2015年10月1日 大阪市労働組合総連合 書記長 中山直和
大阪市は9月30日、職員基本条例に基づくはじめての「分限処分」を行い、免職が2名、降任が1名という処分を公表しました。
分限免職は、長期の病気休職などにより職務に堪えることができず復職が困難と判断された場合に適用されてきましたが、今回のように「勤務実績不良」を理由に処分することは極めて異例です。また、免職の被処分者の生活の糧を突然に奪うものであり重大な問題を持つものです。
橋下市長は、「思想調査アンケート」が大きな批判によって中止に追い込まれた直後の2012年3月に「服務規律刷新」を名目にした「職員統制」に乗り出し、自らが委員長のプロジェクトチームを発足させました。その手始めに行ったのがプライバシー権の侵害の「入れ墨アンケート」の強行であり、勤務時間中の喫煙で1か月の停職(無給)を連発する厳罰主義の強化でした。
また、職員基本条例によって職員の人事評価は相対評価となり5%の職員が必ず5段階の最下位にされ、2年連続だと「分限処分」を前提にした「適正化指導」の対象とされる仕組みが作られました。
この「適正化指導」とは「分限免職」で職員を脅す「パワハラ研修」と言えるものであり、研修を受けた結果、メンタルヘルス不調に陥ったり退職に追い込まれた職員が既に多数生まれています。本来、人事管理は客観的基準と公開が重要です。そして、その基準に照らしあわせた絶対評価でなければなりません。
職場では、仕事が増えているのに人員は削減され、人事評価が賃金に大きく反映する中で職員は競争させられ、さらに厳罰主義が強まるという状況の中で、職場の疲弊は極まり、メンタルヘルス不調による休職者が増え、人間関係がギスギスするなど職場が壊れてきています。これでは市民のくらしを守り、福祉の増進をめざす地方自治体の役割が果たせなくなります。
成績不良を理由にした処分の強行が、職場をさらに恐怖に陥れることは明らかです。市民の声に耳を傾けるより、市長や上司の意向に忠実な職員像が強制され、市民サービス切り捨ての先兵にされることにつながります。
市労組連は、市民とともに大阪市政の民主的再生に向け、職員基本条例などの問題点を明らかにしてたたかう決意です。
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