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生活改善・地域経済の活性化への期待を裏切る低額「勧告」
成果主義賃金の導入に反対し、健康を守りとりくみに全力をあげる!
2007年大阪市人事委員会「職員の給与に関する報告及び勧告」
に対する市労組連の声明 |
2007年9月14日・大阪市労働組合総連合執行委員会 |
1.大阪市人事委員会は、9月14日(金)に市長と市会議長に対して「職員の給与に関する報告及び勧告」を行いました。その内容は、@月例給について、公民較差0.07%(315円)を解消する、格差がわずかであることから、主として扶養手当を改定し、子等に係る支給月額を引き上げる必要がある。A特別給については、0.05月分引上げる。B改定は本年4月より実施すること、などです。
先の参議院選挙でも最大の争点となった「貧困と格差」の解消にむけた第一歩となる働くものの賃金引き上げをすすめ、地域経済の活性化につなげることの重要性を強く求めてきましたが、一時金が若干のプラス改定のため、平均年収でプラスになったものの、組合員や家族からの切実な生活改善要求を裏切る低額勧告でしかありません。
2.市労組連は、本年3月30日に「2007年度市人事委員会勧告(報告)の基礎作業に関する申し入れ」を行い「諸々の情勢や外部の圧力に屈せず、中立・公正な第三者機関としての役割を発揮すること」を求めてきました。また、7月5日には大阪公務共闘による「07人事委員会勧告」にあたっての要請行動が行われ、続いて8月24日には「大阪経済の活性化に貢献し、国の勧告に追随せず、賃金改善等の実現を求める」要請書が提出されました。これは、大阪市人事委員会の「報告及び勧告」が、その後の報告される堺市・大阪府に大きく影響を与えているという状況を踏まえ、とりくみが強化されたものです。
しかし、「報告及び勧告」は、昨年に強行された民間給与実態調査における比較企業規模の「50人以上」への改悪を踏襲するなど、公務員労働者の権利擁護機関としての役割と機能を放棄し、政府・財界の賃金抑制政策にそって出されたものです。人事委員会に抗議の意思を表明するとともに、民間給与実態調査を、「100人以上」に戻すことを強く要求するものです。
3.日本経団連によれば「賃上げに関する妥結結果の最終集計(日本経団連調べ、全産業平均)をみると、大手企業の妥結額平均は6,202円、アップ率1.90%、中小企業の妥結額平均は4,149円、アップ率1.64%となった。最終集計の総平均としては大手企業で6年ぶりの6,000円台、中小企業で6年ぶりに4,000円台となった。他方、今年の夏季賞与・一時金の大手企業の妥結結果(日本経団連調べ、全産業平均)は91万286円、前年夏季比3.01%で、金額としては4年連続で過去最高を更新し、最終集計としては初の90万円台を記録」などと、賃上げ・一時金のいずれもが連年アップであることを誇らしげに報告しています。
このような民間の賃金アップを公務員賃金に反映させず、企業規模別の労働条件の較差が近年ますますひどくなるなかで、人件費削減の意図を貫くために民間給与実態調査の改悪が強行されたことは明らかです。さらに、民間企業の賃金実態は、極端な男女の賃金格差が存在し、企業規模が小さくなるほど平均賃金を大きく押し下げている実態を見なければなりません。男女の賃金格差を前提とした中小の民間企業の賃金水準をそのまま持ち込む改悪であることを厳しく指摘するものです。
4.大阪市人事委員会は、「人材の育成」として「人事評価制度」について述べました。市労組連は昨年の「報告」に対して「評価者研修を終えたばかりであり、これからはじめて評価作業に入るという状況のもとで、人事委員会がいう『評価の客観性、公平・公正性、透明性を十分に確保』することが実態のともなわない空論を前提にした無理強いである」(声明)と指摘したように、試行期間を設けない問題点はあきらかでした。しかも、市当局は私たちの強い反対意見を踏みにじり特別昇給と評価結果を連動させたため、同一所属における評価者毎のバラツキが顕在化するなど極めて問題をもつものでした。
人事委員会が「検証と改善」「目的の浸透や制度への信頼を高めるための十分な取組みが必要」などと述べていることは職場での多くの問題点を無視できなかったものと考えられますが、それに対する改善策としては評価者の人数や配置の検証のみに触れただけであり、決定的に不十分と言わなければなりません。
5.「給与制度をめぐる諸課題」として、大学卒の初任給について「改善策について検討」の必要を述べるとともに、医師の給与水準では「医師確保のため、一定の改善措置を講じる必要がある」ことを表明しました。この事は、「人材の確保」とも関連し、それぞれ早急に実現することが求められます。
また、「人材の確保」では「継続的かつ計画的な人材の確保」として、「新規採用の再開について検討されることを望む」ことを明記しました。「市政改革マニフェスト」による採用凍結から、さらに12,500人もの人員削減をめざすという非情な動きが強まる中で、人事委員会としての見識を示したものです。住民奉仕を使命とする地方自治体の人事政策の根本にかかわり、また、採用凍結に喘ぐ職場の声に応えたものとして大いに評価するものです。
6.「職場環境の整備」として、「超過勤務の縮減」や「メンタルヘルス対策」について触れられました。超過勤務の問題では「超過勤務の縮減に関する指針の策定」に言及したことは評価できます。指針の策定に際して、「臨時の必要」という超過勤務の要件からみて月数十時間を越える超過勤務が横行している異常な実態、また、労働時間管理の不徹底、さらには、予算の締め付けによる違法なサービス残業の存在など、これらの問題点の是正に実効ある「指針の策定」を強く要求するものです。
また、「職員のメンタルヘルス対策」では、深刻な実態について触れられるとともに「段階的にフルタイム勤務に移行できるような職場復帰支援策の検討に取り組む」ことが述べられました。市労組連は春闘要求において「リハビリ勤務制度」の制度化を繰り返し要求してきており、それに噛み合うものとして大いに歓迎するものです。今後、民間での実践をふくめ大いに研究・検討をすすめ具体的な支援制度に結実するようとりくみを強めます。同時に、メンタルヘルス不全が急増した原因は「長時間労働と成果主義賃金」であるという厚生労働省の指摘を踏まえ、その根本的解決をめざし、人員要求と査定昇給の導入反対に全力をあげることを表明するものです。
7.これから本格化する2007年賃金確定闘争は、市政改革マニフェストにもとづいた大リストラ攻撃との継続したたたかいであるとともに、「貧困と格差」を生み出してきた「市場主義」「構造改革」をすすめる政府・財界との正面からのたたかいです。
市労組連は、今秋のたたかいにおいて、働くものの生活と権利を擁護し、向上させるため全力をあげる決意です。また、この間、大阪市で働く非正規労働者の賃金・労働条件の改善をめざしてとりくんできました。本年の人事委員会の意見には触れられませんでしたが、引き続きとりくみを強める決意です。
また、11月18日投票で行われる大阪市長選挙は、大規模開発のツケを市民や職員に押しつけ、市民の共有財産を財界に売り渡す大阪市版「構造改革」路線とのたたかいです。市民サービスの切り捨て、税や保険料・使用料の差し押さえも含めた徴収強化策など、市民に財政赤字のしわ寄せを強いる市政改革マニフェストの本質を暴くとともに、市民生活の向上と職員の勤務条件の向上を統一して追及するとりくみとして、怒りを総結集し全力をあげて奮闘する決意です。 |
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