橋下知事が率いる「大阪維新の会」は8月22日に「職員基本条例案」と「教育基本条例案」の概要を発表し、大阪府議会、大阪市議会の9月議会に条例案を提出することを表明している。
発表された「職員基本条例案」の内容は、地方自治体の幹部の登用は、準特別職を創設し、首長の政策に賛同する有能な人材を任期付職員で公募するとし、一般職員には、すでに導入されている人事評価制度を厳格化し成績下位職員の明確化を行うことで2年連続での下位職員に対してと職務命令に違反した職員への分限免職の適用を行うことと、職制や定数の改廃や予算の減少によって過剰となった職員を免職させることを条例化することを明確化するとしている。
この条例案の内容が実施されれば首長と一部幹部を特権化させることで、地方自治体でのトップダウンによる支配を強化し、特権官僚の指示命令に反する職員に対して処分を行い、職員支配を強化するものである。まさしく物言えぬ職場づくりにつながる危険性を持つものであり、合理的な理由がなければ解雇できないという労働法の考え方も無視したものであると言わざるをえない。
大阪市においては、昨年、市労組は批判してきたにもかかわらず「服務規律のプログラム」「分限免職の指針」が職員に示され、すでに実施されている。内容は今回発表された「大阪維新の会」の「職員基本条例」と同趣旨のものが記載されており、条例化による明確化がされていないだけである。
今、橋下知事の辞職によりダブル選挙がすすめられようとしていることを考慮するならば、今回の「大阪維新の会」の行為は選挙目当てのパーフォーマンスとしか考えられないものである。明らかに公務員の賃金、人員削減等をすすめれば支持が増えるという「公務員攻撃」を利用したものである。
日本国憲法は二度と侵略戦争や人権侵害を繰り返さないために、公務員を全体の奉仕者とし、憲法尊重・擁護の義務を課しており、公務員は憲法の立場で住民の命・財産を守ることを職責としている。そのために現行の身分保障が存在しているのである。この身分保障は、選挙により交替することが前提の首長による恣意的な処分や免職の横行により、行政の大前提である政治的中立性と行政の安定性・継続性が損なわれることを防ぐための規定であり、行政の原則を守るものである。そして、一部の権力者のために働くものであってはならないことを規定している。
「大阪維新の会」の「職員基本条例案」は、大阪都構想の柱である財界の要望に沿った交通インフラなどの大規模開発路線を批判する職員に対して処分を加えることを可能とするものであり、市民の願いである福祉・医療・教育などの施策を充実させるために奮闘している職員の働きがいを奪い取るものである。
いま地方自治体の首長に求められているのは、日々、市民の生活と健康を守るために働く職員に対して働きやすい職場環境を提供することである。
以上のことから大阪市役所労働組合は、「大阪維新の会」に対して、「条例案」の議会への提案をやめるよう強く求めるものである。
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