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わかりやすい「小泉構造改革のねらい」
1.「小泉構造改革」は詐欺商法である?!
オレオレ詐欺
- 郵政民営化
- →国家公務員の人員削減そして「小さな政府」
郵便貯金130兆円、簡易保険120兆円
- 「大阪市問題」
- →地方公務員の賃金削減と人員削減そして自治体構造改革(小さな自治体)
リフォーム詐欺
年金があぶない・医療が立ち行かない・介護が大変・ホテルコストがいる・保険が大赤字・消費税を上げないと
政治家は理論的な正当性だけではなく、「小泉劇場」的なビジュアルな個性とパフォーマンス能力、演出力が必要ということで「成功した」例
2.ねらいは「小さな政府」「自治体構造改革」そして地方公務員の政治活動に規制を加え、一路日本国憲法の改悪への道をひた走るためにある
・ 昨年末「行政改革の重要方針」が閣議決定
改憲・大増税で「戦争する国」作りへのねらいを背景にした、公務員総人件費削減の実行計画、市場化テスト、政府系金融機関の統廃合を盛り込んだ「行政改革推進基本法」の元になる方針。
小泉「構造改革」の2つの柱
- @財政構造改革
- ―福祉・教育カット。法人税減税総額145兆円・消費税税収148兆円、地方財政三位一体改革で交付金・補助金減
本当のねらいは企業負担の軽減
- A規制緩和
- ―弱小産業の保護と規制を取っ払う・国民の安全のための規制を取っ払う・働く人のための規制を取っ払う・大企業の既得権の規制を取っ払う。
本当のねらいは企業収益の増大
3.全体像・俯瞰図を見るためのキーワードは「日米構造協議」と「新自由主義」にある
「日米構造協議」
日本側の苦心の意訳。本当は「構造障壁イニシアティブ」。イニシアティブは「主導権」でたんなる「協議」ではない。
- 「年次改革要望書」
- →1993年7月の宮沢首相・クリントン大統領首脳会談で合意、1994年から相互に提出された。
- 「外国貿易障壁報告書」
- →成果は毎年米連邦議会で通商代表部の「外国貿易障壁報告書」として出される。
- 個別産業分野
- →農業、自動車、建築材料、流通、エネルギー、金融、投資、弁護士業、医薬・医療、情報通信
- 分野横断テーマ
- →規制改革、行政改革、審議会行政、情報公開、独占禁止法と公正取引委員会、入札制度、業界慣行、民事訴訟法
2001年6月の小泉首相・ブッシュ大統領首脳会談で「構造障壁イニシアティブ」から「規制改革および競争政策イニシアティブ」に名前は変わった。
1998年6月建築基準法大改正、会計基準のグローバル・スタンダード、時価主義から原価主義、CEO(最高経営責任者)・COO(最高執行責任者)・CFO(最高財務責任者)、司法改革
「新自由主義」
ミルトン・フリードマン→経済活動に対する政府の介入を制限して市場原理に委ねるべきだという、自由放任主義。
日本では。規制緩和民間開放、「官から民へ」の市場化テスト、法人税の軽減と消費税大増税、年金・医療改悪、そして「小さな政府」、公務員賃金削減、国民には年収200万から300万円の生活にダウンさせる。連合公務員組合の切捨て実行、しかし部落解放同盟は切り捨てられるのか?
