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市民生活と乖離した大阪市の国保料徴収制度

『大阪の住民と自治』5月号に掲載
大阪市役所労働組合 行財政部長 田所賢治


1.大阪市の国保(国民健康保険)制度の現状

大阪市の国保加入世帯数は、不況にともなう地場産業の衰退や不安定雇用者の増加にともない毎年増え続けています。05年では、約61万世帯(加入世帯率48%)、加入人口は約109万人(加入率42%)と政令市では1位の高加入率となっています。加入世帯の構成は、高齢化に加えて、子育て世帯の市外転出などにより、構成比の49%が単身世帯となり、加入世帯の70%が年間所得100万円以下の世帯、65%が市府民税非課税世帯という、低所得の高齢・若年単身世帯層によって構成されています。

また、大阪市の国保保険料は、国保予算が94年約2,000億円から05年約3000億円へと膨れ上がるなかで、一般会計からの繰入金を488億円(05年)投入しているにもかかわらず、毎年上がり続けています。保険料の算定は、所得割の料率が、94年には、市府民税の2.6倍だったものが05年には6.58倍(介護分を含む)となるなど、年収300万円の単身世帯の場合、最高限度額の年額61万円も算定される「払いたくても払えない」低所得者にとって高負担の保険料となっています。

そのような状況のなかで、保険料の滞納世帯は毎年増え続け、加入世帯の25%が滞納世帯となっています。04年の徴収率は、政令市では2番目に低い83.91%まで落ち込むなど、大阪市の国保の状況は、今や、「最悪」と言える、大都市特有の危機的な状況に陥っています。


2.市民生活と乖離した徴収施策の破綻

大阪市は、01年に毎年低下し続けている保険料徴収率の向上を至上命題とした、夜間・休日の徴収体制を強化する業務センター(市内に一ヶ所)を設置し、24区役所に配置されていた保険員(保険料の徴収から納付相談まで行う正規の専門職員)213名のうち69名を業務センターに集中配置し、電話督励を中心にした徴収業務をおこなってきました。

業務センターは、昼間不在の滞納者への電話督励や滞納者への早期対応などをかかげてスタートしたにもかかわらず、センター自体に滞納事案を完結させる権限が無いために、「納付相談は区役所へ」と言うような、業務全般に責任を持てない体制となっています。それに加えて市民との直接の相談窓口である区役所との連携についても、手間と時間がかかる非効率な体制となっていたことから、徴収率向上に貢献できているとは言えません。

それまで各区役所に配置されてきた保険員が、訪問徴収だけでなく、訪問先での減免や納付の市民相談等を行ってきたのですが、結果として、保険員の3〜4割が、区役所から業務センターへ異動したことにより、区役所「配置」の保険員の本来業務活動が維持できなくなるなど、区役所の徴収体制機能は弱体化しています。

このことは、全市の保険年金課長会でも「業務センターの在り方と検証が必要」との意見が出されただけでなく、多くの現場からも「市民生活と乖離した徴収施策」として、その破綻が広く指摘されています。大阪市当局は、こうした現場責任者からの指摘をふまえた検証を行うこともなく、今日にいたっています。


3.さらなる破綻を生む「改革マニフェスト」

昨年発表された大阪市の「改革マニフェスト」は、福祉や医療の「受益者負担の公平化」や特別会計への「一般会計からの繰入額の削減」などの施策を打ち出し、保険料などの市民負担を低所得者層に「シフト」していくことを掲げています。

国保制度では、「改革マニフェスト」の具体化として、保険料の徴収だけを業務とした徴収嘱託職員制度の拡充と06年度から保険料の算定方式を「運営主体の広域化」「低所得者への負担強化」を理由に、非課税世帯にも所得割保険料を賦課する、「旧ただし書き方式」へ変更することが提案されています。

そして、徴収嘱託職員制度は、「改革マニフェスト」の先取りとして昨年の6月から、すでに実施されてきました。この制度は、業務センター化による、「徴収施策の破綻」が指摘されてきたにもかかわらず、区役所「配置」の保険員業務をさらに縮小し、徴収嘱託職員業務に置き換えることを目的としたもので、区役所の徴収機能を以前にもまして弱体化させています。

