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大阪市の同和行政「見直し」の現状と問題点
大阪市労組執行委員長 中山直和

はじめに

 大阪市役所労働組合(以下市労組と略)は、1990年の発足以来一貫して同和行政の見直し、公正で民主的な行政の実現を求めてきました。また、地対財特法期限切れ以後は、一般行政への潜り込ませに反対し完全終結を求めてきました。

 大阪市は、1969年の同和対策事業特別措置法の制定から2002年3月末失効までの33年間に1兆2000億円もの予算を同和対策事業に投じ、生活基盤における格差を基本的に解消するとともに、部落解放同盟(以下「解同」と略)一部幹部による利権あさりや逆差別などさまざまなゆがみも生んできました。芦原病院(現在は名称が変更されているが、この報告では旧名称のままとする)や飛鳥会事件の発覚で、大阪市の同和行政がいかに「解同」言いなりで乱脈なものであったかが、あらためて浮き彫りになりました。

 これまでは大阪市の支配体制を維持するために、「解同」理論や同和行政が利用されてきましたが、警察・検察による捜査やマスコミ報道の活発化によって同和行政への関心の高まりと批判が広がりました。

 このような状況の中で、一気に「見直し」にむけた動きが強まってきました。
 私たちは、「解同」タブーが打ち破られつつある、このチャンスを活かし、部落問題解決の障害となっている「同和施策の完全終結を目指してとりくみをすすめています。その立場から、大阪市の現状を報告します。

1.支配の道具として利用されてきた「同和行政」

(1)革薪勢力の分断と昇任・昇格差別による職員支配に利用

 大阪市の不公正乱脈な同和行政は、市の方針として行われてきました。いわゆる「不祥事」に関わった職員も、前任者の引き継ぎに従ったに過ぎません。それに職員が異を唱えることは大変な困難と勇気を伴うことです。「飛鳥会」事件で逮捕された飛鳥人権文化センター前館長が部下に「小西さん(「飛鳥会」理事長)の言う通りにしていれば君も昇進できると再三迫ったことが報道されました(2006年6月20日『朝日新聞』)。これは言う通りにしなければ昇進できないそという脅しと同じであり、大阪市の同和行政の方針に反対した職員を昇任・昇格で差別してきたことを裏付けるものです。

 マスコミや捜査当局さえおよび腰の中、「解同」による誤った行政闘争は、1960年代から大阪市における宮僚支配の道具として、また革新勢力の分断に利用されてきました。

(2)「オール与党体制」の先駆けと官僚政治の確立

 1959年、市長選挙で中馬馨は中井光次市長の助役を辞めて現職の中井光次に闘いを挑んで敗れました。4年後の1963年、中馬馨は社会党・民社党・共産党の三党推薦で中井市政の継承をうたう前助役・和迩俊二郎を破り当選。労働組合も中馬馨を支持しました。この時、大阪市役所の幹部は和迩派と中馬派に分裂したと言われています。

 1967年に中馬馨が再選するにあたって、自民党が中馬推薦に転換し、逆に共産党は対立候補を擁立しました。保守陣営が「解同」を取り込むことによって、社会党と共産党の分裂に成功したのです。大阪市は、わが国における「オール与党体制」の先駆けでした。こうして2005年まで続いた助役世襲型市長+オール与党議会+職員組合(連合系)の癒着トライアングルが形成されてきました。この体制を維持するために、不公正で乱脈な同和行政を批判する市民・職員を徹底して排除してきたのです。 

2.大阪市で明らかになった同和行政の歪み

(1)「同建協方式」による競売入札妨害(談合)事件

 2005年10月に、街路樹管理業務の入札で、大阪府同和建設協会所属業者だけを選定し、入札を妨害したとして市職員3名(課長・課長代理・係長)が逮捕されました。その後、2006年1月には、「大阪府同和建設協会」へ地検特捜部が家宅捜査に入りました。

