1.9月18日、大阪市人事委員会は、民間賃金を6,472円(1.64%)下回っている現実の職員賃金(賃金カット後)との較差解消になんら触れることなく、名目上の給与較差を解消するため月例給を▲17,579円(▲4.19%)引き下げること、一時金については、支給月数が均衡しているとして、改定なしとの勧告を行いました。
人事委員会は「公務員が労働基本権を制約されていることに対する代償措置の機能を有する」と述べていますが、賃金カット実施後の職員給与との較差解消に一切言及しなかったことは結果として大幅な賃金カットを追認することであり、「公務員労働者の権利擁護機関」としての自らの役割を完全に放棄するものでしかありません。
また、人事委員会は、今回の大幅なマイナス勧告の要因として、大阪の経済・雇用状況が他の地域より悪いこと。昨年の給与格差(▲1.72%)が持ち越しとなっていることを主な理由と説明しています。しかし、それに留まらず調査を行った民間給与データの給与額の上下2.5%ずつ、合計5%のデータを対象から除外するという作為的な作業を行っています。これは橋下市長の昨年12月の発言が直接影響しており、賃金引き下げを目的とするものと言わざるを得ず大きな問題を持っています。
2.「給与制度等に関する課題」で「保育士、幼稚園教諭及び技能労務職の給与水準」について言及しています。保育士及び幼稚園教諭について市内の民間における同種の職種の給与水準等を把握、また技能労務職職員については人事委員会の調査や権限が及ばないとしながら、橋下市長等から要請があったため、民間の類似職種の給与水準の把握方法や職員給与との比較方法等の研究を進めているとしています。これは、橋下市長が保育所・幼稚園さらには現業職場の民営化を方針とし、そこで働く職員賃金を人勧制度の枠を超えて引き下げするよう主張していたことを受けたものです。民間の職場では働き続けられたに労働条件のため若年の職員が多く賃金が低いのが実態です。従って調査の目的はこれらの職種の給与を賃下げすることにあります。
人事委員会は「早急に結論を得るべく努めてまいりたい」とし、今後一月程度で結論を公表することが予測されていますが、公務員労働者の権利擁護機関として賃下げにつながる安易な結論にならないよう強く自制を求めるものです。
3.「相対評価による人事評価の検証と適切な評価結果の反映」では相対評価による人事評価によって、職員の能力・実績に基づく適正かつ厳正な評価結果に結びついているか等について、詳細な検証が必要だと述べています。相対評価によって順位をつけられ、結果を示された多くの職員のモチベーションは明らかに低下しています。チームワークが大事な公務職場に成果主義や相対評価はなじみません。
詳細な検証により、問題点を洗い出すとともに、全体の奉仕者として仕事ができるためにも早急に改善が必要です。
4.「職員の心の健康保持」では、パワーハラスメントに関する相談窓口を設置し職員に周知することや、パワーハラスメント防止などに係る指針を策定する取り組みが必要と述べています。私たち市労組連はこの間、大阪市当局に対して、パワーハラスメント防止指針を策定するよう要求してきましたので、この点で報告については歓迎するものです。大阪市役所では人員削減の強行と厳罰主義が強まる中で多くの矛盾が職場に充満しています。とりわけ退職強要を含む上司からのパワーハラスメントが現に起こっている中で、早急に指針を策定することとパワハラ防止の取り組みの強化が求められています。
5.これから2013年賃金確定闘争がはじまろうとしています。橋下市長がすすめる「大阪都構想」などにもとづく大阪市解体が進行する中、さらに福祉・教育施策の削減方針をエスカレートさせています。市民・団体との共同の運動をさらに発展させ、住民の福祉の向上を本旨とする地方自治体の建設、真の住民自治の実現をめざし全力をあげることが求められています。
市労組連は、これまでのたたかいの成果を踏まえ、市民生活の向上と職員の勤務条件の向上を統一的にとらえ、働きがいある職場と生活改善をめざす願いを総結集し、全力をあげて奮闘することを表明します。
|