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「新しい大阪市をつくる市政改革基本方針」(素案)についての見解
パブリックコメントへの意見反映
2010年12月15日
大阪市役所労働組合

はじめに
10月21日に「新しい大阪市をつくる市政改革基本方針Ver.1.0」(素案)(以下「素案」とする)が発表されました。この「素案」は、08年12月に発足した「市政改革検討委員会」(委員長植田和弘京大教授)が12回の会議を重ねて出されたものですが、「市政改革マニフェスト」との関連を含めてその内容に大いに注目していました。また、同日「大阪市経済成長戦略」(中間とりまとめ)も発表されています。

疲弊する市民の生活を支えるため、憲法や地方自治法に則り、基礎的自治体の役割が発揮できる大阪市役所を作っていくために、市役所内外で議論を重ねることが重要だと考えています。その立場から市役所で働く職員で構成する労働組合として次のとおり意見を表明します。

1 憲法と地方自治法に則り、住民の生活を守る基礎的自治体の建設が必要です

「素案」は、「地域から市政を変える」「地域力の復興と公共の再編」というスローガンを掲げています。その背景として「地域主権確立」を強調しています。「素案」でいう「地域主権改革」とは「地域の住民自らの住む地域を自らの責任でつくっていくという『責任の改革』であり」(P12)とあります。しかし、国は憲法25条にもとづき国民の最低生活を保障する義務があります。それと併せて憲法は地方自治を重視し、その地域事情に応じた地方行政(団体自治+住民自治)を求めています。つまり憲法は国と地方とで二重の生活保障を義務づけています。ところが民主党政権がすすめる「地域主権」は、地域にすべての責任を押し付け、国が国民生活を保障する責任を放棄する、とんでもない考えです。

そのため大阪市が財政難であれば、大阪市民全体の責任で市民サービス削減もやむをえないという事になってしまいます。これは憲法25条と憲法が保障する地方自治の理念から外れています。「地域主権確立」という名で大阪市民の生活をすべて市民と大阪市に押し付けることは間違っています。

2 「公共の再編」は、市民・NPOに行政の責任を下請け化する危惧があります

「素案」では、「多様な協働(マルチパートナーシップ)」「公共の再編」として、「地域力の復興には、行政、市民、地域団体など市民活動団体、企業など地域社会のたくさんの担い手がさまざまな場面で協働し、それぞれが長所を発揮し補い合い責任をもって社会全体で公共を支える取組を進めること(公共の再編)が必要です」(P15)としています。

本当の意味で市民との協働ができれば、それはすばらしい事です。ところが「素案」(P15)の図表17には、その期待を裏切る内容が示されています。それは必要な公共活動を行政だけでは支えきれない社会動向の変化があり、行政の役割を縮小し、地域団体やNPOに委ねることで安上がりの行政をめざすものとなっています。本来、行政と市民の協働は経費と時間がかかるものです。「素案」が言うとおりこれまでの公共活動では支えきれない社会動向の変化があります。だからこそ、図表17のように行政の役割を縮小するのではなく、行政の専門性を高めつつ充実した体制を築いた上で、市民やNPOとの協働をすすめることが必要です。

「素案」が示しているような行政の責任を市民やNPOに下請けさせ、行政の経費を削減することが狙いであれば、社会の要請に背くものと言わなければなりません。行政の役割を小さくするような「公共の再編」は正しくありません。

3 「区政会議」「地域活動協議会」のメンバーは公募すべきです

「素案」では区民の意見を区政に反映し、チェックするための「区政会議」と、小学校区単位をイメージした「地域活動協議会」の設置を提案しています。この提案を私たちは歓迎するものです。

しかし、「素案」では、「地域活動協議会」の要件が、(A)地域振興町会、地域社会福祉協議会、(B)市から委嘱された市民で構成される地域団体、(C)市の業務を代行している地域団体(P61)としています。これまでに市政に協力的な団体を想定しているようです。これでは従来の地域振興会をはじめ、市政協力団体と言われた団体を中心に行っていた市政運営と何ら変わりません。

