本日、大阪地方裁判所第5民事部(中山誠一裁判長)は、平成31年1月28日に大阪府労働委員会が大阪市の組合事務所に関する団体交渉拒否を不当労働行為と認定、団体交渉に応じるように命令が出されたことに対し、吉村市長(当時、現大阪府知事)が命令を不服として大阪府労働委員会命令(以下、府労委命令という)の取消を求めた訴訟について、大阪市の請求を棄却し、府労委命令を是認する判決を言い渡しました。
私たちが大阪市に要請している「組合事務所の供与に関しての団体交渉申し入れ」について、府労委命令は、「申入事項には管理運営事項そのものに該当しない事項が含まれていることは、その文言上、明らかであるにもかかわらず市は団交に応じておらず交渉議題に疑義があるのであれば、市側から交渉議題にについて確認すべきところ、市はこれを行っていないのであるから、かかる市の対応は団交に応じる意思を欠いたものといわざるを得ない。したがって、本件団交申入れに対する市の対応は、団交を拒否したものであり、団交を拒否したことに正当な理由があるとも認められない。」として、大阪市の対応が正当な理由のない団交拒否であり、不当労働行為であると認定されていました。本日の判決は、大阪地方裁判所も大阪市の行為が不当労働行為(労組法違反)であると判断したものです。
平成29年9月の大阪府労働委員会への救済申し立て以降、4年近くにわたり府労委闘争、裁判闘争に対して全国の労働組合や市民団体、市民のみなさんからご支援・激励をいただきましたことに感謝申し上げます。
橋下徹市長時代の大阪市の組合事務所退去強制の不当労働行為事件では、平成26年2月20日付大阪府労働委員会命令、続く平成27年10月21日付中央労働委員会命令で、「不当労働行為」であると認定され、誓約文の手交が命じられました。大阪市はこれを受け入れ、平成27年12月15日、市労組に対し、「今後、同様の不当労働行為を繰り返さない」とする誓約文を手交しました。しかしその誓約は守られず、以降も管理運営事項(地公法55条3項等)や「大阪市労使関係に関する条例」を理由に団体交渉拒否の態度をとり続けてきました。そのため平成29年9月に市労組は団交拒否について再度救済を申し立て、平成31年1月28日再び大阪府労働委員会で「不当労働行為」と認定されたものです。今回大阪市が府労委命令を不服として中央労働委員会に異議を申し立てるのではなく、裁判に訴えたことは、行政命令を司法で争うということであり、労使関係を正常化させる専門機関で、行政委員会でもある労働委員会の存在を否定する行政体にあるまじき行為です。
大阪市は判決の趣旨を受け止め、控訴することなくこれに従い、市労組らの組合事務所の供与を求める団体交渉を開催し、誠実に協議をすることで、労使関係を正常な関係に修復することを求めます。その上で新型コロナウイルス感染症の感染拡大で苦しむ市民生活を守るために労使がともに全力をあげることができる職場をつくることを求めます。
大阪市は維新市政のもとで、「職員基本条例」や「大阪市労使関係に関する条例」が作られ、住民目線に立とうとする職員や労働組合を管理統制し、物が言えない職場をつくりだし、市長の思いどおりの行政運営がすすめられています。およそ民主主義と相いれないやり方は、職場と職員が疲弊する異常な自治体へと変貌しています。
市労組は、本日の勝利判決を糧に、憲法で保障された労働基本権が尊重される社会の実現、憲法をくらしにいかし市民生活を守る大阪市になることをめざして引き続き奮闘していく決意を表明するものです。
2021年7月29日
大阪市役所労働組合
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