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《2012年2月7日・大阪市労働組合総連合》
橋下市長による うめきた開発、関空へのアクセス整備など
大型開発の財源確保のための市民・職員犠牲を許すな!

大幅な「賃金カット」は、市民サービス切捨ての露払い

2012年度の賃金カットの交渉で明らかになった事実と
今後の課題に対する市労組連の声明

 橋下市長は、市長就任前に「うめきたの緑化などの維新公約の実現のためとして人件費を2割削減する」と語ったと報じられています。本年1月19日には今回の大幅な賃金カットの当局提案が労働組合の側に示されましたが、その日橋下市長は囲み取材に対して「大阪府と大阪市は同じような仕事をしているのに、給料が違う方がおかしい」と発言していました。
 市労組連は、1月20日、26日、2月3日と3回の団体交渉をとりくみ、今回の当局提案の問題点を明らかにしてきました。

人件費削減は市民サービス切捨ての露払い

  市当局は1月19日に次のように発言しています。
 「市長の方針で、将来世代に負担を先送りさせないということで、収入に応じた予算を組むということをしていかなければならない。そのため、本市事務事業の政策転換も含めたゼロベースからの見直し作業が始まっている。住民サービスに関わっていくような事務事業の話の前に職員自ら身を切って姿勢を示していく」
 このように今回の大幅な給与カット・退職手当のカットの提案の意味は、住民サービス切捨ての露払いであることを自ら語っています。そして、削減される住民サービスの主な項目として、地下鉄・市バスの敬老優待乗車証の見直しや赤字の国保財政への一般会計からの繰り入れの削減など市民生活悪化に直結する項目が予測されています。
 消費税増税の前に国家公務員の賃金カットをしようとする民主党政権と同じ構図が見えています。

「将来世代に負担を先送りさせない」という説明は全くの欺瞞

  当局提案では「将来世代に負担を先送りさせない」という橋下市長の方針も説明されていますが、人件費を削り、市民サービスに大なたをふるう事は予測できても、将来世代への負担である借金を減らす展望は見えません。
 それは、橋下知事在任中の大阪府の財政を見れば明らかです。市民の中に「府財政は黒字になった」との宣伝によって評価する声が聞かれますが、実態は借金を大幅に増やすとともに、借金返済のための基金(貯金)も国のルールによる必要額との差が逆に膨らんだのです。府職員の人件費削減と府民向けの予算を大幅に削ったことにより黒字になっただけとの指摘もされています。
 また、橋下市長は松井知事とともに借金返済の道を自ら閉ざす結果となることも表明しています。
 大阪府の借金が増加した主たる原因である臨時財政対策債は、将来国からの地方交付税で補てんされるという性格のものです。しかし、知事と市長は4年の任期中に地方交付税の不交付団体になることをめざすと表明しています。これは膨大になった臨時財政対策債の弁済については国からの補てんが閉ざされることを意味しています。
 さらに、府市統合本部で議論されている「成長戦略」には、関空へのアクセス整備やうめきたへのリニア駅の誘致やカジノなど大型開発推進で借金をどんどん増やす方針が出され、企業誘致のために5年間の税金免除なども議論されています。
これでは「将来世代に負担を先送りさせない」という方針は欺瞞というほかありません。

大幅な賃金カットによる生活への大きなダメージ

 今回の賃金カットの提案は、非正規職員にも漏れなく賃金カットを及ぼし、今年4月から3%から14%もの大幅なカットを強行するものでした。
 大阪市では、2009年以来賃金カットが行われ、既に300億円以上の人件費削減効果を挙げてきました。その中で2010年秋の交渉で標準生計費よりも低賃金の非正規職員や若年職員に対する賃金カットの解消や軽減が実現した経過があります。今回の提案はその経過を完全にくつがえすだけではなく、生活保護基準よりも低い賃金で働く非常勤嘱託職員(手取り13万円台の約2,600人)にも3%カットを押付けようとするものでした。
 また、退職手当のカットは、年金支給開始年齢の後退をはじめとした社会保障の改悪の中で、退職後の生活設計を狂わせるものです。

生活保護基準以下の賃金へのカットは異常、再考を求める

  市労組連は、前述の賃金カット提案の問題点を指摘するとともに、生活保護基準以下の賃金で働く非正規職員や最低生計費以下で働く若年職員の生活の厳しさを訴えるとともに、これまでのカット率の3倍以上となり年収で数十万円もの減収となる職員の生活実態、子育て世代・親の介護や看護の世代・ローンを抱えた世代などそれぞれの厳しさを訴え、提案の再考を求めてきました。
 また、教員・職員の働きがいを奪う「橋下改革」の本質を批判した機関紙の配布とともに、2月6日には市民団体・労働団体の多くの支援のもと決起集会を開催してとりくみを強めてきました。

非正規職員を除外する修正提案が出される

  このようなとりくみを踏まえ、本日午後10時からの団体交渉において、市当局から修正提案が出されました。
 非正規職員をカットの対象外とする点や年齢によるカットの軽減など一部私たちの主張を踏まえた修正点は評価するものです。しかし、2010年秋の交渉で私たちの主張を当局が受け入れて実現した勤続年数10年以下の若年職員への配慮が無いこと、非正規であっても退職後の職員がカットの対象として残ったことは大きな問題です。
 しかも、昨年秋の交渉から3ヶ月しか経過していない中で、これまでのカットを3倍以上に引上げるという驚くべき内容について、納得のいく説明はなんらされていません。
 今回の提案内容については、市労組連として納得できないことを表明するととともに、交渉後に開催した執行委員会で、一つの到達点として組織討議に付すことを確認しました。

たたかいの成果を踏まえ、
市民生活の向上と子どもたちの健やかな成長をめざすたたかいの強化を

  橋下市長は、「大阪都構想」の実現のため急ピッチで指示を出し続けています。その手法は市民と自治体職員や市民同士の対立と競争を煽るとともに、地方自治体の「住民福祉の増進をめざす」という基本的性格を踏みにじり、すべて民間にゆだね競争原理を持ち込むことをめざしています。
 また、教育基本条例や職員基本条例、さらには組合適正化条例など、憲法や地方公務員法を蹂躙する条例案を2月3月議会に提出するとの動きを強めています。
 市民生活を豊かにする行政をすすめること、子どもたちの健やかな成長を促す教育実践をすることは私たち教・職員の働きがいに直結する課題です。私たちの働きがいを奪い、生活と権利を破壊する「橋下改革」との今後のたたかいにおおいに奮闘する決意を表明するものです。

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