 この「同建協方式」は長年、大阪市の行政の中で引き継がれてきたものでした。しかし、2006年8月の判決では、「背景に大阪市全体の同和行政のあり方自体に問題がある」と指摘しながら、「あしき前例を踏襲した事なかれ主義。被告らの責任は重い」と有罪を言い渡しました。

 この入札妨害事件も芦原病院の不正事件も、大阪市としての政策として行われてきたものです。関市長らが不起訴になり、中問管理職員らは有罪となったことは、「トカゲのしっぽ切り」との批判は免れません。 

(2)芦原病院への不正支出・債務保証・迂回融資事件

 芦原病院は、浪速・西成両区の同和地区医療の拠点として1957年に開設されました。一民聞病院にもかかわらず、大阪市は1968年から2004年まで補助金を182億円支出し続けてきました。さらに大阪市は芦原病院に無担保で=20億円を貸付けてきましたが、一度も返済されたことはありませんでした。

 この芦原病院が経営破たんに陥り、2005五年12月に大阪地裁に民事再生法を申請しました。すると次々に芦原病院での不正が明らかになりました。

 第一に、大阪市からの補助金の不正流用です。補助金が申請とは異なる物品の購入や病院の運営資金に不正流用をされていました。しかも申請書と精算報告書の両方を病院に代わって市職員がすべて作成していたのです。

 第二に、大阪市による迂回融資・債務保証も行われていました。大阪市は2004年6月にみずほ銀行から2億5000万円の融資を引き出しました。みずほ銀行が財団法人「市医療事業振興協会」に2億5000万円を融資し、それを当時の健康福祉局長名義の銀行口座を経由して芦原病院へ回していました。これは法律違反の迂回融資です。その返済もまた違法な方法でした。大阪市が市社会福祉協議会に支出した架空補助金1億5000万円、市社協が簿外でプールしていた大阪市の補助金一億円を充てて返済したのです。

 第三に、2005年6月、芦原病院がりそな銀行から運転資金2億円を無担保で借りた際に、大阪市は「市が責任を持って返済させる」とする健康福祉局長名の「借入金返済確認書」を銀行側に交付していました。これは自治体が法律で禁止されている「債務保証」にあたります。2006年10月、りそな銀行は旧芦原病院への貸付金が回収不能となり、大阪市に損害賠償請求を起こしています。

(3)飛鳥会・小西事件

 大阪市が所有する西中島駐車場の管理運営を大阪市は財団法人飛鳥会に1974年から30年間にわたり委託してきました。西中島駐車場は皿新大阪駅に近い大変便利な場所にありました。2006年5月、駐車場収入の一部を飛鳥会理事長で「解同」支部長でもあった小西邦彦(肩書きは当時)が横領していたことで逮捕されました。この横領事件でも、料金収入の虚偽報告や過少納付に市職員が関わっていました。さらに金融…機関も関与していました。横領は三菱東京UFJ銀行淡路支店の飛鳥会口座から同支店の小西個人口座に振り替える方法で行われていました。同銀行は課長を飛鳥会事務所に派遣し、経理を担当させていたのです。淡路支店で飛鳥会を担当していた同銀行前萩之茶屋支店長が、2006年6月自殺に追い込まれるという悲劇も起こっています。

 また、2006年6月に飛鳥人権文化センター前館長が逮捕されました。小西邦彦が約30年前から同センター職員らに指示して親族らの健康保険証を不正取得させ、前館長も上司から引き継ぎを受けていました。前館長は、この不正行為に反対する部下の職員に「小西に気に入られれば早く出世でき、退職後も飛鳥会関連法人の役員に天下りできる」と説得していたと報道されています。

3.捜査当局の姿勢と刑事責任の追及

 長年、同和対策事業の名で行われている不正に対して警察など捜査当局も知りながら見逃してきました。西中島駐車場の事件では、1975年に共産党の姫野市会議員(当時)がその是正を要求して以来、今日まで20回以上も議会で追及されてきました。しかし、マスコミはこれを取り上げず、大阪府警も司法警察権を行使してきませんでした。捜査当局が「解同」の本拠地を家宅捜索したのは、2006年1月が初めてのことでした。

