本日、大阪高等裁判所第6民事部(大島眞一裁判長)は、平成31年1月28日に大阪府労働委員会が大阪市の団体交渉拒否を不当労働行為と認定、団体交渉に応じるように命令したことに対し、吉村市長(当時、現大阪府知事)が命令を不服として大阪府労働委員会命令の取消を求めた訴訟について、2021年7月29日、大阪市の「不当労働行為」を認め、大阪市の請求を棄却した大阪地裁判決を追認する判決を下しました。
大阪地裁判決は「労働条件等の団体交渉を円滑に行われるための基盤となる労使関係の運営に関する事項は義務的団体交渉事項になり得る」「組合事務所は労働組合活動の基盤となるもの」として、組合事務所に関する事項も義務的団交事項に含まれることを認めました。また、大阪市が大阪市役所労働組合(以下、市労組という)の申し入れ事項に対して管理運営事項が含まれるか否か確認しなかったことに対して「誠実な使用者の態度として団体交渉可能な事項を確認すべきであったが、これを十分に確認しないまま団体交渉に応じない大阪市の態度は正当な理由のない団体交渉拒否にあたる」ことを認めるとともに、大阪市の団体交渉拒否は客観的に見て労働組合を軽視し、これを弱体化させる行為であると言い得るとして支配介入性まで認めた判決でした。
大阪高裁判決は、この地裁判決を追認し、大阪市の団交拒否が「不当労働行為」であると再び判断したものです。
平成29年9月の大阪府労働委員会への救済申し立て以降、4年半近くにわたり府労委闘争、裁判闘争に対して全国の労働組合や市民団体、市民のみなさんから物心両面にわたり、ご支援・激励をいただきましたことに感謝申し上げます。
大阪市のこの不当労働行為事件では、平成26年2月20日付大阪府労働委員会命令、平成27年10月21日付中央労働委員会命令で「不当労働行為」であると認定され、大阪市は市労組に対し「今後、同様の不当労働行為を繰り返さない」とする誓約文を手交しましたが、その誓約は守られず管理運営事項や「大阪市労使関係に関する条例」を理由に団体交渉拒否の態度をとり続けました。そのため平成29年9月に再度救済を申し立て、平成31年1月28日再び大阪府労働委員会で「不当労働行為」と認定されたものです。大阪市が府労委命令を不服として中央労働委員会への異議を申し立てではなく、裁判に訴えていることは、行政命令を司法で争うということであり、労使関係を正常化させる専門機関で、行政委員会でもある労働委員会の存在を否定する行政体にあるまじき行為です。
大阪市はこれ以上、市民の大切な税金を使って裁判をいたずらに長引かせることをせず、判決に従い市労組及び大阪市労働組合総連合(市労組連)からの組合事務所の供与を求める要請に対して団体交渉を開催し、労使関係を正常な関係に修復することを求めます。また職員や労働組合に対して行われている権利侵害を止めて、市民のいのち、くらし、営業を守るために労使がともに全力をあげることができる大阪市政にすることを求めます。
10年にも及ぶ維新市長の民主主義と相いれない独善的な行政運営は、「職員基本条例」や「大阪市労使関係に関する条例」をつくり、職員や労働組合を管理統制し、物が言えない職場をつくりだし、職場と職員が疲弊する異常な自治体へと変貌しています。
市労組は、本日の勝利判決を糧に、憲法で保障された労働基本権が尊重される社会の実現、憲法をくらしにいかし市民生活を守る大阪市になることをめざして引き続き奮闘していく決意を表明するものです。
2022年2月4日
大阪市役所労働組合
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