本改正に向けた対応
下線部分は、他の課・係に統合する事が予想される
(2)事務処理部門(新行財政改革計画)
   税務事務、国民健康保険事務等各種事務のシステム効果をいかし、「市民に最も身近な区役所で行うべき業務」と「集約化を図るべき業務」との整理を行い、効率的な事務処理と迅速化、広域化を図るとともに、来庁者にわかりやすく便利な窓口とするなど、市民サービスの向上を図る。

  ◇ 窓口サービスの向上
  ・全課における昼休み窓口の拡充
  ・保健センター、区社会福祉協議会等と連携した総合的な保健福祉窓口機能の充実
 
機構改革で環境保健局と民生局の統合・新局にすでに表れている。
少子化・高齢化社会への対応や高齢者施策の充実、児童虐待問題、ドメステック・バイオレンス問題など総合的な対策が求められている中、行政として総合的な連携による施策と運営が望まれることとして十分に踏まえなければならない。
 同時に、これまで述べてきたように今後の改悪された社会福祉法のもとでは、福祉サービスは、これまでの公的責任による「措置」をサービス提供事業者と利用者との直接の「契約」による「買い取る福祉」に変質させ、営利企業の福祉分野への参入を許した。今回の機構改革により、社会保障の最後の砦と言われる公衆衛生の分野までも市場原理にゆだね、競争を通じてサービスを提供するという営利市場化の道を開くものとなるのではないかと危惧するものである。利用者の人権を守るために公的責任をはたせる行政としての役割を明確にしていくことが求められる。

 ・税務相談の充実
 ・システム効果等をいかした窓口事務の統合、証明事務等の広域的拡充
 ・情報化の一層の推進等による業務革新と区民サービスの向上
 ・総合福祉システムの開発による行政運営の高度化と区民サービスの向上
 ・各種施策・事業の円滑な推進を目的とした、住民基本台帳・外国人登録事
   務システムで保有するデータの演極的な活用

市税・国民健康保険料などの収納率の向上
 市税
 税務事務システムの効果をいかし、収納管理から滞納整理まで一貫した事務処理を行うとともに、現在、各区において対応している高額化・難件化した滞納事案を財政局で集中処理することにより、効率的な収納体制を確立し市税収納率の向上を図る。
 なお、収納率については、前年度実績を上回ることを目標とし、その実現に向けて積極的な取組みを進める。
 また、税に関する啓発、口座振替納付の推進など、従来の取組みの強化を図る。

 国民健康保険料
 昼間不在世帯の増加に伴い収納環境が悪化している現状に着目し、休日・夜間の電話督励を中心とした新たな徴収体制の整備を図るため設置した「保険料業務センター」と区役所との連携を密にし、より効果的な収納対策の強化と収約率の向上を図る。
 なお、収納率については、前年度実績を上回ることを目標とし、被保険者に対して制度の説明を行い、理解を求めながら、その実現に向けて積極的なく取組を進める。

5.総務部門の検討
(1)総務部門(区役所業務検証委員会報告)
  区役所業務のより一層の円滑な推進に向けて、管理・調整機能の強化を図る。

  ・管理・調整機能の強化
  ・臨時運行許可事務のあり方
  ・選挙事務のあり方
  ・統計事務のあり方
  ・区役所業務の総合的進捗状況管理及び連格調整
  ・臨時執行体制への円滑な移行
  ・広報事務職員業務のあり方

新行財政改革計画においては、現行の主査制度について検討、多様な行政需要に臨機応変かつ迅速に対応できる弾力的な組織運営(東アジア競技大会・オリンピック)
  技能労務職員(2号職員)の交流・異動のあり方など考えられる
  また、IT化により、係がなくなり、フラット化の様相を見せてくるのではないか

6.実施に向けての基本的考え方(区役所業務検証委員会報告)
○区役所機能のあり方、充実を検討するにあわせて、体制整備、体制充実並びに適正配置を検討していくものとする。
○各区における実態を把握し、それを踏まえ具体実施に向けて検討していくものとする。
○出張所については、区役所機能のあり方を検討をするなかで、当該区のみの課題としてではなく、本市行政の課題であるとの観点から、業務内容の整理検討を行っていくものとする。
 出張所のあり方が充実化なのか、縮小・廃止なのかはっきりしない。システムの端末は導入されているが、税務の賦課・収納・整理事務はしていない。

Y.行財政改革における自治体労働運動

 市労組は、民主的行財政改革のとりくみにあたって、つぎの視点を明らかにしてきました。
それは第1に、憲法にもとづく真の地方自治の確立と分権化、市民主体の民主的効率的行財政実現する方向での検討をすすめること。第2に、自治体の主人公である市民と職場の主人公である職員が行財政改革の主体であり、この両者の要求を基礎にした共闘の発展こそ、行財政改革の原動力であること。また、第3に、市民の要求と自治体労働者の行財政点検にもとづく政策こそ、行財政改革の方向をさし示す指針であること。そして、第4に、行政への参加については民主的自治体の活力の源泉である市民参加、職員参加を改革のプロセスにつらぬかなくてはならないこと。さらに第5に、民主的行財政改革をすすめる障害となるのは官僚主義であり、これと日常的にたたかいをすすめることが改革を成功させる上で重要なキーポイントとなっていることです。

