憲法と地方自治を踏みにじる「戦争」三法案に反対する運動を大きく展開しよう 2002年6月21日 日ごろから、憲法と地方自治を守り、住民福祉の向上と自治体労働者の労働条件や権利向上に職場と地域で奮闘している皆さんに敬意を表します。 さて、小泉内閣は4月16日、「武力攻撃事態の対処法」案、「安全保障会議設置法」の改正案、「自衛隊法」の改正案を閣議決定し、国会に提出しました。小泉首相は早期に法律案を成立させ、その後の2年間ですべての関連法案をつくろうとしています。そのため国会会期の42日間延長を強行しました。 この法案は内閣が「有事」と判断すれば、国の機関だけでなく地方自治体、指定公共機関を指揮し、国民に協力義務と罰則を設け、自衛隊や米軍のために@国民や公共機関の土地、建物、物資や財産を自由に「使用」し、A医療、土木、運輸などの労働者を戦争協力業務に従事させB国民生活も、通信・報道、通行規制、強制的な退避や誘導など、様様な統制を行うことを可能としています。 そもそも国民の平和的生存権を否定し、財産権や生存権の保障を否定するにもかかわらず、今回の法案は抽象的です。日本国土が戦争に巻き込まれる危険性は多くの学者が指摘するようにほとんどありません。「予測される事態」や「おそれ」なども不明確な定義です。さらに周辺事態法によって日本の艦船等がアメリカ政府の進める戦争に協力し、攻撃された場合も含まれます。主権国である日本の国民がアメリカ政府の行う戦争に巻き込まれることとなります。予測も含めた「武力攻撃事態」という不確定で幅広い概念で国民や地方自治体・関係機関を戦争に動員することを可能とすることは認められません。 私たち自治体労働者は、先の世界大戦での苦い経験から「再び赤紙を配らない」として、平和と民主主義を柱とした、戦後の自治体労働運動を展開してきました。 しかし、今有事法制は、首相が自衛隊や、対策本部長の最高指揮官として、指揮権と代執行権が与えられ、自治体が管理や運営をしている、港湾、空港、病院、道路等の公共施設とともに、自治体労働者をはじめ、土木工事や建築、食料、燃料、医薬品等の物質や、これらの運搬輸送にかかわる人びとなど、公用命令書1枚でうむを言わさずに自衛隊や米軍の戦争遂行のために総動員し、拒否するものに対し懲役刑や罰金刑までもおこなうという、地方議会や首長、地方自治を否定するとんでもない戦争法案です。 しかも、戦争に反対する集会や、デモ等の言論表現に対しても制限と罰則を科すという、戦前戦中の治安維持法や国家総動員令に、もまさるとも劣らない悪法に発展する法案であり、地域住民の安全と財産、命をまもるという地方自治体本来の役割を否定するもので、自治体労働者として看過することはもちろん、法案そのものを許すわけにはいきません。 自治労連が行った全ての自治体の首長にあてた有事関連三法案への反対意見表明と、アンケートへの協力要請行動に対して回答のあった8割を上回る首長が、「反対」または、「慎重審議を望む」という回答を寄せています。また、今年3月14日に、秋田県の東成瀬村議会における「反対」の意見書採択がおこなわれたのをはじめとし、全国各地の地方議会で、つぎつぎと反対の意見書採択がおこなわれています。 ひきつづき、各単組においても、首長や地方議会へのはたらきかけを一層強化し、職場・地域での宣伝行動や、国会議員要請行動、署名活動等あらゆる取り組みを、おおくの団体や組織、個人とともに、協力共同の行動の先頭に立ち、すべての力を出しきって、有事3法案を廃案に追い込みましょう。 桑江常彦 (自治労連都職労委員長) 桑原昭俊 (自治労連特区連委員長) 小林光男 (自治労連東水労委員長) 前田辰男 (横浜市従委員長) 大黒作治 (名古屋市職労委員長) 山本雅之 (名古屋水道労組委員長) 真野喜好 (名古屋港職労組委員長) 池田 豊 (京都市職労委員長) 成瀬明彦 (大阪市労組委員長) 大森光則 (神戸市市職労委員長) 本田竹邦 (広島市職労委員長) 堀田和夫 (北九州市職労委員長) 日下部恭久(福岡市職労委員長) |