橋下市長は5月13日の午前に、日本の侵略と植民地支配の誤りを認めた「村山談話」について聞かれ、「『侵略』に学術上のきちんとした定義がないことは安倍首相の言う通り」と、安倍首相の「侵略」否定発言を擁護した後、旧日本軍「従軍慰」問題について、「慰安婦制度が必要なのは誰でもわかる」と発言しました。
これは「慰安婦」制度を正当化し、女性の人権、人間の尊厳を踏みにじるものであり、断じて許されるものではありません。国際世論が、日本の侵略戦争の正当化にむけて動きだしている安倍首相に厳しく問いかけている最中に、安倍首相の発言に同調・共鳴するという異常なものです。
また、橋下市長は同日の退庁時の会見で、「軍の規律を維持するために、慰安婦制度は当時は必要だった」と発言するとともに「現代社会にも風俗業はある」と旧日本軍に「性奴隷」となることを強制された「慰安婦」を現代の風俗業と同列に並べるという信じがたい「持論」を展開しました。その上で、沖縄の米軍普天間基地を訪問した際に海兵隊の司令官に「もっと風俗業を活用してほしい」と働きかけ、司令官が凍りついたことを紹介しています。これらの言動に対して新聞が報じているように、アメリカ政府は「言語道断であり、不快だ」と橋下市長を厳しく非難しています。
さらに、15日には在日米軍へ風俗業の活用をすすめた発言と関連し、市職員のわいせつ行為やセクハラなどの不祥事への対策に風俗業の活用が有効策に「なり得る」と発言したと報じられています。
私たち大阪市に働く教員・職員は、これらの発言に吐き気を催す不快感を感じるとともに、恥ずかしい思いでいっぱいです。
橋下市長はこれまで憲法違反の思想調査アンケートや罰則強化の精神で貫かれた「教育基本条例」「職員基本条例」の制定などをすすめてきました。これらは憲法と教育基本法を守り実践する者としての教員・職員の誇りを否定し、戦争をする軍隊(軍人)と同列視して扱っていることを改めて確認するとともに、強い怒りをもって抗議の意を表明するものです。
橋下市長の一連の発言は、驚くべき歴史認識、人権感覚の欠如を示すものであり、明らかに一線を越えた「大阪の恥」というべきものです。
橋下市長はこれらの暴言を直ちに撤回し、人間の尊厳をおとしめた発言を真摯に反省し、市長の職を即時辞任するよう求めるものです。
|