新潟県上越市では、地域自治区と地域協議会の委員は全員が公募公選で選ばれています。「区政会議」の構成員もA地域委員、B団体委員、C公募委員、D区長推薦委員(P70)となっています。公募委員が構成員に入っていることは良いことですが、むしろ委員はすべて公募で行い、選考は公開抽選で行うことを検討すべきです。理由は、できるだけ幅広い団体・市民の参加を保障し、少数意見をくみ取ってほしいからです。そうでなければ「素案」がいうチェック機能が発揮されないでしょう。

4 区役所の職員と部署を充実して区役所力の強化をしてください

「素案」は、「できるだけ区役所に権限を委譲し」(P20)「区役所力の強化」(P36)を打ち出しました。そうであれば区役所職員と部署の充実が必要です。この20年間区役所の機能は縮小され続けてきました。学校教育と社会教育を担当する教育係が廃止され、かつては区役所で小中学校の就学援助を扱っていましたが、現在は本庁に一括されています。子ども会や青少年指導員などの地域団体の事務局も区役所が担っていましたが、外郭団体であるコミュニティ協会に移管されています。つまり区役所と地域との関係が弱くなっています。

2007年には区役所職員のおよそ3割をしめる税務職場が区役所から離れて市内7ヵ所の市税事務所に統合されました。区役所で行っている国民健康保険料や介護保険料が個人の収入と住民税の税額によって決まります。そのため市民は区役所と市税事務所の2カ所に出向いて相談や手続きを行わなければならず、負担が増えました。また、区役所の職員も所得調査のために市税事務所に足を運ばなければならなくなりました。税金の滞納問題にあたっても、庁内連携による課題の共有化が出来なくなりました。

地域福祉の実践では、地域の住民による福祉活動を行うため大阪市は社会福祉協議会と連携することで、区レベルでの地域福祉の行動計画(地域福祉アクションプラン)を2006年に24区で策定し2010年度までの5ヵ年計画ですすめてきました。この地域福祉アクションプランは、校区ごとに区社協(区単位の社会福祉協議会)がすすめている地域ネットワーク推進委員会の協力と、町内会や地域ボランティア等の意見を集約することで、地域で支え合った地域福祉活動をすすめる実践計画でした。

子育て、高齢者等いくつかの作業部会に分かれて区役所と区社協が連携し進めることになっていましたが、現在では、それぞれの区によって進捗状況が異なり、いくつかの区では、活動そのものが停滞しています。停滞の原因は、「素案」でも触れられていますが、地域活動の担い手の高齢化(役員構成を連合町会に頼りすぎてきた)や、区社協と連携し地域支援をおこなうはずの区役所からの地域への支援体制の不充分さなどが挙げられます。

大阪市は、24区にあった保健所を市内1カ所に統合し、公衆衛生の権限を集約化しました。その結果、地域を担当する保健師は削減され区役所に配置されています。現状は、保健師一人で2万人程度の地域を担当しなければならなくなり、区での公衆衛生機能は低下しています。

また、区役所の地域福祉の相談支援を行なう区役所の担当課では、子育て、障害者、高齢者などの担当職員が1〜2人という非常に少ない職員で対応しているために日常の事務処理だけでも大変な状況となっています。そのため、地域支援まで行なえる体制になっていません。その上に繁忙な職場のために職員の異動も多く、経験年数の短い職員が多く存在し、専門性が高められていません。この専門性では区役所の生活保護職場でもケースワーカーの経験年数が短く厚生労働省の監査でも問題でありと指摘されています。

このように、地域福祉アクションプランは策定されましたが、区役所の保健福祉体制が不充分なために区社協や地域との連携はスムーズには進んでいないのが実情です、区役所に街づくりや商工行政を担当する部署を新設する事も大事なはずです。また、区役所で行っている国民健康保険や介護保険などと連携している税務職場を区役所に戻さなければならないでしょう。しかし、そうした考えはまったく示されていません。逆に「素案」では「職員数を5年間で約4000人の削減」が言われており、「区役所力の強化」が抽象的な「相談・調整機能の充実」といった表現にとどまっています。

区役所力の強化のために部署と職員を増やすことが必要です。

5 事務事業総点検で課題があるとされた事業(940事業)にはサービス水準を削減してはならない事業がたくさんあります

「素案」では、市民サービスにかかる事業を総点検した結果、「他都市を上回っている」あるいは他都市には存在しない制度のため「比較困難」と整理した事業が650億円になるとしています。これらの事業は、「すぐに見直すものではありませんが」と「素案」は前置きをしていますが、整理や方向づけ(見直し)を進めていくとしています。しかし、市民サービスを守るためには、これまでの水準を削減・後退させてはならない事業が関連資料の中にたくさん含まれています。以下の事業については市民にとってなくてはならないものであり、「見直し」には反対です。

