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関マニフェストが、「市民生活切捨て計画」であることを広く市民に知らせ、地域から、そしてすべての階層から、対市要求の実現を掲げた運動を飛躍的に前進させるための問題提起

2006年8月25日 成瀬 明彦

はじめに

電撃的な短期決戦としてたたかわれた昨年11月の大阪市長選挙は、今までの市長選挙とは様相が異なる選挙でもあった。関市長が様々な問題の責任を取って辞任し、再出馬するという異常な形で始まったことは言うまでもないが、切実な市民要求を切り捨てる「関マニフェスト」との対決が大きな争点となった。

関市長は当選したものの、率でも得票数でも史上最低の水準に落ち込んだ。大阪市をよくする会が推薦する姫野さんは、三つ巴となった中でも善戦健闘し、得票ではじめて当選者の60%までに迫ることができた。

また、市民要求との関係で、敬老パス有料化・廃止反対、よりよい制度の存続を明確に掲げ、公開討論の場で関市長に「廃止するといった覚えはない」と言わせるまでに至り、論戦では優位に立って選挙戦を展開することができた。

しかしながら、市長選挙の総括でも述べていたように、大阪市政の改革は、限られた選挙期間だけでは限界があり、日常的な運動をどのように構築するかにかかっていると言える。この間の世論と運動で大阪市を動かしてきた実例を踏まえながら、大阪市に向けた運動の方向性を市民の目線で中期的に、すなわち来年11月の市長選挙までを展望していく必要がある。

以上の観点から、市労組でも運動を構築するための方向性について様々に検討を加えてきた。これまでの議論を次のようにまとめて提起したいと考えている。


1.「大阪市政改革マニフェスト」の致命的弱点

「大阪市政改革マニフェスト」の致命的弱点は、マニフェストが実施された場合に、大阪市がいったいどのような都市に生まれ変わり、また、大阪市民の生活がどのように変わっていくのかが何も見えないということである。選挙において最も大切な点は、選ばれた市長が「どのようなまちづくりの方針をもち、それを実行するためにどのようにリーダーシップを発揮するのか」ということを見極めたうえで投票が行われるということだが、しかし、「市政改革マニフェスト」には、そのような問いに対するこたえが皆無に等しい。

描かれているのは、ただ行政や財政の規模が小さくなるという市役所の姿だけであるといっても過言ではない。にもかかわらず、「市政改革マニフェスト」に対する奇妙な歓迎ムードのもとで、実行に移されていくことは、ある意味で恐ろしいことではない。

「市政改革マニフェスト」のバックボーンである「構造改革型自治体経営論」に対して、私たちは次の考え方をしている。

(1)地方自治体は住民のくらしと権利を守る住民自身の組織である。市民は顧客ではなく、主権者として地方自治体の政策形成や事業の遂行に直接参加、参画するものである。

(2)地方自治体の業務の最大目標は公共性であって、儲けを生み出すための効率性ではない。

(3)効率性の追求をすべて否定するものではないが、効率性もそれは常に市民の利益と生活保障を前提にするものではなくてはならない。


2.「大阪市政改革マニフェスト」=「構造改革型自治体経営論」に対する明確な理論を築く

「市民はサービスを買う顧客」論に対しては「サービスを買いたくとも、買えない市民はどうするのか、子供の保育・教育のサービスは買うけれど、高齢者の福祉サービスは買わないという市民をどのように認知し、税法上の扱いをどのようにするのか」など、私たちの民主的自治体改革論を展開することが必要である。そして「市民は顧客ではなくて主権者であること。そのために市民は行政参画を求めているのではないか。この『大阪市政改革マニフェスト』は本来セーフティネットたるべき地方自治体のネットの網目を大きくし、ネット自体をこわす懸念があるのではないのか」などの反論が必要である。

「公共性」についても、@市民の基本的人権を保障すること、A特定者の利益追求でなく、市民の多数利益を実現すること、B大阪市の自然や歴史を守り、発展させること、C人間と自然の循環をノーマルなものとし、維持、発展させること、Dこれらを実現するソフト面、ハード面の整備がなされることを挙げることも大切なことである。

