2000年賃金確定・年末一時金についての市側回答に対する市労組連の態度 《2000年11月28日・大阪市労働組合総連合》 1.2000年賃金確定・年末一時金闘争は、自自公政府による民間企業のリストラ推進、社会保障改悪をはじめ国民生活の破壊という失政により、倒産と失業者の増大、実質賃金の連続減少や消費支出の低下など、かつてない雇用不安と生活・労働実態の悪化というもとでたたかわれました。 とりわけ、2000年人勧が史上最低を更新し、俸給表の改定見送りや一時金を30年前の支給月数に逆戻りさせ、年収ベースで2年連続の賃金引下げを強いる『マイナス勧告』が出されるなかで、大阪市に働くすべての教・職員の生活改善をめざすたたかいとして展開されました。 こうした状況のもとで、市労組連は賃金引き上げ、一時金削減反対、諸手当改善など大阪市に働く教・職員の切実な要求を掲げて全力をあげてとりくむとともに、全労連・公務労組連絡会・大阪公務共闘に結集しつつ対政府闘争にも積極的に参加してきました。 2.市労組連は、2000年賃金確定・年末一時金闘争を、その前段のたたかいである2000年春闘・夏期一時金闘争そして、人事院勧告期闘争・人事委員会との交渉などと一体のものとして位置付け連続したとりくみとしてすすめてきました。 9月27日の第1回対市団体交渉を皮切りに、10月24日の第20回中央委員会において「2000年秋季年末闘争方針」「2000年度賃金確定市労組連重点要求」を決定するとともに、10月24日の「市労組連賃金確定闘争勝利・賃金問題学習会」や11月8日及び22日の「2000年秋季年末闘争、賃金確定・年末一時金闘争勝利市労組連総決起集会」の開催、そして11月27日の「2000年賃金確定・年末一時金闘争勝利、市労組連単組役員決起集会」のとりくみなど、大衆行動を背景に交渉・折衝など多様な取り組みをすすめてきました。 こうしたもとで、今季闘争において市側は国・他都市の動向や自治省「指導」を背景に従前にない賃金制度の改悪姿勢を強めてきました。とりわけ、11月2日の第2回対市団体交渉及び11月14日の第3回対市団体交渉では一時金の 0.2月削減問題について言及しつつ、勤勉手当に「成績率の導入を検討したい」との表明さえ行いました。また、初任給については「初任給の基準の問題は避けて通れない課題」と明言するとともに、55歳昇給停止など高齢者の昇給問題についても、「何らかの対応をせざるを得ない」とするなど、全面的な改悪姿勢を露骨に示してきました。 3.一方、政令各都市における賃金確定闘争もかってない厳しい状況でのたたかいとなりました。とりわけ、北九州市での0.02%マイナスという人事委員会勧告が出されたのをはじめ、他の都市でも給料表の改定を見送る報告・勧告が相次いで出されました。そして、一時金の2年連続の削減、55歳昇給停止、成績率の導入、退職手当の中膨れ支給率の是正など賃金制度への全面的な攻撃として迫られてきました。このように、今季の自治体における賃金確定闘争の最大の特徴は、財政危機の真の原因を何ら是正することなく、そのしわ寄せを労働者・市民に転嫁する行政当局の姿勢がさらに明確になったことです。いいかえれば、春闘が財界の手によって賃金ダウンを強いる「逆春闘」といわれたように、行政当局が、政府・自治省の積極的な後押しによって、公務員労働者の賃金決定機構を、「賃金・権利を抑圧し統制」する「機構」に仕立て上げる動きを強めていることです。 それだけに、情勢は今日の深刻な財政危機の根本的な転換をめざした全国統一闘争が国民的規模で展開されることを何よりも求めているといえます。 4.こうしたもとで、11月27日午後5時30分から行われた第4回団体交渉では、市側から年末手当支給月数の0.2月引き下げ、給与改定についても国・他都市の動向をあげながら「給料表の改定は見送らざるを得ない」との立場を明らかにしてきました。また、55歳昇給停止・初任給基準そして一時金の成績率問題など市側の「思い」を引き続き一方的に述べるとともに、具体内容についての三役折衝の要請を行ってきました。 