そもそも「素案」は、「地域主権」と言いながら、他都市を上回っている制度や独自の制度は見直すと言う考えは「地域主権」とは矛盾しています。

  1. 高齢者のための施策  水道料金福祉措置、下水道料金福祉措置、緊急通報システム、高齢者住宅改修費助成、敬老優待乗車証。とりわけ敬老優待乗車証は大阪市が全国に誇ってよい事業です。
  2. 障害者のための施策  水道料金福祉措置、下水道料金福祉措置、重度障害者医療費助成、障害者小規模作業所等の運営助成。
  3. 保健・医療の充実   胃がん検診、大腸がん検診、子宮がん検診、乳がん検診。検診でのがんの早期発見は医療費の削減になります。さらに家族にとっては介護負担の大きな軽減になります。
  4. 次代を担う人材の育成 小児ぜん息等医療費助成(小児ぜん息は企業・行政の責任であり、家庭・子どもに責任はありません)。児童生徒就学援助(子どもの貧困が社会問題となっており、ますます重要な制度です)。中学校昼食(平松市長の選挙公約は中学校給食の実施でした。昼食ではなく給食に改善すべきです)。
  5. 快適で便利な住環境づくり 新婚世帯向け家賃補助制度(若年層の市外転出は活気をなくし将来の税収も減らすことになります)。コミュニティ系バス運営費補助(赤バスは交通弱者の福祉バスです。公営の福祉バスが赤字なのは世界の常識です。)
7 特定の地域を重点にした経済政策は失敗の歴史です

市民生活に直接かかわる施策を見直す一方、「素案」は「戦略的な都市開発の推進」として「大阪駅周辺地区」と「臨海部」の開発を推進するとしています(P51)。

「大阪市経済成長戦略」でも、大阪駅周辺と夢洲・咲洲地区を国際戦略総合特区として国に要望するとしています。しかも特区の内容は、国税(法人税・所得税等)や地方税(固定資産税・事業所税等)の減免です。「素案」では「収入の確保」(P55)を言っていますが、こうした地域に立地できる力のある企業は内部留保を大きく増やしており、税金を減免することは逆方向です。

また、大阪駅周辺と臨海部に集中した開発の推進では地域の経済は良くならないことは、これまでの大阪市の経験からも実証済みです。オリンピックの誘致や国際集客都市を目指した咲洲・夢洲・舞洲の開発の失敗を繰り返すつもりなのでしょうか。湾岸部の開発に膨大な市民の税金を投入した結果、大阪市の経済は良くなったでしょうか。人口減少の時代になり、アジア諸国の経済成長がめざましい時、これまでの繰り返しの成長戦略ではなく、既存の企業や商店を支援し、市民生活を向上させる方向へ転換することが大切です。

大阪駅周辺と臨海部の戦略的な開発は、財政難を招くだけです。WTCの倒産で事業費1,195億円の建物をわずか85億円で売却し、銀行に対して424億円の損失補償を行うなど、多額の損失を出した臨海部開発に反省はあるのでしょうか。

8 職員数の削減は住民サービスの切捨てにつながり反対です

「素案」は「職員数については、5年間で約4000人の削減、人件費については、業務の簡素化・標準化等の見つめ直しなどにより、将来に向けて超過勤務手当の半減をめざすほか、管理職ポストの削減、行政委員会委員報酬の日額制への見直しなどで、650億円以上を削減。」(P60)としています。

一体、職場体制や職員数の現状をどう理解しているのでしょうか。増え続けるメンタルヘルス不調による休職者の増大や増大する業務量により過労死ラインを超える長時間残業の蔓延など職場からは悲鳴があがっています。職員が公費を自腹で支出したことも、真の原因は職員の怠慢ではなく仕事の繁忙です。

業務の簡素化・標準化という掛け声や工夫だけで、社会情勢の急激な変化とそれによって派生する住民ニーズに対応できるはずもありません。職員を減らして超過勤務手当を削減するなど無理強いというべきです。それこそ大きな問題を生じかねません。既に職員へのサービス残業の押し付けという労働基準法違反が問題となっており改善を求めています。