また、「行政評価」については、それを単に数量や効率(投資した人、金に対する成果)で評価することの危険性を指摘し、数量に表れない、表れても小さい数量の中にも行政的な価値のあることを忘れてはならない。行政を評価するのに、なぜその行政が必要なのか、市民の意向調査は科学的、客観的に行われているのか。そのための市民参画や仕組みづくりはどうなっているのかなどの観点を提起することだと考える。

また、大阪市の示す効率性と効果性を柱にした行政評価のチェックポイントについては、効率性を市民的効率性ととらえ直し、財政投資、市民負担と行政効果のバランス度やサービスのスピード性、実行組織の簡素化などを補足するよう提案することが大切である。さらに公共性、民主性、統一性の項目を追加することも重要だと思う。

また、「行政経営」については、自治体を経営体とみることの誤りを指摘しながら、住民の自治組織として、住民の統治能力を高める課題を緊急なものとすることである。そのための市民参画の推進、市民や市職員の政策立案能力の発達をめざす取り組みの必要性を説き、経営論による行政や市民、市職員の役割の矮小化を警告しなければならない。


3.私たちの市政改革の目標は「民主的で永続可能な大阪市」にある

大阪自治体問題研究所は、昨年11月に「市民がつくる大阪市政改革ビジョン」を発刊している。そこでは、大阪市が将来進むべき都市像として「永続可能な都市」をかかげ、環境、福祉、産業が持続可能な形で存在するために、大阪市民の生活の場である「区」の中に新しい市民参加制度である「区民委員会」を設け、その権限の下で、大阪市役所が「民主的永続可能型行政」を推進していくべきであるというビジョンを描いている。

また、市民向けに争点をわかりやすくするために、現行大阪市を「官僚的開発型行政」、「市政改革マニフェスト」の行き着く先は、「企業的リストラ型行政」として整理した上で、私たちがすすむべき道はもう一つの大阪市役所像である「民主的永続型行政」ではないかと問うている。私たち市労組も同一の立場に立っている。

そこで出したエッセンスは次の5つに凝縮されている。

(1)環境・福祉・地元産業を重視した永続可能な都市・大阪市を実現する。
(2)市民の目線から事務事業を見直し、「身の丈にあった」行財政を実現する。
(3)各区に区民委員会を設け、市民が市政を身近に管理できるようにする。
(4)徹底的な情報開示をすすめ市政を透明にする。
(5)市民と市役所との信頼関係を再生し、真の「協働」を実現する。

このような内容を持った「市民がつくる大阪市政改革ビジョン」は、大阪市のみならず、多くの自治体に求められている行政のあり方を鋭く問うものとなっている。


4.市政改革を「関西財界寄りの学者」とコンサル企業に委ねて本当にいいのか

機関紙「大阪市労組」7月24日号に特集したように、今年3月に関西財界が直接に市政改革への権限を発揮できる市政改革推進会議と、その市政改革推進会議委員長の上山信一氏と彼に加勢するNPM行革を推進する大学教授らが加わった行政評価委員会が、同時に新設された。まさに産学協同、財界との二人三脚による「大阪市改革」は体制強化された。

上山信一氏は、その経歴や語録(詳細は、機関紙「大阪市労組」7月24日号参照)でも明らかなように以前は、アメリカ資本の経営コンサルタント会社「マッキンゼー」の共同経営者だった大学教授である。氏は、「大阪市政改革マニフェスト」作成のための「行政評価」の重要部分である地下鉄、市バス、下水道、道路・河川管理、市街地整備、環境事業などを外部の経営コンサル企業に委ねた。それも「マッキンゼー」とかかわりのある企業「ボイヤンシー」に随意契約で請け負わせている。すでに、上山氏を中心に大阪・東京で「民間の事業分析手法を行政へ」というセミナーが開催され、「官」から「民」への流れを加速させる先例として大阪市が紹介されており、関市長も講演を行い一役買っている。

それだけではない。上山氏は「市政改革マニフェスト」で打ち出した市営地下鉄の公設民営化ではなく、関西経済同友会が2006年5月に提案した完全民営化によりシフトしょうとしている。関西の私鉄再編論に乗った市営地下鉄丸投げ論に組するポーズをとっている。一体、市民の交通権をどう考えているのだろうか。

