保育士・幼稚園教員の処遇改善を求める要請書
大阪市立保育所では本年4月の時点で必要な職員を確保できず欠員状態で新年度を迎えるという異常事態が発生しました。これは正規職員を採用せずそれに代えて募集した任期付職員の労働条件が余りにも劣悪だからです。
また、民間保育所でも保育士の確保が非常に困難になり社会問題となっています。その主な原因は労働条件の厳しさと処遇の悪さにあることは明らかです。保育士をめざし学校に通うものの保育所での実習で厳しい労働実態を経験し、保育士の資格を取得しても保育所への就職を希望しない人が多く存在することが指摘されています。このような状況のなかで、保育士の養成学校では生徒一人に対して10件の求人が殺到していることもマスコミで報じられるなど保育士不足が深刻な状態になっています。
本日、大阪市人事委員会が「職員(保育士、幼稚園教員)の給与に関する報告」を行いましたが、民間の保育士や幼稚園教員の人員構成において20歳台が半数以上、7割であり勤続年数では8割以上が10年未満であり「若年層が中心で、人材の流動化が激しいこと等が推察される」としていますが、これは民間の保育所・幼稚園における労働条件の悪さに起因していることは明らかです。
今、ブラック企業が社会問題となり「離職率」が一つの物差しとして提起されている状況のなかで民間の保育所・幼稚園の労働条件を改善し、職員の処遇改善こそが本来求められています。ところが人事委員会報告では橋下市長による幼稚園・保育所民営化の方針と関連した賃金削減の要請に迎合し、民間の問題ある労働条件を無批判に前提としながら賃金削減につながる報告を行ったものです。公務員労働者の権利擁護機関としての役割を完全に放棄した許しがたい内容であると言わなければなりません。
橋下市長がめざす幼稚園の全園民営化方針は、市民の強い反対運動の前に廃止条例案が市議会で否決されるなど状況は大きく変化しています。
幼稚園・保育所は子どもの命を預かり、健やかな成長を保障する極めて重要な役割を担っています。その重要性を踏まえるならば賃金・労働条件の改善を行うことこそ必要です。
具体的な改善項目として、@休憩時間が取れないという労働基準法違反の是正、A初任給基準の引き上げ(初任給調整手当の支給など)、B所長・園長の重責に応えた処遇改善(他都市では課長級・課長代理級に処遇している)、などを求めます。
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