1.国・自治体の公共性を担う公務労働
   憲法的人権保障、国民、地域の共同利益、行政の公平性

 新しい行政改革のもとでの公務労働運動のキーワードは、結局「公共性」をどう指し示すかのその運動論だと思います。「給食」であれば、どうその「公共性」を示すのかということです。政治学・哲学・社会学では公共性は「公共空間」=パブリックエリアといい、それが公共性を担うゆえんであるといえます。
その点では3つの論点があります。
@ 憲法上からも、人権の確立が必要なものは、規制緩和できないし委託できないといっている。
A 共用性、共有制、共同の利益の担い手、たとえば吉野川、中海、ナショナルトラストなど、こうした仕事が住民から委託されて公務となる。そのため、いかに世論形成するか、多数派形成をすすめる運動が必要である。これらは公論で決着する。
B 地域や住民へ公平に処遇する。そのため公開されていることが条件である。郵政3事業(郵便、通信・預金・保険)などの問題点を見ても、規制緩和をすると結局「公平性」がくずれてしまう。

2.公務労働の専門性と行政の民主化
    国民とのコミュニケーションに根ざす公務の専門性

 事務事業の見直し、リストラをすすめる際に政府や自治体当局が必ず持ち出す手法は次の3つです。
@公共性の否定−老人医療などはこの点を主張している。
A公共性の希薄化(うすめる)−学校給食、保育所、清掃などは当局といえども「いらない」「無用」とは言えない。したがって希薄化を求め、うすめることによって効率化をすすめる。「コストが安いのがよい」と主張してきている。
B効率化論−公務の専門性でいえば中味を深めることが大切でそのため、3つの視点がいる。
 a 民主性→人権、民主主義、公開を徹底して追求する。
 b 自立性→財政や権限などを含め職場自治を獲得していく。
 c 固有性→つまり専門性を発揮すること。固有な目的にテーマをもって運営されているかを追求していく。
 これらabcの視点でいえば、たとえば保健所についてもbで厚生労働省や警察などからの介入、干渉を受けないなど分析、研究が必要です。

3.全国的労働運動と公務労働運動の役割

 給与・雇用保障については公務員労働者がしっかりしていますが、しかし、いまナショナルミニマムがくずされつつあります。民間からすると、公務員準拠型がくずれると打撃になるわけで、労働法が改悪され、労働市場がリストラにあい厳しくなっていもとで、労働運動に求められるのは、ナショナルミニマムをくずさない自覚が必要なこと、政策、理論、運動のうえでナショナルミニマムを追求していくべきです。

Z.むすびに、今後の「区役所改革」にどう切り結ぶのか

 分権・参加時代の区行政改革提言「市民の願いと自治体労働者の生きがいを実現する区政を」(96.12)を、@大阪市のなかで区を単位として考え、A本庁の仕事を区に渡し、Bしかも、住民参加でつくる、という観点ですすめなければなりません。
それには、都市内分権・住民参加の政令指定都市での具体化、たとえば、@行政サービスの区における統合性、A事務の拡充と権限・財源の委譲、つまり、区役所は仕事の種類が多い方が市民にとってベターであり、同時に、権限がなくてはならないことを追求する、
Bそして、住民参加・自治の単位としての「区」を、いかに住民参加のかたちをつくるか
C区役所労働者の働きがいの追求、内なる情報の公開、政策提案など、が必要です。
新行財政改革計画は区役所事務内容など変化は、従来にないものがあります。しかし、肝心の権限、財源の委譲は見送りであり、具体的ではありません。なぜなのか、区役所改革の目的がリストラを基本にしているからではないでしょうか。
都市コンサルタントの初村氏は、かつて「区制労働者でなく、区政労働者であれ」と言いました。区役所内部だけに目を向けないで、地域全体を仕事と運動の対象にする「区まちづくり白書」運動を本気で追求していく時ではないでしょうか。自治研究集会の継続と職場自治研究活動の強化と働きかけを強めていきましょう。
 繰り返しになりますが、今回の新行財政改革計画の区役所のあり方は、「企画調整部門」「市民の社会参加促進部門」「福祉部門」「事務処理部門」「総務部門」と5つにわけています。違う言い方をすれば、われわれが言ってきた@窓口業務(戸籍・登録など)A地域業務(地域振興など)B内部管理 C福祉業務と一致します。
 一本化できるものは、本庁へ一括することも方法の1つです。@〜Cの業務を区役所で拡大することも重要です。「連合市職」の主張とは、ほぼ一致するが、問題は、権限にふれられていないことです。「地域の実情に応じた施策を確立する」と言いますが、これらの主語がなく、主体である市民の存在が明確でなく、事務事業の執行と市民のパイプ役しかないという限界があるのです。なぜそうなのか、リストラをするための目標として据えたものであって、「仕事は拡大するが権限・人員・予算を与えない」ことに尽きるからです。
 民主的行財政改革のとりくみをすすめるためにも,市当局がもっているあらゆる情報を公開させ、秘密主義を打破していく必要があります。また「行財政」も市民の生活実態や、それに伴う要求の変化にあわせて、その内容を常に変革し、改善をはかっていくことであり、行財政改革は、民主的自治体の日常的な課題であることとしてとらえることが重要と考え、運動をすすめていきましょう。


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