公務の公共性、専門性を解体する市場化テスト法も生まれ、まさに「わが世の春」きどりである。大阪市役所の各部局がこれからの「改革」を検討する際、最近よく言われるのは「上山委員会がどう言うか」が合言葉だそうである。

経済評論家内橋克人氏が毎日新聞7月24日朝刊の「縦並び社会第5部格差社会への提言」(新聞スクラップ参照)で、「時の権力に密着してグローバルスタンダードなる『幻想』をふりまき、『既得権』を糾弾しながら『新規権益』をほしいままにした不公正な『利得者』らをあぶり出すことだ」と述べている。国の「規制改革・民間開放推進会議」の議長、オリックスの宮内会長は村上ファンドを実質的に創設し、そこから巨額の利益を得ていたわけだから、子飼いの御用学者もおこぼれ頂戴ではないだろうか。本当に目が離せない。


5.堺市の「跡田」疑惑は「他山の石」、改めて真の市政改革の緊急性を訴える

堺市が総額51億円の下水汚泥肥料化事業を発注した会社の取締役に、同市の行革懇会長だった跡田直澄氏が就任していたことがわかった。(「毎日」7月23日)懇談会の前後には、跡田教授が理事のNPO法人などが関連の実験事業を受託、肥料化事業は公募選考による契約だったが、「出来レースだ」との批判もでている。

跡田直澄氏は、昨年、機関紙「市労組」321号で委員長緊急インタビュー特集「これから、大阪市役所で何が起ころうとしているか!」のなかで本間正明大阪大学大学院経済研究科教授が「大阪市都市経営諮問会議」の座長を解任され、諮問会議も解散されたことにふれた際、登場した人物である。

引用が長くなるが、
「本間氏は小泉構造改革の理論的支柱となる人物。経済財政・郵政民営化担当相の竹中平蔵氏らとともに国の『経済財政諮問会議』のメンバーです。氏はイギリスに留学し、当時のサッチャー首相が推進した『NPM行革』を研究してきた人です。ところが、関市長をはじめとする大阪市と本間氏の対立が明らかになってきたのは、氏が提案した総務省からの人材受け入れ、自らの市顧問就任、諮問会議作業部会メンバーの跡田直澄慶応大学教授の市長補佐官起用などの『人事の押し付け』に対する市当局の反発が原因と言われています。実際、根深いところでは国がすすめる道州制、太田府知事が主唱する『大阪都』構想(府と市の合体)と市が言う『スーパー指定都市』構想(府から独立した指定都市)の激しい対立があったのでしょう。げんに、本間氏は大阪府の行財政改革会議の顧問も務めており、関経連のシンクタンクと言われる(財)関西社会経済研究所の所長までしています。市長補佐官に名があがった跡田氏は『大阪市だけでなく堺市も含めて大きな大阪都をつくった方がいい』という積極論者ですからね。奥田日経連会長の弟の奥田勉(株)大丸会長も諮問委員だったわけだし、まだまだ、バックラッシュがあると思いますよ。」
と私が述べている。

繰り返しになるが、前述の内橋克人氏の言葉、「時の権力に密着してグローバルスタンダードなる『幻想』をふりまき、『既得権』を糾弾しながら『新規権益』をほしいままにした不公正な『利得者』らをあぶり出すことだ」と私も強烈に実感している。


6.無党派、無関心層も参加、支持する楽しく、分かりやすい市民型運動・選挙活動の創造

最近の横浜市長選挙や、京都府知事選挙(とくに京都市内部)など大都市では、国政選挙だけでなく首長選挙などの地方選挙でも投票率が低くなる現象が顕著である。(別紙参照)
この背景に、政治の変革に対する「あきらめ」の増大とともに、自治体が財政難を背景としつつ、「自立自助」「応益負担」「受益者負担」を基本とする「地方行政の構造改革」で、縦での継ぎ足し、横出しの独自行政を縮小・廃止するなかで、行政の特徴・独自性が希薄となり、自治体が見えにくくなってきていることにも原因がある。

