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大阪市問題の真相

(『おおさかの住民と自治』2006年5月号に掲載)


はじめに

2004年11月23日、テレビ番組で大阪市職員が「残業もしていないのに超勤手当を受け取っていた」と放映された。それ以降、連日にわたって新聞・テレビが大阪市の「カラ残業」「ヤミ年金・退職金」を報道することになった。その批判は、「職員の厚遇な福利厚生」「労使癒着のヤミ体質」にも向けられた。市民からも大きな批判が沸き起こった。大阪市役所労働組合(市労組)のホームページには半年間に4万5000件ものアクセスがあった。連合系の労組と間違っての抗議メールや電話が市労組に殺到した。この問題は、「大阪市問題」と呼ばれることになったが、その報道は事実との相違や誤解に満ちていた。そこで不本意ではあるが、あえて「大阪市問題」と表現して、その背景と真相について論じたい。


1 大阪市バッシングの背景には政府・財界の野望

大阪市問題は、政府・財界の野望を実現するために仕組まれた攻撃であった。その野望とは、郵政改革(民営化)、公務員5%純減を求める行革推進法案、市場化テスト法案、道州制の導入に代表される。このためには公務労働者と国民との分断・対立が必要となる。大阪市問題は、公務労働をバッシングの標的にし、その対立をあおり立て、公務員は少ないのに越したことはない、といった「単細胞的な公務労働敵視論」で貫かれていた。それは政府・財界の野望にとって実に好都合であった。

道州制は、国の役割を外交・軍事に絞り、住民サービスは市町村に委ねるものだ。その市町村の受け皿づくりのためにも、自治体リストラが必要となる。また、自民党の新憲法草案では、住民に対して自治体の「負担を公正に分任する義務」(91条の2)が明文化されている。大阪市バッシングは、憲法改悪を視野に入れてのものだった。


2 「ヤミ」・「カラ」・「厚遇」問題の真相

(1)「カラ残業」の本質は残業手当支給の否定

 信じられないと思うが、区役所の職員は自ら超勤時間を申告する権利を基本的に奪われてきた。各課・係に配分された超勤予算をその範囲内で計画的に執行するため、担当者が個々人の超勤実態とは無関係に一括して命令簿に記入し、その後本人が捺印するという習慣が長年続いてきたのが真相である。つまり、残業に対する手当の支給は拒否され、そのかわりに超勤予算を計画的に配分されるという異常なシステムである。そのためサービス残業が蔓延する一方で、「カラ残業」が発生するという事態が生じたのである。

昨年7月13日付けの読売新聞は大阪市の福祉職場について次のように書いている。「生活保護など社会福祉を担当するワーカーの市標準数は942人だが、実際にいるのは555人。その結果、連日、数時間の超過勤務を続けなければならなくなる。ワーカーに認められる超過手当は月2時間程度。手当のつかないサービス残業は月数十時間に及ぶ」。

(2)「ヤミ」「厚遇な福利厚生」の真実

「ヤミ年金・退職金」「ヤミ制服」「厚遇な職員の福利厚生」の問題である。いわゆる「ヤミ」の制度の多くは、労使で合意したものを市当局が条例化していなかったことが原因であった。当局の責任が問われる。

ところが当局は、「厚遇」への批判を逆手にとり、職員互助組合の労使負担について昨年4月から当局負担を「ゼロ」にしてしまった。これは、職員に対する雇用者の責任放棄である。

「厚遇」の一つにされた係長級への管理職手当も、昨年4月から廃止された。係長級の管理職手当も人件費の削減が目的であった。大阪市では、職員が係長級へ昇任すると、その職場は1年間職員が欠員(不補充)になる取り決めがある。こんな制度は全国に例を見ない。昇任によって1年分の人件費がゼロになるのだから、当局にとっては管理職手当を支給することで、逆に人件費削減の効果がある。手当を廃止した後も、1年間の職員不補充は続いている。さらに、係長級職員には、毎月の残業手当の頭打ちが設定されていた。当局は、以前から是正をもとめていた国に対しても人件費を抑えることになっているという説明をしてきた。実態もそうであった。

(3)「ヤミ専従」批判から、労働組合活動への全面的攻撃に

勤務時間内における組合活動が、「ヤミ専従」批判として問題となった。この40年間、市長選挙での「市役所ぐるみ選挙」と、無原則に労働組合の専従役員が黙認されてきた。この責任は市当局自身にある。ところが、当局は、「労使蜜月」「ヤミ専従」批判を逆さにとって、労使交渉の対象を職員の勤務労働条件に限定するという暴挙に出た。市労組は、住民本位の市政確立も運動の課題としてきた。市役所の労働組合が、市政の問題で交渉しなくてどうするのか。労働組合への不当な攻撃は、市民にとっても不幸なことである。


3 市政改革の背景に市政の破たん

(1)都市経営諮問会議の登場と「強者支援・弱者切り捨て」

都市経営諮問会議が04年6月に発足し、12月に「関市長への提言」をまとめた。その中で、「企業や人の活動が沈静化し、そのことが『社会的弱者』と呼ばれる人々の増加と行政需要の拡大につながり、行政主導で行ってきた福祉施策が市民の自律意識を低下させ、さらなる都市・人の活力の喪失につながるという悪循環をもたらした」「今後の行政に求められる役割は、自律できる市民を支援する」とされた。この弱者切り捨ての考えが市政改革に貫かれることになった。