 しかし、これら司直の動きも暴力団にかかわる部分や市役所の末端の職制に対してのものでしかなく、大阪市の最高責任者であり不正を正せる立場にあった市長をはじめ市幹部の責任を問わずに収束を図ろうとするものでした。2006年、芦原病院をめぐり関市長らを背任罪や詐欺罪で市民グループなどが刑事告発しましたが、これに対する大阪府警の対応は、「長年の政策で個人の刑事事件を問うのは難しい」として立件を見送り、10月23日までに大阪地検に書類送検をしました。大阪地検は年末ぎりぎりの12月28日になって、関係者16人を不当にも不起訴処分にしてしまいました。

 ところが、この事件の審査を受けた検察審査会は、2007年10月24日に「不起訴処分は不当」とする判断を下し、検察に再度の捜査を行うように求めました。今後の検察庁の動きが注目されます。

4.大阪市での「見直し」がはじまつた背景

 「解同」との癒着構造が、最も酷かった大阪市役所で、それを批判し是正する動きが表面化し、マスコミでも従来のタブーを破って連日報道される事態が出現していた2006年当時、大阪市の「同和行政」の根の深さを知る人たちから「何故いまになって、このように問題が表面化するのか?」という疑問が出されていました。

 これは、2004年から大阪市役所の中で急激に進行していた新自由主義にもとつく「構造改革」と密接に結びついています。大阪市役所では2004年に都市経営諮問会議(座長は本間正明阪大教授)が設置され、その議論のなかで、「既得権益」が姐上に乗りました。そして年末から2005年にかけて、職員労働組合の関係を含め「職員厚遇」問題がマスコミで連日報道され大阪市役所は一気に全国民の注目の的、批判の的になりました。

 その後、2005年四月に大阪市「改革」の中心的役割を引き継いだのが、経営コンサルタントを自任する上山信一慶応大学教授でした。上山氏率いる経営コンサルタントが総力を挙げた「市政改革マニフェスト」が同年9月に発表されます。

 私たちは、このマニフェストに対して「財界の儲けのために大阪市役所を切り売りするためのフローチャート」だと告発し批判してきました。同時に、この「市政改革」をすすめる人たちにとって無視できないムダと浪費が、他でもない「同和行政」だったということです。このムダと浪費の清算なくして市役所の「市場化」、即ち財界の儲けのための市民財産の切り売りができないということです。

 また、職員を支配する役割も成果主義にとって変えることが出来るという政治判断が下されたものと考えています。

5.大阪市の「見直し」作業の経過

(1)「構造改革」をすすめるため同和行政「見直し」へ

 大阪市では、新自由主義的な「構造改革」が本格的に動き出すなかで、タブー視されてきた「同和行政」が「改革の対象とされました。

 2005年秋に関市長が辞任した理由の一つに、芦原病院への無担保貸付金(120億円)を環境保健局長時代に決裁してきた責任を挙げました。また、その直後に発表された「市政改革マニフェスト」には、同病院への焦げ付いた貸付金問題が記載されました。
その後に相次いで発覚し、警察・検察の犯罪捜査として明らかにされ、連日のマスコミ報道となった事件は前項で述べたとおりです。

 これらの事件を受けて、次のように一連の調査・見直し作業がすすめられました。

(2)芦原病院調査委員会の報告

 2006年3月31日、芦原病院調査委員会が大学教授・弁護士・公認会計士などの外部委員によって作られ、芦原病院に対する整備事業補助金に関する調査を行い、民事再生手続に至った経過について調査をし、民事再生計画案の実現が図られるよう市会などに報告しました。

 芦原病院整備事業補助金についての調査報告要旨は以下のとおりです。

  • 医生協から提出される補助金の交付申請書および精算報告書を、大阪市職員が作成し、医生協から押印を受けていた。
  • 実際に行った工事、購入した備品と精算報告書の内容は、一部を除き異なっており、金額にも差額が生じていた。
  • このような事態が発生した背景として、医生協は、大阪市からの運営費補助金のみでは収支がとれなくなり整備事業補助金を運営資金として使用していたのではないかと考えられる。