もう一つの原因としては、「行政とかかわりのない層」「行政からの離脱現象」も社会的現象としてめだってきた。年金の不払いが典型であり、若者も結婚せず子供もいないとなると、保育所、学童保育、学校などの従来型の行政から縁遠くなる。投票にも行かなくなる。しかも、年収300万円クラスの人たちが大都市部に圧倒的に滞留している。

さらに、リストラ中年組やフリーター若者組、それに大阪市内には1万人を超えるホームレスがいる。本来そこに行政の光を当てて、主権者として行動してもらわなければならない人たちが、行政の公共領域から離脱している。みんなで行政や政治を変えようというのでなく、明日のゼニ(お金)を求めるという刹那的な雰囲気のもとにある。

新自由主義者がいう勝ち組・負け組発想、圧倒的な国民が生活に困窮しているのに選挙に行かない国民をつくるという「選挙多数派」戦略や自己責任論をいかに突破するのかが求められている。

それには、民主的自治体建設は選挙時だけの課題でなく、日常的な告発や要求運動、国政との関連性など、意識づける運動を強めることが求められている。

選挙戦でも、これまでと違う市民派市長として、党派にこだわらず右から左まで、無党派、無関心層も参加、支持してくれるような楽しい、分かりやすい選挙の組織と活動方法の検討を事前によくすすめることが必要だと考える。

たとえば、@“このキャラクター面白いな” “なんか変化がほしい”という人を巻き込む、中立の人でもよい。軍師が選挙を面白くすることに徹する。A若い人たちが破天荒な選挙戦と思うようにする方がいい。楽しいな、遊べるなというように、出馬表明にしても、応援にしても面白いものにするようなノリを大事にした方が良い。B一緒になって変えましょうというタッチでいきたい。先陣をきる人はそんな人が必要と思う。というように、03年市長選挙の勝手連づくりの教訓から学ぶことも必要である。


7.切実な要求が渦巻くところには必ず運動前進の萌芽がある(対市要求運動の教訓)

この間、さまざまな運動が進められ、現実に大阪市を動かしてきたものがいくつもある。いずれも緊急で切実な要求を掲げ、運動を広げてきた上での成果であり、特徴的なものを挙げると次のようなものがある。

(1) 存続させた敬老優待パス

年金者組合が中心となって署名運動を機敏にしかも広く集め、対市向けの署名としては最大級の13万筆を集約し、これを背景に局長交渉を実現させた。高齢者の社会参加促進、寝たきり老人をつくらないためにも敬老パスは必要であるという世論を広げた。市長選挙でも一大争点に持ち上げてたたかい、2年連続して有料化・廃止を阻止し、全員に無料で支給させた。

(2)「トモノス、児童館の廃止」反対の運動で、現行利用者の要求を守らせた

1月12日に突然、市内に10館しかない児童館と年間62万人が利用している勤労青少年ホーム(トモノス)の今年度末廃止が打ち出された。これ自身があまりに拙速で何らの妥当性もなかったが、福祉保育労が先頭に立ちつつ、利用者、関係職員も参加する従来の超えた枠組みで、存続を求める緊急署名が12,000筆も寄せられるなど運動が急速に広がった。知人に呼びかけて「はじめて署名運動をとりくんだ」という女性の姿が新聞でも報道され、「3月末に廃止する」条例の継続審議となった。その後も多様な反対運動がとりくまれたが、残念ながら5月26日に一部修正のうえ可決された。

しかし、勤労青少年ホームは、廃止後も「こども子育てプラザ」として従来どおり中・高校生や勤労青年も利用できることとなった。児童館は廃止されたが、保育所に併設された市直営の「地域子育て支援センター」が引き続き小学生も利用できるようにさせた。これらは運動の成果である。これ以外にも、重度障害者と難病患者への見舞金の廃止をストップさせた。また、不十分ながら市民の不安解消のためマンション耐震構造偽装問題で、再計算のための費用助成が計上された。

