住民サービスと雇用を守る 緊急の運動を広げよう! 保育所・公民館・病院など 自治体のほとんどの業務が対象 民間に丸投げ 住民サービスより「効率」を優先 これまでは「公の施設」の管理の委託は、自治体が50%以上出資する法人や公共的団体等に限られていましたが、先の通常国会で地方自治体法が「改正」され、株式会社を含めた民間参入が可能になる「指定管理者制度」が導入されました。 自治体業務を大規模に民間等にいた委託していく手法であり、自治体の公的責任を堅持させ、住民サービスと雇用を守るとりくみの強化が緊急に求められます。
現行の管理委託制度は廃止 3年以内に株式会社などへ 新設の「公の施設」は指定管理者制度を前提に これまでの管理委託制度は廃止され、現在、社会福祉協議会、事業団、公社・公団なに管理を委託している事業は、3年以内に、指定管理者制度に移行するか、直営に戻すかが迫られます。また、総務省の指導もあり、今後新設される「公の施設」は指定管理者制度を前提にされるとともに、現在直営の施設も指定管理者制度による管理代行が急速に広がる可能性があります。 現在直営の施設と新設の施設を指定管理者制度で管理代行させる場合は、その時点で条例化し事業者の選任を行うことになり、すでに条例化した自治体がいくつも出ています。 大阪市でも277施設が対象に 大阪市においては、10月5日に開催された市議会財政総務委員会で来年2月に会館予定の大阪市立青少年文化創造ステーション(東淀川区)の管理運営業務について、民間参入を認める「同ステーション条例」の「改正案」が可決されました。 大阪市は、条例改正を受けて、10月中に管理者を募集し、識者等でつくる選定委員会に諮って11月末に財団法人大阪市青少年活動協会を指定管理者予定者として選定しました。 今後、条例に基づいて設置されている大阪市の公的施設277を3年以内に順次、条例改正を行い、民間による管理をすすめようとしています。 どこが問題「指定管理者制度」 1.利用許可や条例の範囲で料金も設定も可能に これまでの「管理委託制度」は、自治体との契約にもとづいて具体的な管理を行うものであり、施設の管理権限及び責任は、地方自治体がになっていました。 「指定管理者制度」は、施設の管理に関する権限も委任して行わせるものであり、指定管理者は、利用許可も行い、条例の範囲で料金を自由に設定でき、使用料は指定管理者の収入として受け取ることができます。施設の管理だけでなく運営についても指定管理者が定の枠の中で自由にできることになります。 2.「官から民へ」の主要な手段として導入 指定管理者制度は、小泉構造改革の流れの中で「自治体のあり方を変える」「官から民へ」の一環として位置づけられてます。総務省は、指定管理者制度と地方独立行政法人を「比較検討し」、どちらの手法がより適切か判断して具体化をはかるよう指示しています。 これまでの直営の施設にあっても、「公の施設の管理状況全般について点検し、指定管理者制度を積極的に活用されるよう」(03年7月総務省自治行政局長通知)指示し、8月には厚生労働省の児童・保護・障害・高齢者分野の4課長連名の「社会福祉施設における指定管理者制度の活用について」との通達も出ています。 3.住民に対する公的責任が後退 政府はこれまで、住民福祉の増進と均等にサービスを提供すること主旨に、「公の施設」の委託について厳しい制限を加えてきました。 しかし、指定管理者制度は、経費節減、効率性を最重点に民営化し、もうけ追求の株式会社にまかせることは、住民サービス向上めざす自治体の公的責任を放棄し、サービスの切り捨て、後退につながることになります。 「公の施設」の設置主旨からして、その利用料は安いことはだいじですが、もうけを上乗せした利用料金を民間事業者が決めていいのでしょうか。最初に安く設定されても、もうけを確保するために後で引き上げられる心配があります。 また、「公の施設」が運営される上で住民が公平に、平等なサービスを受ける上でも大きな問題をもっています。 4.住民と議会のチェックが後退 指定管理者制度のもとで、施設の運営への利用者・住民の参加、住民監査請求を含めた住民のチェックと改善の手続きが法的に保障されていません。指定管理者が得た個人情報の保護についても同様で、情報の流出が心配です。 指定管理者には毎年事業報告書(業務の実施状況、利用状況、料金収入の実績など)の提出が義務付けられてし、ますが、議会への報告義務はありません。また、兼業禁止規定が適用されず、設置者(首長)や議員、その親族が経営する事業者が指定される可能性もあり、腐敗・不正の温床になることも危倶されます。 指定管理者に対しては、お金の出し入れの監査を行うことはできますが、業務そのものについては監査の対象にならないとされています。これでは適正・公平な運営の的確なチェックはできません。 5.雇用と労働条件で重大な問題が出ます 総務省は、複数業者による競争で事業者選定を指示(法的義務はない)しています。これまでの社会福祉協議会、など公的セクターでの「公務員に準拠する」労働条件が大幅に引き下げられるなど、そこで働く、労働者の身分・労働条件は著しく不安定なものにならざるをえません。また臨時・非常勤・ートも含めた職員の雇い止め問題も持ち上がります。 現在受託している公的セクターが、指定管理者に指定されなければ直ぢに、臨時・非常勤・パートも含めた職員の雇用問題が発生します。指定管理者の指定にあたっては、これまでの実績を評価させ、公募なしに同じ公的セクターの選定で雇用の継続をはかる必要があります。 直営施設の公的セクター、民間業者への指定管理者移行にともない、反動的な自治体では分減免職にもつながりかねません。また、ある自治体では指定管理者制度への移行により、非常勤職員を削減し、正規職員を一定の施設に寄せていき最終的には地方独立行政法人化する とりくみの基本 @指定管理者制度について職場で学習会をもちましょう。当局の検討内容を明らかにさせ、組合との協議を求めましょう。また、利用者・住民に問題点を知らせましょう。 A各分野の施設が、どのような経過、自治体の公的責任のもと設置されてきたのか一株式会社などに管理委託した場合の問題点(影響)、直面している課題などを明らかにし、自ら仕事の見直しも行い、職場で学習・討議を積み重ね、指定管理者制度を許さない意思統一を進めましょう。利用者・住民の目線から掘り下げることが重要です。 B利用者との懇談・合意形成を進め、庁内及び社会世論を喚起し、当局と折衝、交渉など多面的な話し合いを積み上げ、担当部局には直営、公的セクター重視を明確にするよう求めます。議会の理解を広げることも重要です。 C社会福祉協議会、公社・公団・事業団など現在管理を受託している事業所は、3年以内に指定管理者制度に移行します。雇用と労働条件での重大な攻撃が予想されます。指定管理者の選定にあたっては、これまでの実績を認めさせ、公募なしに引き続く事業継続と予算の確保をめざしましょう。労働組合が無い事業所では、早急に組合結成を進めましょう。 D臨時パート非常勤・関連労働者は、まっさきに「雇い止め」などの攻撃を受けます。労働組合への組織と運動を強めましょう。 E自治体の指定管理者制度の条例化にかかわり、対置要求(自治労連から提供)のもとに要求の反映をめざしましょう。 |