(3)芦原病院への補助金に関する市長からの要求監査の実施

 関市長は、監査委員会に対して2006年4月28日に芦原病院への補助金に関する市長からの要求監査を依頼しました。

 そして、監査委員会は、同年7月21日に「市長からの要求監査結果報告」を提出しました。報告のポイントは次のとおりです。

  • 不適正な事務処置が長年続けられてきたこと自体、個々の職員の責任ばかりではなく、本市組織の構造的、組織風土的な問題である。
  • 補助金支出の対象・基準の曖昧性や同和対策関連事業に対する偏った思い込  み・価値観が一連の不適正処理の要因となっている。

(4)大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会の設置

 2006年6月19日、弁護士などの外部委員を含んだ「大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」が設置され、7月3日「団体との協議等のガイドライン」が策定されました。このガイドラインは「解同」との交渉を想定して作成されたものだといわれますが、あらゆる市民団体との協議に適応され、時間や人数を制限するという市民の要求運動を敵視する内容でもあり、多くの市民団体から批判の声があがりました。また、ガイドラインを策定した以後も関市長が「解同」幹部と直接話し合いを繰り返し行っていたことが明らかになりガイドラインの内実が問われています。 8月31日には、「大阪市地対財特法期限後の事業等の調査・監理委員会」の意見のまとめが発表されますが、相前後して、大阪市としての「再発防止策について」が発表され、8月29日、飛鳥会や芦原病院などに関する処分、損害賠償請求の方針が発表されます。

 処分内容は、諭旨免職1名、停職2名、減給22名、戒告19名、文書訓告47名、口頭注意8名、また、市長は給与2分の1減額・6月など。さらに、損害賠償請求に絡み、飛鳥会・芦原病院問題での損害額に請求する予定を公表。

 続いて10月10日、地対財特法期限後の関連事業等の総点検調査結果に基づく事業等の見直し等について(方針案)が出され、11月29日に方針として確定されます。

 方針のポイントは、委託事業・補助金・貸付金・分担金などの廃止、整理統合、回収や債権処理などのスケジュールを明確にすること。未利用地・建物などの使用では、明け渡し、原状回復及び「他の同種の利用条件との均衡を図る」こと、などをあげています。

 さらに、特別な優遇措置の是正を行うこととともに、政策的な課題の解消として以下の内容を明確に打ち出しました。

  • 学校における職員配置の適正化
    管理作業員10名、給食調理員54名の見直し
  • 青少年会館の管理運営業務
  • 保育所における職員配置
  • 地域老人福祉センター管理運営
  • 障害者会館管理委託
  • ふれあい人権住宅の募集対象区域の拡大
  • 未利用地などの管理および駐車場の管理運営
  • 人権文化センターの統合・管理運営
  • 大阪市人権協会などの職員の雇用問題 

6.大阪市の「見直し」の限界

 このような見直し作業は、ゆがんだ同和行政を積極的にすすめてきたこれまでの大阪市の実態からみて、極めて大きな変貌であり、「市政改革マニフェスト」の作成と実行とリンクさせた周到な段取りと決意が伺えます。

 また、事業の見直しの内容でも評価すべきものがあります。

 しかし、関連事業等の総点検調査の対象が、「地対財特法期限後」に限定され、「市長からの要求監査結果報告」で指摘された「本市組織の構造的、組織風土的な問題」「補助金支出の対象・基準の曖昧性や同和対策関連事業に対する偏った思い込み・価値観が一連の不適正処理の要因」とする真の原因を究明することが妨げられたことは決定的な弱点というべきです。

 また、関市長は芦原病院の不正融資の責任から辞任に値するにもかかわらず、減給のみの甘い処分内容にとどめたことは、関氏自身にとっても2007年11月の市長選挙で落選する結果に直結する最大の弱点であったと言えます。

7.「見直し」の対象からも外れ、依然続く人権啓発・人権教育

 入員配置・施設使用、そして補助金など、財政的な側面からの見直しを進める姿勢を見せた関市長は同時に「社会には、いまだに結婚や就職に際して、差別意識が残っている現状があり」とする認識を表明し、「解同」の不当な要求を受け入れる要素となる最大の弱点を露呈していました。