また、職員削減のために「保育所の民営化」(P89)をするなど、公的責任の放棄であり、あってはなりません。

9 人事評価を賃金にリンクすれば行政がゆがみます。賃金リンクは中止すべきです

「素案」では、「昇任は年功ではなく、能力と実績で評価」「人事評価制度の評価結果を、より適正に給与(勤勉手当・昇給)に反映させる制度となるよう改善」(P76)「年功的な給与上昇の抑制や職務給の原則のさらなる徹底を行うため、給与表の昇給カーブのフラット化を引き続き実施」(P76)としています。

人事考課制度の導入で職員のモチベーションはむしろ低下しています。数字として評価されやすい仕事は熱心に行う一方、市民に時間をかけて丁寧な対応をすることは非効率的といった評価になりかねません。未集金の対策でも、支払い能力の乏しい市民にまで強権的な差押も行われるようになりました。職員が自分の仕事を振り返るための人事考課制度であれば、その結果を賃金に反映させる必要はありません。実際にも自己評価や人事評価を行っても、それを賃金に反映させていない市役所もあります。最近では、民間企業で能力・成果主義の賃金制度が失敗だったと見直している企業が増えていることは、よく知られるようになりました。

破たんが証明済みの成績主義賃金に反対します。さしあたり、人事考課の結果を賃金に反映させることは直ちに中止すべきです。

10 正規職員を大幅削減し、非正規職員の活用では市役所力・区役所力を低下させます

「素案」では、「一時的業務、補完的業務、定型的業務、あるいは、高度の専門的業務は、臨時的任用職員、任期付職員、非常勤嘱託職員等を活用。併せて職員OBも長年の経験を活かせるスタッフ的業務などに活用」という一方「本務職員」は「協働のコーディネート、政策・施策の企画・立案、社会秩序維持のための公権力行使、圏域における他都市との連携、民間事業者の調整・指導・監督などの業務に純化を図る」(P77)としています。

「素案」がいう「区役所・市役所力の強化」の内実がここに表れています。区役所では「協働のコーディネート」などほんの一握りの職員を除いて非正規職員に置き換えようというとんでもないものです。市民と直接対応する窓口が定式化された簡単なマニュアルで対応できる業務だと見ているなら、まさに現場を見ない空論と言わなければなりません。

戸籍・住民登録や国民健康保険に年金、介護や老人・障害者・母子などへの福祉施策などどの業務もしっかりした法的知識や運用を身に着けていないと市民サービスが損なわれ、市民に損害を与えることも生じかねないのが、第一線の窓口職場です。この充実を怠るならば、「協働のコーディネート」の水準自体が低いものとならざるを得ません。

また、本務職員に業務の現場感覚と総合性が身に付かなくなります。その結果、誤った政策を立案することになりかねません。一時的業務や定型的業務、窓口で市民と直接対応することで本務職員は現場感覚と総合性を備えることができます。そのことによって初めてコーディネートや適格な政策・立案を行うことが可能になるのではないでしょうか。

11 「素案」最大の弱点は「経費削減」による財政運営、市民サービス充実への方針転換こそが必要

「素案」は、大阪市がこれまでとりくんできた「経費削減」を前提にし、財政局作成の「中期的な財政収支概算」の数値をもとに財政運営を行うことがベースになっています。

公債償還基金や関西電力の株券など数千億円もの市民の財産を活用することなく市民サービスを「選択と集中」のもとに切捨てを行い、その露払いのために職員の賃金カットを平成29年度まで続けようとしています。(P93)

「市民生活の基盤づくりの視点」(P49)では、「選択と集中」として「子ども・教育」「雇用・勤労」の分野への「高齢者」の分野からのシフトを検討すべき段階としています。不要不急な大規模開発は温存し、市民向け施策の中で帳尻を合わせようというものです。削減の矛先は、敬老優待乗車証であり、赤バスなど高齢者・障害者など弱者向けの予算の削減です。この点では橋下知事が「私学助成の予算は人件費削減で」という発想と本質的に変わりません。

疲弊する市民の生活を支える基礎自治体としての大阪市役所が、市民の共有財産である「基金」を有効活用して市政運営にあたるよう方針転換することが今ほど求められているときはありません。
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