4.市場化テスト法や「行政改革推進法」とはなにか
日本経団連は2004年11月16日に発表した「2004年度規制改革要望書」で「市場化テストの早期・確実な実施」を求め、実施のための特別法を2005年中に制定することを要請した。大阪商工会議所も大阪府で565事業、大阪市で344事業を「民間開放が可能と考えられる事業」として提言している。2006年6月両法案とも可決。
(1)規制改革・民間開放推進会議の「民間開放の意義と考え方」
意義
- 競争原理の導入による効率性・創造性の向上
- 官は官が真に行う必然性のある業務に特化することによる行財政改革の実現
- 新たなビジネスチャンスの創出による経済の活性化
考え方
- 「民間でできるものは官は行わない」ことを基本とすべき
- 官の関与が必要な事務・事業でも公務員ではなく極力民間に行わせるべき
- 公務員が事務・事業を行うことの妥当性の立証責任は官が負うべき
- 外郭団体等による形だけの民営化になってはならない
@市場化テストの導入
意義
- 企画・立案を含めたコアとなる公共サービス分野の民間開放の促進
- 既存制度(PFI制度、指定管理者制度、構造改革特区制度)限界の打破
PFI制度→公的建物管理の限界、法規制で創意工夫が発揮できない。
指定管理者制度→国も実施したいができない。(図書館法)
構造改革特区制度→1自治体だけで全国展開できない。
- これまでは、学校、医療など個別に株式会社参入させてきたが、すべての官業を対象とする横断的手法がとれる。
委託先競争型と譲渡先競争型――官民競争型と提案アウトソーシング型(府)
*モデル事業(2004年度)→市場化テスト法(2005年立法)→全面実施(2006年)
当面のモデル事業 @ハローワーク関連 A社会保険庁関連 B行刑施設関連
A公務員の縮小・非公務員化
「仮に『官で行わなければならない』場合であっても、『それを公務員自らが行わなければならないのか』という視点に立って根底から問い直し、民間開放の可能性を徹底的に追求する」、「官が何らかの関与をする必要があると認められる事務・事業であっても、その実施を公務員に行わせるのではなく、サービスの質等の維持その他必要な要件を定めること等によって、極力民間に行わせるべきである。」
(2)市場化テストによる公務の民間開放の基本的問題点
@問題の所在
- 法律の制定・改正による従来の枠の突破(解釈で無理なものは法改正するという)
- 法律さえ作れば何でもできるのか――公務の解体?公務員制度の解体?
- 従来の見解――立法政策の問題(「国会の選択の範囲」でいいのか)
A公務の縮小・民間化の憲法上の限界
ア 国民主権との関係
- 国民主権原理からみて、公権力の行使は国民から信託を受けた国家が独占すると考えるべきで、それを民間に委ねることは憲法上制限される。(神戸大 米丸恒治氏)
イ 国民の生存権・社会権の保障―国の生存権・社会権保護義務
「民間開放」そのものが憲法違反ではないか?
- ○生存権
- →「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し得ない行政は違憲
- ○勤労権
- →@職安制度の縮小による勤労権の侵害は違憲A「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しえない労働基準は違憲B労働基準の実効的な監督の欠如は違憲
- ○生存権・社会権
- ――市場原理、自由競争とは相容れない。
ウ 事務・事業に対する民主的統制
- ○行政(公務)に対する統制
- ・民主的統制――法治主義(法の支配)、情報公開、行政手続、議会(国会・地方議会)による統制、市民参加・住民参加・住民投票など、・司法による統制――行政争訟・国家賠償
- ○民間化によるこれらの統制の排除は違憲の可能性
エ 公務員の存在意義から見た制約
- ○憲法15条
- ―全体の奉仕者性と国民の公務員選定罷免権
- ○公務員
- ――国民主権原理のもとで、国民の信託にもとづき、国民の福利の実現のために奉仕すべき「国民全体の公務員」
→「国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障すること」(地公法)
→職階制、成績主義、平等取扱原則、公務員の身分保障、私企業からの隔離、職務専念義務、人事院・人事委員会制度など
日本国憲法は、国民の福利ないし権利の実現にとって必要な事務・事業は、国や地方公共団体の「公務」として原則として「公務員」の手によって行われるべきことを予定していると見ることができるのではないか。
5.むすびに、きちんとたたかえば、「小泉構造改革」はオセロゲームのように一瞬にして白と黒がひっくりかえる可能性がある。
- 国民をごまかしている→公務員賃金と生活保護基準、年金給付水準、郵政民営化、防衛施設庁の官制談合
- 規制緩和・民営化→耐震強度偽装事件、JR西日本、東日本の事故、BSE・米輸入牛肉、ライブドア
- こどもの環境の悪化→広島、栃木、京都宇治、滋賀長浜、秋田の痛ましい殺人事件
- 格差社会、ホリエモン「人の心もカネで買える」、村上ファンド、福井日銀総裁、勝ち組負け組、日本の億万長者134万人・年収300万以下の世帯28.9%、貯蓄ゼロ世帯23.8%、生活保護世帯104万人、自殺者年間3万人、完全失業者313万人、フリーター417万人。
そしてかけがえのない人間として尊重する姿勢がない。 |
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