 そして、人権啓発・研修については、見直しの対象にされず、逆に強まる状況となっているとともに、ゆがんだ人権教育が依然として続けられるという重大な問題点が残されました。

 人権啓発については、「解同」と一体の関係にある「人権協会」に重要な役割を担わせ、依然としてこの事業への補助金も出し続けています。

 また、教育については、大阪市教育委員会が発行する「新任教員のためのガイドブック」(2007年度版)に、「部落問題の現実」という項が設けられ「部落差別は今日なお、社会の人々の意識の中にさまざまな形で根強く存在している」と記載しています。

 さらに、いまだに大阪市同和教育基本方針(1966年11月)を前提に教育実践の方向を説き、「同和教育の本質鳳、今なお部落差別の存在することの不合理を知らせ」とする旧態依然とした方針を押し付けています。

 このような教育委員会のもと、一部の学校現場では、いまだに「部落民宣言」が教育実践として報告されているのです。

8.部落問題の解決を妨げる人権(同和)行政・教育の終結を

 日本国憲法のもと、部落問題解決の最終段階にさしかかった今、問題の解決を勝ち取るためには、阻害要因となっている人権(同和)行政及び教育を終結することこそが必要です。飛鳥会事件や芦原病院の問題が表面化し、新自由主義による改革の意図も加わり、ようやく大阪市は同和行政の見直しに着手しましたが、2007年度でも90億円の予算が投入されています。

 大阪市役所はこの3年間、公務員バッシングの標的とされ、市民サービス切り捨ての「市政改革」が行われていますが、「同和行政の見直し」が、市民サービス削減に利用されてはなりません。

 人権啓発・人権教育をふくめ、すべての同和施策を完全に終結させるとともに市民の福祉・教育を充実させることが大切な課題となっています。


【補足】

 この報告を行った2007年10月28日の直後に、大阪市長選挙が行われ、現職の関氏が落選し、民主党が推薦した平松邦夫氏が新しい市長に当選するという変化が起こりました。これは、市民いじめの「構造改革」を強行した関市長(自公推薦)に対する大きな批判の表れであり、夏の参議院選挙に続いて「構造改革」ノーの審判が下されたものでした。

 しかし、当選した平松氏が「市民いじめの改革」と決別することが出来るか、早晩明らかになることでしょうが、現在はあいまいな状況です。また、平松氏は「解同」からの推薦を受け、「解同」幹部とも親密な関係だと言われています。このことが市民に十分に知られないまま選挙が終わったといえます。

 今回の報告のテーマである「同和行政」の見直しにとって選挙結果は少なくない影響を与える事態と考えられます。

 平松氏は、選挙戦の最中、明確な選挙マニフェストを出していませんでしたが、同和問題にからんで次のような発言を行っていました。

 「MBSナウ」のインタビュー(10月18日)に答えて、「弱い者の見方に立つ視線は絶対に譲れない。出せるお金があるとして(同和施策に)出す必要があるかは精査する。判断基準は人権と発言していました。また、大阪府歯科保険医協会の質問書への回答に「人権啓発や人権相談充実、セーフティネットの整備、青少年への健全育成対策などは、一般行政施策として充実にとりくみます」と答えています。

 この短い発言・回答ですべてを推し量ることには無理がありますが、私たちが終結すべきとしている「人権啓発」の拡充や同和施策の一般行政への潜り込ませが強まることを予感させるものがあることを付け加えておきます。

 さらに、芦原病院の不正事件で2007年10月の検察審査会の議決を受けた大阪地検が2008年3月に再び不起訴処分を決めました。

 大阪市会では、百条委員会の設置に反対し続ける自民・公明・民主の会派の態度など、大阪市の歪んだ同和行政の深部を明らかにすることを妨げる力も依然として存在しています。

 ひきつづき、市民の監視と私たちの奮闘が求められています。

(大阪市役所労働組合)

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