これに対して、市労組連からは「申し入れた要求から大きくかけ離れたものとなっており、了解できない」「必要なことは問題解決に向けた市側の努力であり、一方的な『思い』だけで決着づけられるものでない」として、市側の姿勢を厳しく追及してきました。そのうえで、市労組連としては、すべての課題について三役折衝に応ずることはやぶさかではないが、局面打開にむけた市側の考え方を具体的に示すことが前提である、との基本的な考え方を表明するとともに、市労組連重点要求の各項目の前進をはかる立場からも三役折衝に応ずることとしてきました。 5.市労組連は、2000年賃金改定・年末一時金交渉で11月27日夜から28日未明にかけて、徹宵態勢で三役交渉など多様な交渉を積み重ねてきました。その結果、11月28日午前2時30分、市側より最終回答として一定具体内容を提示したうえで団交内容は譲れないと表明し、「給料表の改定を見送ることとし、本市人事委員会による公民格差(0.10%)に基づき、諸手当の改善を行う。年内清算に向けて努力する」「年末手当は、期末手当1.75月分、勤勉手当0.6月分、合計2.35月を12月8日(金)に支給する。なお、年末手当における期末手当の支給月数を0.15月、勤勉手当の支給月数を0.05月、合計0.2月引き下げ、年度末手当時に調整する」との回答を得ました。市労組連としては、午前6時から執行委員会を開催するとともに市側回答について協議を行い、三役交渉内容を確認するとともに、不満は残るものの今季闘争の到達点として市側回答を各単組討議に付すこととしてきました。 6.具体内容では、国・他都市の動向からも年末手当支給月数の0.2月引き下げ、「給料表改定の見送り」を覆すことはできなかったものの、扶養手当、住居手当、通勤手当の改善をはかることができました。また、全面的な改悪姿勢を露骨に示してきた、55歳昇給停止・初任給基準そして一時金の成績率問題のいわゆる3課題については、課長級以上職員の一時金の期末手当と勤勉手当の支給割合変更をきたしたものの、今次確定闘争での一般職員を含む勤勉手当への「成績率の導入」を断念されることができました。また、市側が「何らかの対応をせざるを得ない」としてきた55歳昇給停止など高齢者の昇給問題については、1998年確定時に59歳昇給停止を労使合意した際の「平成15年4月1日以降の取り扱いは引き続き協議」を確認したにとどめさせました。さらに「避けて通れない課題」と明言してきた初任給基準の問題については、「引き続き基準のありようについて検討したい」とする「表明」だけに終わらせました。 7.今回の市側回答は、0.10%という市人事委員会の低額勧告を基本とし、2000年人勧での期末手当0.15月・勤勉手当0.05月削減、給料表作成見送りを踏まえたもので、市労組連が求めた賃金の引き上げをはじめ一時金削減反対という要求からもかけ離れたものでした。しかも、一時金削減によって年収の大幅ダウンとなる組合員の生活実態をかえりみない、きわめて不満なものです。しかし、個々の具体内容では交渉・折衝の中で市側姿勢を一定崩すとともに、一部ではあるものの前進的内容を引き出してきました。これらのたたかいの経過と山場での交渉の到達点、さらには今季確定闘争における他都市動向などから判断して、市労組連としては今季闘争については終結せざるを得ないと考えます。 2000年賃金確定・年末一時金闘争は、きわめて厳しい情勢のもとでのたたかいとなりましたが、市労組連としては最大限のとりくみとして展開してきました。引き続き、組合員の賃金の大幅引き上げをはじめ生活改善につながる諸要求の実現に向けて、決意を新たにするものです。 今回の闘争では、公務員労働者の賃金闘争の前進のためには政府・自治省、自治体・大阪市を通じた国公準拠・人勧固執政策と真っ向から対決するたたかいとして、職場を基礎に市労組連対市闘争、政令都市における統一闘争と公務労組連絡会を通じた対政府闘争を結合した粘り強いたたかいを構築することがきわめて重要となっていることを示しました。 市労組連は、今季闘争で大奮闘された組合員の皆さんに敬意を表するとともに、2001春闘への取り組みに向け引き続き奮闘されることを改めて要請するものです。 以 上 |