大阪市は、「改革マニフェスト」を実行することで、「市民が納得して納付する」と言う、国保制度本来の趣旨から外れた、先ず「徴収ありき」の「市民生活から乖離」した、市民イジメの施策を継続しようとしています。


4.徴収嘱託職員制度の問題点

徴収嘱託職員は現在、各区役所に4名以上配置されています。労働条件は、週5日勤務を基本に、月120時間労働(平日、休日を問わず7:00〜22:00までの時間内で各自が自由に設定)、基本給9万円プラス歩合給という大変不安定な雇用形態になっています。勤務形態は、区役所に自席は無く、自宅から直接、徴収先の市民宅に訪問し、徴収後はそのまま自宅に帰ってくるという「直行直帰」で働いています。そして、徴収嘱託職員と区役所との連絡調整については、支給された携帯電話により行われています。公金を受領し管理する上でも、人事管理面おいても、とても責任ある行政執行体制とはなっていません。

徴収嘱託員制度の問題点の一つは、自主納付制度否定の内容となっていることです。この制度の基本は市民に納付書を送付せずに、口座振替か集金による徴収を原則としています。この原則から、今まで納付書にて送付されていた督促状については、納入機能のない単なるハガキへと変更されてしまいました。そして、督促状発送後、国保制度についての専門的研修も充分受けないままの徴収嘱託職員が、突然、市民の自宅へ徴収に回るという、未納、即徴収訪問といった市民との信頼関係を保てないものになっています。

もう一つの問題点は、徴収台帳などの個人情報が庁舎を離れ、徴収嘱託職員の自宅で自主管理されるという、徴収嘱託職員まかせの取扱となっていることです。大阪市の個人情報保護条例の視点から考えても、「違反」が懸念される非常に危険な制度となっていることです。


5.市民から見た徴収嘱託職員制度

徴収嘱託職員制度開始後、多くの市民からの苦情と問い合わせが区役所によせられています。代表的なものとしては、新規加入の場合、口座振替を希望しなければ、加入後半年間の納付方法は、徴収嘱託職員による集金が原則となっています。しかし、集金件数が多いため、全ての集金対象世帯への訪問は完全ではありません。その結果として、訪問徴収ができなかった世帯に対して、いきなり督促状が送付されるという、いいかげんで不誠実な状態が起こっています。

また、徴収嘱託職員が区役所へ登庁する時は、徴収金の納入時だけであり、市民から徴収嘱託職員への問い合わせや、訪問約束についての連絡があっても、携帯電話への連絡となることから、連絡が取れないケースが、たびたび起こっています。そして、賃金の安さから、採用されても1〜2ヶ月で退職する方も少なくなく、ほとんどの区役所で徴収嘱託職員の欠員が生じています。

現状では、徴収嘱託職員の業務に対して、行政側からの責任あるチェツク機能がほとんど働かない状態のまま、制度が運営されています。つまり、徴収嘱託職員制度は、自治体行政として市民に責任を持てる制度にはなっていないと言う事です。


6.市民に責任を持った徴収制度の確立を

隣接の京都市でも、徴収嘱託員制度が導入されています。ここでは、職員OBや銀行OBなどの徴収業務経験者を採用し、開庁時間内に、区役所へ出勤し徴収業務をおこなっています。また、業務内容についても制度説明から納付交渉まで行う、一貫した行政責任を果たしており、大阪市のような、市民窓口をバラバラにした、市民に無責任な制度とはなっていません。

大阪市の徴収嘱託職員制度においても、@市民への説明、相談など、能力向上に向けた国保制度についての充分な研修制度を確立する A勤務先は区役所勤務とする B賃金は歩合制でなく他の嘱託職員と同様の扱いとする、等の「市民」と「公務」に責任を持って働ける業務執行体制と労働条件の確保が必要です。

国民健康保険制度を民間の任意の契約保険と同じようにとらえて「保険加入やサービス受給には公平な負担が必要」という、「改革マニフェスト」の視点からでは、市民を「生活している人」として見ることはできません。「払いたくても払えない」高すぎる国保料に対して、市民の生活実態に軸足を置いた、市民生活を守る立場での徴収業務が求められています。

憲法で保障された生存権や基本的人権を守る社会保障制度の重要な柱である国保制度を、市民の権利擁護の観点から充実させることこそが重要となっています。
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