(3) 答申に反対意見を併記させ、見直しをさせる足がかりをえた国民健康保険料問題

国保料は「世帯割」+「人数割」+「所得割」の合計で算出されるが、その所得割の計算方式を変更し、いままで賦課されなかった市府民税非課税世帯からも賦課しようという市長からの諮問が突然、国保運営協議会に出された。この方式では低所得者層で最高で4.3倍の負担増になる。大阪市の国保をよくする実行委員会が交渉やはがき付きビラの運動を展開し、「やむを得ない」との答申はまとめられたが、答申に反対意見を併記させ、状況の報告をもとに見直しをさせる足がかりを作った。

(4)大阪市の同和行政を鋭く追及し、同和利権を断ち切るのが緊急の課題

マスコミの報道が劇的に変化してきた。かってはこの問題にふれると第一線の記者はペンを置いた。が、今は違う。解放同盟支部でも同盟費納入ストップや、「解放新聞購読お断り」の声がでている。大阪市の不公正乱脈な同和行政が、今ほど強い批判を浴びている時はない。

4月24日には、長年にわたり「同和地区医療センター」といわれてきた民間病院の旧芦原病院への補助金不正支出などについて、姫野浄氏と藤永延代氏が関市長らを背任罪容疑で告発し、5月22日には告発集会が行われた。4月27日には市会の調査委員会報告が発表され、芦原病院での不正事件は大阪市が書類を作成したものであることが明らかにされた。飛鳥会での「業務上横領」も、すべて市が主導的にかかわって、「市が主導、公社はいいなり」(新聞報道)とも伝えられている。

旧芦原病院への補助金支出などを特別監査していた市監査委員は、7月21日、監査結果を関市長に提出した。監査した5年間に支出された約40億円全額を「不適正」と認定し、うち2,200万円は「目的外に使われ、市に損害を与えた」として返還するよう市幹部らに勧告した。また、市が04年6月に運転資金調達のため外郭団体を巻き込んで実行した2億5,000万円の迂回融資についても「権限逸脱行為」と指弾した。

しかし、8月10日付け読売によると大阪府警は旧芦原病院をめぐる一連の不正に関して、市役所あげての組織犯罪とは認めつつ、刑事事件としての立件を断念したと報道した。それだけに自ら深く関わってきた当事者として関市長にすべての情報を公開させ、責任をあきらかにさせること、そして、大阪市に対して不公正乱脈な同和行政の実態をすべて明らかさせ、終結をさせること、大阪市会は地方自治法の規定する百条委員会を設置して、事態糾明の力を発揮させること、捜査当局に対しても、速やかに全容解明がされるよう求めていかねばならない。民権連も運動に拍車がかかっている。私たちも全力をあげねばならない。

(5) いま、雪だるま式負担増に市民に怒りと怨嗟の声が巻き起こっている

それ以上に大変な事態は、いま、市民のなかで格差と貧困の広がりがすすむもとで、雪だるま式負担増に市民に怒りと怨嗟の声が巻き起こっていることである。

市府民税納税通知書と国民健康保険料決定通知書が市民に送られたが、社保協調査によると6月だけで大阪市内で124,000人(10世帯から一人、国保5世帯に一人)が窓口に押しかけたという。1日だけで城東区で900人、平野区で800人、港区では700人だったといわれている。市民のなかには「これで2度目の赤紙だ。1度目は鉄砲で、今度はじわじわ殺される」「みんなで首つるから、区役所に枝ぶりのいい木を植えろ」という人もあった。いま、この税制を決めた自民・公明の支持基盤に大きな動揺と亀裂が起きている。東大阪市長選の勝利も小泉政権への批判と同和行政のゆがみ批判とあわせた怒りと怨嗟にあったという。

いま、大阪市教は、「教育基本法を生かして、子どもたちを大切にする教育を、30人学級を大阪市でも直ちに!」をこれまでの運動の枠を超えひろげようとしている。市労組も「市民とともにつくる市民版市政改革マニフェスト、スタート集会」を6月18日に開催し、市民版市政改革マニフェストづくりのスタートを切った。この他大阪自治体問題研究所も市民団体とともに、シンポジウム「大阪市改革の歴史と展望」を7月1日に開催し、これらの動きに支援の体制を強化しつつある。