(2)第3セクターの破たん

 大阪市が筆頭株主であるアジア太平洋トレードセンター(ATC)、ワールドトレードセンター(WTC)、湊町開発センター(MDC)の3社は借金返済が不能になり、04年2月に「特定調停」が成立した。会社を再建するために大阪市の貸付金329億円を債権放棄し、104億円の追加出資、補助金350億円を支出する。大阪市関連の部局が入居し続けて、家賃総額1835億円を払うことになった。

 昨年6月にはクリスタ長堀の特定調停が成立。新たに大阪市が15億円の追加出資と100億円以上の損失補償を行う。

 昨年10月には大阪シティドームが会社更生法を申請。大阪市の損失は108億円。その再建をめぐり混迷を続けている。

(3)土地信託事業の破たん

 土地信託事業の遊園地フェスティバルゲートが380億円の赤字を残して04年9月末に信託契約を解除した。大阪市は200億円を支払うことになった。その再建計画も白紙に追い込まれている。他の5つの土地信託事業も負債総額が1257億円(04年9月末)まで膨らんでいる。

(4)開発と国際イベントは続く

 それでも無謀な開発と国際イベントは続く。04年7月に大阪港がスーパー中枢港湾に指定されたことで、その整備に1000億円が計画されている。さらに阪神高速淀川左岸線第2期工事、大阪駅北ヤードの開発はあくまで推進する。国際イベントとして今年5月に世界バラ会議、来年には世界陸上大会を大阪市で開催する。


4 市政改革のねらいと本質

 昨年4月に市政改革本部が発足し、9月には「市政改革マニフェスト案」をまとめた。市民サービスの削減と合わせて職員7000人削減を打ち出した。今年1月には「局長・区長マニフェスト」「市政改革マニフェストにもとづく新しい行財政改革計画」を発表。さらに3月には、職員削減5500人を上乗せして、現職員の4分の1にあたる1万2500人の削減に計画を修正した。改革=職員削減と取り違えている。

(1)公共サービスを営利企業のカネもうけに提供する

市政改革マニフェストは、地下鉄・市バスを公設民営化、ゴミ収集の独立行政法人化と有料化、学校給食の民間委託化、博物館など文化施設の独立行政法人化など、あらゆる業務で「民営化」を検討している。金子勝教授は「ごみ事業を下請けに出し『もうけの論理』が優先されると、分別収集などがきっちりできるのか。環境政策面がなおざりにされる心配がある」「『官から民へ』が呪文のようになっているが、バス・地下鉄事業(公設民営化)も不採算部門の切り捨てにつながりかねず、住民から批判を浴びるだろう」「行政サービスについてあまりに無定見で驚く」(昨年12月16日産経)と厳しく批判している。本当のねらいは、公共サービスを営利企業の金儲けの対象にする財界の要望を実現することにある。

(2)社会的弱者へのサービスを切り捨てる

 NPM改革は、住民を顧客とする考え方だ。そのためお金のない市民はサービスの対象から排除される。市政改革マニフェストでは、市民サービスの見直しとして、敬老優待パス、生活保護世帯の市営交通料金・上下水道料金福祉減免措置、高齢者等の上下水道料金福祉減免措置、重度障害者給付金・難病見舞金、新婚世帯向け家賃補助、粗大ゴミの有料化、市営住宅家賃福祉減免制度、保育所保育料、高校生奨学費、就園奨励事業、児童いきいき放課後事業など、弱者へのサービス切捨てがずらりと並んでいる。

(3) 利用料が無料、低額な施設を一方的に廃止

施設利用が無料・低額が施設を廃止する。勤労青少年ホーム25館、加美ユースセンター、にしはま荘(軽費老人ホーム)、児童館10館、市立労働会館(アピオ大阪)、弘済院児童ホーム、東淀川勤労者センター、看護専門学校の廃止が打ち出された。さすがに子どもを含めて利用者から反対と憤りの声が沸き起こった。

(4)学校の安全を軽視して教職員を削減

幼稚園は統廃合、公設置民営や幼保一元化を検討する。児童120人未満の小中学校について統合・校区の変更、現在23校の高等学校を18校程度に再編統合する。学校関係の教職員を400名以上削減する計画である。これで学校の安全が守られるのか。


5 市政改革がもたらすもの

市政改革によって、自治体としての公共責任を放棄し、福祉サービスを削減する。受益者負担が増え、貧富の差(社会的格差)が拡大する。業務執行部門の民営化で職員の現場感覚がなくなり、官僚化が進むことになる。自治体行政の総合性が失われ、住民には自己決定・自己責任を押し付けることになる。

香山リカは、『いまどきの「常識」』で、「“弱い人”たちが暮らしにくく、そうでない人たちだけが暮らしやすい社会などというものがあるのだろうか。“弱い人”が暮らしにくい社会は、“強い人”にとってもやっぱり暮らしにくい」と書いている。
現在、市労組は住民とともに市政改革を考えるタウンミーティングの開催など、その反撃に奮闘中である。
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