こうした運動は、今後の課題ともなっている北区ヤードの百済駅への移転問題や地下鉄8号線沿線の凍結解除を求める運動などに展望を与えるものと言える。


8.「主戦場は地域」 − このスローガンを具現化するために −

「大阪市・市民運動交流センター」(仮称)を立ち上げる

「はじめに」でも述べたように、日常的な運動が展開され、それが市長選挙勝利へと結びついていくステージは"地域"である。大阪市をよくする会には、全ての行政区に地域連絡会があり、ここでの活動が重要であることは言うまでもない。

しかしながら、「大阪市をよくする会」自身は、その会則で性格を規定しているように「大阪市長選挙をたたかう公職選挙法上の確認団体」(「よくする会」会則第3条2項)であり、日常的な要求運動をすすめる団体とは性格が異なる側面を持っている。

また、幅広い市民要求を結集してたたかうとはいえ、市民からすれば「特定の市長候補を応援する」という受け止め方もあり、市民運動のなかには、すぐさまいっしょに運動すすめるということにはなりにくい状況も一方であることも直視しなければならない。

以上のことをふまえて、関マニフェストが市民生活切捨て計画であることを市民に広く知らせ、すべての地域から、運動をすすめるために「大阪市・市民運動交流センター」(仮称)を立ち上げる方向性をもった運動を提起したい。

「大阪市・市民運動交流センター」(仮称)は、住民本位の地方自治の推進をめざす、さまざま市民運動の発展をはかるため、課題別委員会を設けて運動の交流をすすめ、とくに民営化問題が浮上しているだけに、交通、水道などのライフラインの市民的学習運動を先行的にすすめねばならない。市営地下鉄は、すでに阪急、北大阪急行、近鉄けいはんな線と相互乗り入れしているだけに、吹田、豊中、高槻、茨木、守口、門真、東大阪、八尾、堺の府下各市だけでなく、生駒市、奈良市に及ぶ交通問題であり、単なる大阪市問題ではない。これらは、大阪自治体問題研究所などと協力して、調査・研究活動をとりくむべきだと考える。また、「『市政改革マニフェスト』による市政改革と大阪市政」『政令指定都市の区政のあり方』などのシンポジウム、さらに、連続講座「私たちのくらしと市政」や「大都市のゴミ問題」などの活動を大いにすすめていくことになるだろう。

「黙ってられんわ!市民の集い実行委員会」事務局(大阪市内地区協)で行った2.15の集いは350名の参加で集会は成功した。620のパブリックコメントを集約し、市に提出する場面などを関西テレビが報道した。大阪市をよくする会としてもこうした運動に協力し、共同で大阪市に向けた運動を進めていく条件をととのえていく必要がある。

この共同の成果のうえに、「大阪市・市民運動交流センター」として、大阪市にむけてさまざまな運動を行っている市民や市民運動団体との共同をつくりあげていくことである。

政策的な面では大阪市をよくする会がかなりの部分を負い、後で述べる関市政監視委員会からの問題提起をもとに、運動の方向性を明確にしてもらえばいいと考える。


9.関市政を市民の目線で監視するために

2月15日まで市民の意見を聞くとして発表された「市政改革マニフェスト案にもとづく新しい行財政改革計画(案)」であったが、市民からの意見を公募するという「パブリックコメント」は、新自由主義の下でのNPM(ニュー・パブリック・マネジメント)改革の主要な柱=偽りの民主主義であることがますます明らかになった。

このようにしてつくられた「マニフェスト」を軸とした市政の運営では、市民の声が市政に反映されることはなく、ますます市役所は市民から遠ざかって行くこととなる。

関市政を監視し、マニフェストに基づく市民不在の市政を「市民が主人公の市政」にしていくために、姫野浄さん、渡辺たけるさん、藤永のぶよさん、井上けんじさんらに「大阪市をよくする会関市政監視委員会」(仮称)の委員となっていただくことを依頼し、出来るだけ早期に第1回の会合を開催するようにすべきだと考える。残すところ1年2ヶ月足らずとなった次回の大阪市長選挙での勝利をめざし、日常的な運動の構築をすすめるためにすべての地域、あらゆる階層から市政改革の運動を市民とともにすすめていきたいと考えている。
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